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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 C6
管理番号 1373842 
審判番号 不服2020-17761
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-25 
確定日 2021-05-13 
意匠に係る物品 冷蔵庫 
事件の表示 意願2019-19960「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は,令和1年(2019年)9月6日の意匠登録出願であって,令和2年7月16日付けの拒絶理由の通知に対し,同年8月24日に意見書が提出されたが,同年11月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「冷蔵庫」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は,本願出願前から公然知られたと認められる下記意匠1の形状をほとんどそのまま用い,その扉手掛け部を,本願出願前に公然知られた例えば下記意匠2に見られるような,L字状の手掛け部に置き換え,角部をやや角丸に形成した程度に過ぎませんので,当業者であれば容易に創作出来たものと認められます。

意匠1
意匠登録第1622681号の意匠

意匠2
意匠登録第0576625号の類似意匠登録第1号の意匠」

第4 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.本願意匠の認定
(1)本願意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,冷蔵庫である。

(2)本願意匠の形状
本願意匠は,主に以下の形状を認めることができる。
〔形状A〕全体が略縦長直方体であって,正面上部に横長長方形のフロントパネルを設けたもので,そのフロントパネルの右下に横長長方形の温度表示部を設けたものである。
〔形状B〕正面に,左開きの,平坦でやや縦長の長方形状の扉を上下2段として備えたものである。
〔形状C〕扉の端面に平面視で略L字状の取手を取付けたものである。
〔形状D〕略L字状の取手の角を小さなR形状にしたものである。
〔形状E〕取手は,正面視で先端部の上端及び下端を角丸処理としている。
〔形状F〕取手の奥行き長さ(左右方向の長さ)と,取手と扉の隙間の長さ(前後方向の長さ)の比率を約7:5として,取手の奥行長さを大きくしたものである。

2.本願意匠の創作の容易性について
(1)出願前に公然知られた形状
本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる形状は,以下のとおりである。
ア.意匠1より,
(ア)全体が略縦長直方体であって,正面上部に横長長方形のフロントパネルを設けたもので,そのフロントパネルの右下に横長長方形の温度表示部を設けたもの。
(イ)正面に,左開きの,平坦でやや縦長の長方形状の扉を上下2段として備えたものである。
イ.意匠2より,
(ア)扉の左端に平面視で略L字状の取手を取付けたもの。
(イ)取手の奥行き長さと,取手と扉の隙間の長さの比率を約3:2として,取手の奥行長さを大きくしたもの。

(2)本願意匠の創作の容易性について
本願意匠の形状のうち,(ア)全体が略縦長直方体であって,正面上部に横長長方形のフロントパネルを設けたもので,そのフロントパネルの右下に横長長方形の温度表示部を設け,(イ)正面に,左開きの,平坦でやや縦長の長方形状の扉を上下2段として備え,(ウ)扉の端に平面視で略L字状の取手を取付け,(エ)取手の奥行き長さを,取手と扉の隙間の長さより大きくした形状は,意匠1及び意匠2により本願の出願前に公然知られた形状に基づいて容易に創作をすることができたものと認められる。
しかし,本願意匠は,扉の端面に平面視で略L字状の取手を取付け,その取手の奥行き長さと,取手と扉の隙間の長さの比率を約7:5とし,取手の角を小さなR形状にしつつ,正面視で先端部の上端及び下端を角丸処理としている形状としており,この点については,本願の出願前の公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとまではいえない。

3.結び
したがって,本願意匠は,当審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,当審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2021-04-22 
出願番号 意願2019-19960(D2019-19960) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (C6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2021-05-21 
登録番号 意匠登録第1687376号(D1687376) 

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