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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 L2
管理番号 1374996 
審判番号 不服2021-2168
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-17 
確定日 2021-06-18 
意匠に係る物品 重し用袋体 
事件の表示 意願2020- 10028「重し用袋体」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、令和 2年(2020年) 5月22日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

令和 2年(2020年) 8月27日付け 拒絶理由の通知
同年 10月 6日 意見書の提出
同年 11月20日付け 拒絶査定
令和 3年(2021年) 2月17日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「重し用袋体」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原審の拒絶の理由及び引用した意匠

原審における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下、「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「この意匠登録出願の意匠に係る重し用袋体の分野においては、注排水部を種々の位置に配置することは、例えば下記の意匠1のように本願出願より前にごく一般的に見受けられます。
そうすると、本願出願前より公然知られた意匠2の土嚢型水袋の態様を基本とし、意匠3に見られるように注排水部を2箇所に設け、本願出願前よりごく一般的に見受けられる手法によって袋の表部の両端に配置するように変更したに過ぎない本願の意匠は、当業者であれば容易に創作をすることができたものです。

意匠3
【ミドリ安全】タイガーダムT型 商品紹介
[オンライン]
[掲載日 2016年5月22日]
[検索日 2020年8月25日]
インターネット:<URL:https://www.youtube.com/watch?v=ecHocogy0n4>
0:13/3:00参照

意匠1
特開2008-063925
図1および関連する記載によって表された防水用水嚢の意匠

意匠2
特開2001-073337
図1および関連する記載によって表された土嚢型水袋の意匠」

第4 当審の判断

以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願の意匠に係る物品は、水害等による浸水対策時や土木工事現場等において水嚢として用いられる「重し用袋体」である。

(2)本願部分
願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容から、本願部分の用途及び機能、位置、大きさ及び範囲、並びに形態は、以下のとおりである。

ア 本願部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分の用途及び機能は、内部に液体を充填し水を堰き止める用途及び機能を有し、その位置、大きさ及び範囲は、略横長長方形薄板の両端を除いた本体及び注水口の部分である。
イ 本願部分の形態
本願部分は、全体を略横長長方形薄板とし、上面の上下中央左右端部寄りの左右対称位置に、略円錐台筒形で頂部に栓体を取り付けた透明の注水栓(空気栓)を1つずつ設けて注水口としたものであって(以下、排水口も含め「注水口」という。)、注水により扁平な袋状に変形する。
縦横の長さ及び厚みの比率は、約1:5:0.04で、注水口の中心から端部までの長さは、横幅の約1/12で、注水口の高さは、厚みの約3倍である。

2 引用意匠の認定
引用意匠の認定にあたり、本願意匠の図の向きに、引用意匠の図の向きを合わせるものとする。

(1)意匠1(別紙第2参照)
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、災害時に土嚢の代わりに使用する「防水用水嚢」である。
イ 形態
意匠1は、全体が略横長直方体形状で、上面の上下中央右端部寄りと正面の左下隅に、略円筒形で頂部に栓体を取り付けた注水口を1つずつ形成している。
(2)意匠2(別紙第3参照)
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、主に、災害時に土嚢の代わりに使用する「土嚢型水袋」である。
イ 形態
意匠2は、全体を、扁平な略横長袋体とし、上面中央に、キャップ付きの略短円柱形の注水口を形成している。
平面視における縦横の長さの比率は、約1:14である。
(3)意匠3(別紙第4参照)
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、水害対策用に使用される水嚢である。
イ 形態
意匠3は、全体を、扁平な略横長袋体とし、上面中央に圧力弁を取り付け、その両脇に、キャップ付きの略短円柱形の注水口を1つずつ形成している。
平面視における縦横の長さの比率は、約1:10である。

3 本願意匠の創作性の検討
この物品の属する分野において、注水時に略横長袋体となる水嚢(意匠2及び意匠3)や水嚢の端部近くに注水口を2個設けたもの(意匠1)は、本願出願前に公然知られているものであり、また、注水口を頂部に栓体を取り付けた透明な略円錐台筒形としたものも、ごく普通に見られる態様であり、さらに、注水時に略横長袋体となる水嚢を、傾斜面に対し縦に設置する際、注水時は上側の注水口から注水し、排水時は下側の注水口から排水することができるよう袋体の両端に注水口を1つずつ設けたものも、下記の参考意匠に見られるように本願出願前から一般に知られているものであることから、これらの態様は、当業者にとって、格別の創作を要したものということはできない。

参考意匠(別紙第5参照)
特許庁発行の公開特許公報記載 特開2003-171917号
図1及びこれに関係する説明【0031】に記載された「防水袋体」の意匠

しかしながら、本願部分の、上面の上下中央左右端部寄りの左右対称位置に、注水口を1つずつ形成した態様は、引用意匠にはみられないものであり、一定の創作を有するものといわざるを得ない。
そうすると、本願部分の態様は、この種物品分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者が公然知られた形態に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、原審が示した理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2021-06-02 
出願番号 意願2020-10028(D2020-10028) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (L2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 美紗子 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 内藤 弘樹
加藤 真珠
登録日 2021-06-23 
登録番号 意匠登録第1689706号(D1689706) 
代理人 大池 聞平 
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