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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B3 |
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管理番号 | 1375923 |
審判番号 | 不服2021-194 |
総通号数 | 260 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-01-06 |
確定日 | 2021-06-29 |
意匠に係る物品 | コンタクトレンズ |
事件の表示 | 意願2020- 2211「コンタクトレンズ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、令和2年(2020年)2月6日の意匠登録出願であって、同年6月26日付けの拒絶理由通知書に対し、同年8月7日に意見書が提出されたが、同年9月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和3年1月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「コンタクトレンズ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書及び願書に添付した図面代用写真に記載のとおりとしたものである。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠とあわせて「両意匠」という。)に類似するものと認められるので、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠 表題 【新色レポ】エバーカラーワンデーナチュラルモイストレーベルUV、繊細カラーで上品な印象。大人ナチュラルアイ|カラコンレポ・口コミ byクイーンアイズ 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2019年2月8日 検索日 [2020年6月18日] 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス URL:https://www.queen-eyes.com/report/evercolor_natural_moist-2/ に掲載された「アーバンノワール」の「コンタクトレンズ」の意匠 また、判断理由に以下の判断が記載されている。 「なお、出願人は、令和2年2月26日付けで新規性喪失の例外証明書を提出していますが、引用意匠が掲載されているウェブサイトは、当該証明書において挙げられたウェブサイトとは異なるウェブサイトであり、かつまた、引用意匠のウェブサイトで公開されている画像は、当該証明書に開示された画像とは異なることから、両者は別の公開であると判断しています。」 第4 当審の判断 1 両意匠の類否判断について 両意匠の意匠に係る物品は、両意匠ともに主に美容用の用途に用いる「コンタクトレンズ」であって、角膜(黒目)と角膜の外縁に隣接する強膜(白目)の一部を被覆するものであり、コンタクトレンズに付した模様が、コンタクトレンズ装着者の虹彩の一部を覆うように構成してなるものである点で一致する。 そして、両意匠の形態について比較すると、全体形状は、透光性を有する略円板状体であって、角膜と角膜の外縁に隣接する強膜の一部を被覆可能とする曲率で、一方向に膨出してなるものであり、平面側に表れた具体的な態様についても、共通しているものといえる。 そうすると、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、その形態においても共通するものといえるので、本願意匠は引用意匠に類似するものと認められる。 2 審判請求人の主張について 審判請求人は、請求書において、原審拒絶理由通知書における引用意匠が掲載されたサイトにおける公開は、従業員Aによる過失により公開されたものであり、意匠登録を受ける権利を有する者である審判請求人の意に反して公開されたものである旨を、従業員Aの陳述書及び2019年2月1日付けメールの印刷物(写し)とともに提出した。 審判請求書では、引用意匠が公表されるに至った背景が詳細に説明されているようであり、陳述書を踏まえれば、当該事案において、秘密保持の要求は一応行っていたものと理解できる。更に、取引先との連絡内容についても、取引先に送付したメールの印刷物(写し)が提出されているため、一応の証拠は提出されているものと考えられる。 これらの証拠を踏まえれば、引用意匠が掲載されたサイトにおける公開が、審判請求人の「意に反して」なされたものであることが、陳述書及びメールの印刷物(写し)によりとりあえずは立証されており、このような立証を覆す特段の事情の立証のない限りは、結論として「意に反して」なされたものと認定して差し支えないものといえる。 そうすると、原審拒絶理由通知書における引用意匠が掲載されたインターネット・サイトにおける公開は、意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して意匠法第3条第1項第2号に該当するに至った意匠であると認められる。 3 小括 上記のとおり、両意匠の類否判断については、意匠に係る物品が一致し、両意匠の形態が共通するものといえるので、両意匠は類似するものの、引用意匠は、意匠登録を受ける権利を有する者の意に反して公開されたものであるから、意匠法第4条第1項の規定に基づき、意匠法第3条第1項第2号に該当するに至らなかったものとみなされる。 第5 むすび 以上のとおり、引用意匠は、意匠法第3条第1項第2号に掲げる意匠に該当するに至らなかったとみなされるから、本願意匠は、同条同項第3号に掲げる意匠に該当しないので、同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-06-08 |
出願番号 | 意願2020-2211(D2020-2211) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 史彬 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
木村 恭子 井上 和之 |
登録日 | 2021-07-20 |
登録番号 | 意匠登録第1692171号(D1692171) |
代理人 | 辻田 朋子 |