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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K0
管理番号 1373838 
審判番号 不服2020-14480
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-15 
確定日 2021-05-12 
意匠に係る物品 静電塗装用スプレーガン 
事件の表示 意願2019- 26340「静電塗装用スプレーガン」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要

1 手続の経緯
本願は,本意匠の出願番号を意願2019-026338とする,令和1年(2019年)11月28日(パリ条約による優先権主張:2019年5月31日,アメリカ合衆国)の関連意匠の意匠登録出願であって,令和2年(2020年)3月6日付けの拒絶理由の通知に対し,同年6月17日に意見書が提出されたが,同年7月14日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年10月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載
本願意匠は,意匠に係る物品を「静電塗装用スプレーガン」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当する,というものである。
拒絶理由通知において引用された意匠は,米国特許商標公報(公報発行日:2015年3月31日)に記載された,「スプレーガン(登録番号US D725743S)」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH27305669号)であり,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである(以下「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。

第2 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は,「静電塗装用スプレーガン」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「スプレーガン」であって,その記載は一致しないものであるが,いずれも静電塗装に用いられるスプレーガンであるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,その用途及び機能が一致する。

(2)形態の対比
本願意匠と引用意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお,引用意匠の図面について図の表示と図中の向きを本願意匠の図面に合わせることとし,本願意匠の正面図の側をスプレーガンの前方側,本願意匠の背面図の側をスプレーガンの後方側,本願意匠の平面図の側をスプレーガンの上面側,本願意匠の底面図の側をスプレーガンの下面側として,以下記載する。
ア 形態の共通点
(共通点1)両意匠は,全体を,その前方側先端部分に塗料吐出部分(以下「エアキャップ」という。)を配設したスプレーガンの本体部分(以下「ガン本体部」という。)と,ガン本体部の後方側下面部分に,ガン本体部を支持する把持部分(以下「把持部」という。)を一体的に形成し,ガン本体部の左右側面部略中央部分に,トリガー部分(以下「トリガー」という。)を,先端部分を軸着して取り付けたものであって,トリガーを握ることで塗料が吐出する,ハンドガンのような構成態様とした点で共通する。
(共通点2)両意匠は,ガン本体部の形態を,略直方体形状の前方部分,前方部分より一回り大きな略長円柱形状の中間部分,及び,中間部分より一回り小さな後方部分の3つの部分を,前後に並べて一体的に形成した構成としたものであって,前方部分は,前方側先端部分を前方に向かって窄まる略四角錐台形状とし,左右側面部下側の部分を水平な弓形に切り欠き,この切り欠き部の弦にあたる部分に水平な突条部を1条形成した形態とし,中間部分は,上面部前方部分を平面視略半円形状になるように斜めに切り欠き,下面部前方部分を略水平状に切り欠いた形態とし,後方部分は,後端部を側面視略円弧状に切り欠いた略円柱形状の部分と,上面部の後端部にフックを立設した略円柱形状の部分を,前後に配置して一体的に形成したフック取り付け部分(以下「フック取付部」という。)と,後端部に操作レバー及び空気量調節つまみを設けた略円柱形状の空気噴出量調節部分(以下「空気量調節部」という。)を上下に一体的に形成した形態とし,ガン本体部の前方部分と中間部分の接合部分を,後方に向かって拡がる略円錐台形状とし,フック取付部の左右側面部中央部分に,後方側を略円弧状に切り欠いた略横長長方形状のプレートを左右1つずつ設け,空気量調節部の左右側面部前方部分には,略短円柱状の調節つまみを左右1つずつ配設したものである点で共通する。
(共通点3)両意匠は,エアキャップの形態を,周側面に湾曲凹面状の筋模様を多数形成した略短円筒状のロックナットの前面部中央部分に塗料吐出口を配し,この塗料吐出口を挟んで略直方体形状の小突起部を一対配した構成の略角付き円板状のキャップを設けた点で共通する。
(共通点4)両意匠は,フック部の形態を,根元側が幅広な右側面視略倒J字状に形成している点で共通する。
(共通点5)両意匠は,把持部の形態を,その後方側の上方部分を後方に折曲し,後方側の中央部分を僅かに後方に膨出し,前方側の下端部を斜め下方に突出し,水平な断面視が略楕円形状になるように角部を面取りした,ハンドガンのグリップ状に形成したものであって,前方側略中央部分に,トリガーを保護する底面視略D字状で側面視略鋭角三角形状のトリガーを保護する板状体を形成し,前方側下端部に,その先端部に短円筒状の塗料用ニップルを配したニップル保持部を垂下して形成し,把持部の底面部に,棒状のねじ込みホース用ニップル及び短円筒状の空気ニップルを配設している点で共通する。
(共通点6)両意匠は,トリガーの形態を,下端部を略円弧状とし,左右縁部分を後方に湾曲した右側面視略ノの字状の縦長板状体と,その左右上端部から2つに分岐した側面視略直角台形状の板状体を,正面視略Y字状となるように一体的に形成している点で共通する。
(共通点7)両意匠は,ガン本体部前方部分の下面部に略短円筒状の塗装供給口を側面視略三角形状の板状体によって傾斜して配設し,その下端部とトリガー下端部に配設された塗料用ニップルの上部をホースで連結している点で共通する。

イ 形態の相違点
(相違点1)本願意匠は,ガン本体部の右側面部前方側端部に略短円筒状の基台部を突設し,この基台部先端側の外周面前方部分からエアキャップの後方部分まで延びる,先端に向かって漸次細くなる略短円柱状の電極支持部を配設し,この電極支持部の先端部に前面部中央部分に小突起状の電極を設けた略短円柱状の電極部を設けた構成からなる外部電極を1つ配設しているのに対し,引用意匠には,外部電極を設けていない点で,両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠のエアキャップに設けられた電極の形態及び配置態様が,針状の電極を,エアキャップ前面の中心部分に1本配設しているのに対し,引用意匠のエアキャップに設けられた電極の形態及び配置態様が,先端部分に電極を設けた細長円筒形状の電極部を,エアキャップ前面の中心から前面視やや斜め右上の位置に1本配設している点で,両意匠は相違する。

2 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品についての判断
両意匠の意匠に係る物品は,その用途及び機能が一致するから同一である。

(2)形態の類否についての判断
両意匠の意匠に係る物品は,手にとって使用され,使用時に観察されるスプレーガンであるから,この物品の需要者は,その外観の形態を重視するとともに,塗装性能に係る部分である外部電極の形態についても強い関心を持って観察するものであるといえる。
したがって,スプレーガンの外観の形態と共に,塗料抵抗値の低い塗料であっても塗料の高い着き回り性能を実現するために設けられた外部電極の部分も,この物品の需要者が特に注視する部分であるということができる。

ア 共通点の評価
(共通点1)の全体の形態,及び(共通点2)ないし(共通点7)の各部の形態については,その形態がほぼ共通するものであるが,これらの形態はこの種物品分野において既に見られるもの(以下の参考意匠,別紙第3参照)にすぎず,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえないものであるから,これらの(共通点1)ないし(共通点7)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度のものである。

参考意匠(別紙第3参照)
・著者の氏名:アネスト岩田コーティング事業部
・表題:アネスト岩田の新型静電塗装スプレーガン
・掲載箇所:動画投稿サイトYouTubeに投稿された動画の主に再生開始から1分12秒頃
・媒体のタイプ:[online]
・掲載年月日:2016年6月6日
・検索日:[2021年3月22日]
・情報の情報源:インターネット
・情報のアドレス:URL https://www.youtube.com/watch?v=xPvtizyTCjg
に掲載された「スプレーガン]の意匠

イ 相違点の評価
(相違点1)の外部電極の有無の相違については,静電塗装用スプレーガンにおいては,エアキャップ先端部分に塗料微粒子を帯電させるための電極を設けることが通常行われているところであるが,塗料抵抗値の低い塗料であっても塗装の高い着き回り性能を実現するために,さらに外部電極を設けているか否かは,この意匠に係る物品を購入する需要者が特に注視するところであるから,この(相違点1)はこの種物品分野において既に見られる外観の形態の共通性が与える影響よりも意匠全体の美感に与える影響は大きいといえる。
(相違点2)のエアキャップに設けられた電極の形態及び配置態様の相違については,需要者が静電塗装用スプレーガンを購入する際に強い関心を持って観察する塗料微粒子を帯電させるための電極の部分であって,本願意匠が,エアキャップの中心部分に長い針状の電極を1本設け,確実に塗料微粒子を帯電させるものとの印象を与えるのに対し,引用意匠は,エアキャップの中心から外れた位置に,小突起状の電極を配したものであって,塗料微粒子の帯電力に偏りが生じるといった印象を与えるから,この(相違点2)が意匠全体の美感に与える影響も大きい。

ウ 形態の類否判断
両意匠の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき,意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合,両意匠は,需要者が特に注視する部分である外部電極の有無に係る相違が,意匠全体の美感に与える影響が大きく,エアキャップに設けられた電極の形態及び配置態様の相違が意匠全体の美感に与える影響も大きいものであるから,両意匠の全体や各部の形態が共通することを考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえるから,両意匠の形態は類似しないものである。

3 小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が同一であるが,その形態において類似しないから,本願意匠と引用意匠は類似するということはできない。

第3 むすび

上記のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2021-04-26 
出願番号 意願2019-26340(D2019-26340) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K0)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木村 智加 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 江塚 尚弘
渡邉 久美
登録日 2021-06-04 
登録番号 意匠登録第1688291号(D1688291) 
代理人 特許業務法人ナガトアンドパートナーズ 
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