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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 J7
管理番号 1373836 
審判番号 不服2020-14403
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-14 
確定日 2021-05-11 
意匠に係る物品 子宮頸癌の予防用又は治療用器具 
事件の表示 意願2019- 29147「子宮頸癌の予防用又は治療用器具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和1年(2019年)12月27日の意匠登録出願であって、主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年(2020年) 5月19日付け 拒絶理由の通知
令和2年(2020年) 7月 6日 意見書の提出
令和2年(2020年) 7月13日付け 拒絶査定
令和2年(2020年)10月14日 拒絶査定不服審判の請求

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「子宮頸癌の予防用又は治療用器具」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「実線で表された部分(当審注:以下「本願部分」という。)が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「物品の部分の形状を周知の単純な幾何学形状とすることは、物品分野を超えて、本願出願前よりごく一般的に見受けられますので、本願出願前より公然知られた下記の意匠1のFIG.2Aのflat portion 1を、周知の単純な幾何学形状である略正三角形状としたにすぎない本願の意匠は、当業者であれば容易に創作することができたものです。

意匠1
この意匠登録出願前、平成5年11月9日、米国特許商標庁において発行された米国特許第5259391号明細書」

第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について、すなわち、本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠の認定
(1)本願意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「子宮頸癌の予防用又は治療用器具」である。

(2)本願部分の用途及び機能
本願部分は、子宮頸部又はその周辺部の上皮細胞を擦り取る機能を有しており、細胞を除去する用途に使用されるものである。

(3)本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、「子宮頸癌の予防用又は治療用器具」のうち、先端部の板状体であって、全体の高さの約7分の1を占めるものであり、正面側のほぼ全面にわたり、千鳥状に配置された多数の突起部が意匠登録を受けようとする部分から除かれているものである。

(4)本願部分の形態
ア 全体
本願部分は、正面視で各辺をやや凸弧状とする略正三角形の板状体であって、板状体の厚みをその高さの約4分の1とするものである。また、正面側及び背面側は平坦面であり、背面中央で軸部(軸部は意匠登録を受けようとする部分ではない。)と接続している。
イ 板状体の正面視の輪郭形状
板状体の正面視の輪郭形状は、各辺が同形の凸弧状とするものであって、それらの凸弧状辺の膨出幅は、1つの頂点を中心とし、隣接する頂点までの距離を半径とする扇形の弧の膨出幅の約半分である。

2 原審の拒絶の理由において引用された公知意匠の認定
原審の拒絶の理由において引用された意匠1を以下のとおり認定する。
なお、引用意匠は、本願意匠の図面の向きにあわせて認定する。

(1)意匠に係る物品
意匠1の意匠に係る物品は「細胞採取器具」である。

(2)意匠1の本願部分に相当する部分(以下「引用部分1」という。)の用途及び機能
引用部分1は、平坦部に女性の生殖管の細胞を貼り付ける機能を有しており、貼り付けた細胞を採取する用途に使用される。

(3)引用部分1の位置、大きさ及び範囲
引用部分1は、細胞採取器具のうち体内に差し入れる部分の先端部であり、全体の高さの約4分の1、平坦部を正面視した場合の奥行きの約10分の1を占めるものである。

(4)引用部分1の形態
引用部分1は略円盤形状で、直径の約6分の1の厚みを有する形態である。

3 本願意匠の創作非容易性の判断
意匠法第3条第2項の規定の適用についての判断は、「意匠登録を受けようとする部分」の全体の形態が、当該意匠登録出願前に公然知られた形態に基づいて当業者であれば容易に創作することができたものであるか否かを判断すると共に、当該部分の用途及び機能を考慮し、「意匠登録を受けようとする部分」を当該物品全体の形態の中において、その位置、その大きさ、その範囲とすることが、当業者にとってありふれた手法であるか否かを判断することにより行うものである。
そこで、本願部分の形状の創作について考察するに、当業者は、器具を体内に差し入れた際に、不要な痛みを与えないかとの点や衛生面、安全面に配慮しつつ、体内で出血をさせずに意図した操作をすることが可能で、必要な部位の細胞を適切な状態で採取できるかとの観点で創作を行うものといえる。
そして、本願部分の形態は前記第4の1(4)に示すとおりであって、「子宮頸癌の予防用又は治療用器具」を含む細胞採取器具の分野においては、柄の先端に略幾何学形状の薄板状の細胞採取部を設けたものは、本願出願前より見受けられるものである。
しかしながら、本願部分の板状体の正面視の略正三角形の輪郭形状は、各辺が同形の凸弧状であり、それらの凸弧状辺の膨出幅は、1つの頂点を中心として隣接する頂点までの距離を半径とする扇形の弧の膨出幅の約半分であって、この膨出幅が小さいから周知の単純な幾何学形状(例えばルーローの三角形)とはいい難く、また、本願部分は正面側において千鳥状に配置された多数の突起部を意匠登録を受けようとする部分から除くものであるが、引用部分1にはこの突起部に相当する突起部が表されておらず、さらに、板状体の厚みをその高さの約4分の1とする点も引用部分1には表されていない。
そうすると、本願部分の形態は周知の単純な幾何学形状としたにすぎないとはいえず、本願意匠の突起部に相当するものが引用部分1には表されておらず、本願部分の高さと厚みの構成比率が容易に想到できたとする証拠もないから、当業者が引用部分1に基づき本願部分を容易に創作できたということはできない。
したがって、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2021-04-14 
出願番号 意願2019-29147(D2019-29147) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 杏子 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 濱本 文子
渡邉 久美
登録日 2021-05-14 
登録番号 意匠登録第1686856号(D1686856) 
代理人 鷺 健志 
代理人 野村 明代 

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