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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1375915 |
審判番号 | 不服2018-17206 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-12-26 |
確定日 | 2019-06-14 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2018-8920「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,意匠法第14条第1項の規定により本願に係る意匠(以下「本願意匠」という。)を3年秘密にすることを請求した,平成30年4月24日の意匠登録出願であって,同年8月13日付けの拒絶理由の通知に対し,同年9月12日に意見書が提出されたが,同月26日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願意匠は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由の具体的内容及び引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,以下のとおりである(別紙第2参照)。 本願意匠と引用意匠とは,(1)正面視における容器本体部分の縦横比が異なる点,(2)引用意匠の口部の態様が不明である点,に差異がありますが,その余の点では,いずれも全体の基本構成,及び具体的態様がほぼ共通し,当該共通点は両意匠の特徴を表しているところです。 そして,上記差異点(1)に関しては,本願意匠と引用意匠のいずれの態様のものも,本願出願前よりごく一般的に見受けられる態様のものであることから,患者の注意をひかないものであり,上記差異点(2)については本願意匠の口部は,本願出願前よりごく一般的に見受けられる態様のものであることから,患者の注意をひかないものですので,これらの差異点はいずれも類否判断に及ぼす影響は微弱であって,これらを総合しても,上記の共通点を凌駕するほどのものではありませんので,両意匠は類似しています。 大韓民国意匠商標公報 2017年 9月 6日17-26号 化粧品包装容器(登録番号30-0921735)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH29431276号) 第4 対比 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠に係る物品は「包装用容器」であり,引用意匠に係る物品は「化粧品包装容器」である。 2 両意匠の形状の対比 両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (1)共通点について ア 容器本体に口部を設けたものである点。 イ 容器本体(以下,単に「本体」ということもある。)の形状は,水平方向断面形状が長円形の,縦長の有底筒状とした点。 ウ 容器本体の,横幅:奥行きの寸法比を約2:1とした点。 (2)相違点について ア 容器本体の,高さ:横幅の寸法比につき,本願意匠は,約3:2としているのに対して,引用意匠は,約4:2である点。 イ 本体上面の形状につき,本願意匠は,正面視及び側面視において,ごく僅かな傾斜面としており,角をやや大きなR曲線としているのに対して,引用意匠は,水平面で,角を直角としている点。 ウ 本体下端の形状につき,本願意匠は,正面視及び側面視において,角を,上面角と同程度のやや大きなR曲線としているのに対して,引用意匠は,極小のR曲線としている点。 エ 口部につき,本願意匠は,本体上面中央に略円筒状の口部を設け,その周面上側に雄ネジを形成し,当該口部の下端に袴状(はかまじょう)にごく小さい段差を設けているのに対して,引用意匠は,キャップによって隠れているため,不明である点。 第5 判断 1 意匠に係る物品に対する判断 本願意匠に係る物品は「包装用容器」であって,願書の「意匠に係る物品の説明」欄の記載によると,化粧品等の液体物を収容する包装用容器である。 一方,引用意匠に係る物品は「化粧品包装容器」であって,その形状から,液体物を収容するものと認められる。 そうすると,両意匠共に,液体の化粧品等を収容する包装用容器であるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 2 両意匠における形状の評価 両意匠の需要者は,この容器に収容されている化粧品等の液体物を商品として購入し,使用する者と考えられる。 そして,両意匠は,共に手に持って使用するものと認められ,その使用状況と両意匠の大きさから,一目で全体の形状が観察できると認められることから,意匠全体の形状を,需要者の立場で類否判断するのが相当と考えられる。 (1)共通点について 包装用容器の分野においては,容器本体に口部を設けることはもちろんのこと,容器本体の形状を,水平方向断面形状が長円形の,縦長の有底筒状としたものも数多く見られることから,共通点ア及びイは,両意匠のみの特徴ある共通点とはいえず,両意匠の類否判断に与える影響は微弱である。 共通点ウによって,本体周面の曲率が同じになり,僅かな共通感が生じているが,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度にとどまる。 (2)相違点について 相違点アによって,本願意匠は,引用意匠に比べて,相対的に本体が低いことから,ずんぐりとしたものであるところ,引用意匠は,細長いものであるから,その両者の印象は異なり,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点イ及びウについては,それぞれ局部の形状といえ,併せて,この物品分野においてはよく見られる形状と認められるが,相違点アと相まって,本願意匠は,より丸みを帯びた印象を醸し出しているのに対して,引用意匠は,よりシャープな印象を醸し出しており,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点エについては,本願意匠の形状は,この種物品分野において,よく見られる形状であり,本願意匠独自の特徴とは認められないから,引用意匠の形状が不明であるとしても,両意匠の類否判断に与える影響は微弱なものと認められる。 (3)両意匠における形状の類否判断 以上のとおり,共通点アないしウは,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度にとどまり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点アないしウは,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。 よって,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似しないと認められる。 3 両意匠における類否判断 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似しない。 第6 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2019-06-04 |
出願番号 | 意願2018-8920(D2018-8920) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 田中 寛人 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 正田 毅 |
登録日 | 2019-07-12 |
登録番号 | 意匠登録第1638408号(D1638408) |