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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G1
管理番号 1375927 
審判番号 不服2020-17846
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-25 
確定日 2021-07-06 
意匠に係る物品 コンテナ 
事件の表示 意願2019- 21162「コンテナ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要

1 手続の経緯
本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする令和1年(2019年)9月20日の意匠登録出願であって,その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和1年(2019年)10月 9日付け:新規性の喪失の例外証明書の提出
令和2年(2020年) 4月30日付け:拒絶理由通知(1回目)の送付
同 年 6月16日 :拒絶理由通知(1回目)に対する意見書の提出
同 年 6月24日付け:拒絶理由通知(2回目)の送付
同 年 8月 5日 :拒絶理由通知(2回目)に対する意見書の提出
同 年 9月24日付け:拒絶査定
同 年 12月25日 :審判請求書の提出
令和3年(2021年) 2月15日 :手続補正書(補正対象書類:審判請求書)の提出

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠は,意匠に係る物品を「コンテナ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。),部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の令和2年(2020年)6月24日付けの2回目の拒絶理由通知における拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当する,というものである。
上記拒絶理由通知において引用された引例の意匠(以下「引用意匠」という。)は,以下のとおりである(別紙第2参照)。
「<引例の意匠>
世界知的所有権機関国際事務局(WIPO)による国際公開
国際公開番号 WO2019/074101
(発明の名称,容器,折り畳み容器)の[図1]及び[図4]に表された容器(符号:1)及び底部材(符号:2)からなる容器の意匠
なお,主な類否判断の対象となるのは,引例の意匠の,本願意匠が意匠登録を受けようとする部分に対応する部分です。」
以下,本審決では,引用意匠において本願部分と対比,判断する部分,すなわち,本願部分に相当する部分を,「引用部分」という。

第2 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願願書の【意匠に係る物品の説明】欄における「本物品は,物品の収納や移送等に用いるコンテナである。」の記載,及び引用意匠が掲載された特許協力条約に基づいて公開された国際出願(国際公開番号WO2019/074101)の明細書[0001]における「本発明は,組立式コンテナなどの容器(好ましくは折り畳み容器)に関する。」の記載に基づけば,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「コンテナ」であるといえるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,一致する。

(2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は,いずれも物品の収納や移送等に用いられる筐体であって,その内部に収納物品を収納し,保管する機能を有するものであるから,両部分の用途及び機能は一致する。

(3)両部分の位置,大きさ及び範囲の対比
両部分は,いずれもコンテナの正面部,背面部,及び左右側面部の外側側面部分に形成された大小の略長方形枠状に表れた部分,略長方形状に凹んだ部分及びこの凹んだ部分に配設されたカードホルダーの部分を除いたコンテナの上蓋及び筐体の部分であるから,両部分の位置,大きさ及び範囲は一致する。

(4)両部分の形態の対比
両部分の形態を対比する(以下,対比のため,引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとする。)と,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。

ア 形態の共通点
(共通点1)両意匠は,全体を,上方が開口した略直方体状の本体部分(以下「本体部」という。)の上面部分に,左右側面視において左右に開口する,観音開き扉状の上蓋部分(以下「上蓋部」という。)を取り付けた構成としている点で共通する。
(共通点2)両意匠は,本体部の形態を,肉厚な底面部分(以下「底部材」という。)の上面側縁部分において,その正面側及び背面側に,肉厚で横長の側面部分(以下「長側壁部」という。)を立設し,その左右側面側に,肉厚で長壁部より横幅の短い側面部分(以下「短側壁部」という。)を立設したものであって,各長側壁部及び短側壁部の上方中央部分には,僅かに湾曲した上辺部及び下辺部からなる略横長隅丸矩形状で,その内部を上方に向かって切り欠いた凹部(以下「手懸部」という。)を形成し,各長側壁部の手懸部より左右外側に位置する上辺部分には,略倒コの字状の切り欠き部を形成して上蓋部との連結部を設けている点で共通する。
(共通点3)両意匠は,底部材の形態を,周囲が底面に向かって窄んだ形態の略長方形板状体としたものであって,その四隅角部分には略細幅等脚台形状の傾斜面を形成し,底面部の各辺中央部分には断面視略直角三角形状の僅かに突出した突条部分(以下「底面突条部」という。)を設け,左右の底面突条部の中央部分には更に側面視略等脚台形状の切り欠き部を形成したものであって,この側面視略等脚台形状の左右切り欠き部の間には幅広の凹状溝部を長手方向に1条形成し,この溝部を挟んで,僅かに湾曲した上辺部及び下辺部からなる略横長隅丸矩形状の凹部を1対形成し,更にそれぞれの凹部と対称形の凹部をそれらが対向する配置となるように形成している点で共通する。
(共通点4)両意匠は,上蓋部の形態を,正面側上蓋部及び背面側上蓋部を,合わせ目の部分が側面視略クランク状になるように端部を形成して重ね合わせた構成としたものであって,正面側上蓋部及び背面側上蓋部の上面側縁部部分において,その中央部分には僅かに湾曲した上辺部からなる略横長隅丸矩形状の凹部と,この凹部より僅かに横幅のある略横長隅丸矩形状の凸部を一体的に形成した部分を設け,この凹部の左右部分には平面視略等脚台形状の切り欠き部を形成して長側壁部との連結部を設け,正面側上蓋部の背面側上蓋部との合わせ目の中央部分には,平面視略隅丸長方形状の下方に窄まった凹部を形成している点で共通する。

イ 形態の相違点
(相違点1)本願意匠の左右短側壁部の上辺部中央部分には,略横長隅丸長方形状の浅い切り欠き部を形成し,該部位に,全体が略隅丸長方形板状体で,その上半分の部分に略隅丸長方形状の開口部を設け,その開口部の下方部分に,略細長長円形状の部分が横一列に2つ表れる折曲部を設け,その折曲部の下端部に略長円形状の凹部を形成し,その凹部に更に円形状の凹部を,間隔をあけて横一列に3つ形成し,各円形状の凹部の中心部分には小円孔を形成した取付部を設けた構成からなるロック機構部分(以下「ロック部」という。)を取り付けているのに対し,引用意匠には,そのようなロック部を配設していない点で,両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠の上蓋部の合わせ目の左右端部をロック部の上部開口部に合わせて切り欠き,正面側上蓋部の切り欠き部分には,左側面視略倒L字状の突起部を形成し,背面側上蓋部の切り欠き部には,上辺部分の一部を略横長等脚台形状に突出した左側面視略長方形状の突出部を形成しているのに対し,引用意匠にはそのようなものを形成していない点で,両意匠は相違する。
(相違点3)本願意匠の正面及び背面側の底面突条部の中央部分には,正面視及び背面視が略等脚台形状の切り欠き部を形成しているのに対し,引用意匠にはそのようなものを形成していない点で,両意匠は相違する。

2 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は,同一である。

(2)両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は,同一である。

(3)両部分の位置,大きさ及び範囲の評価
両部分の位置,大きさ及び範囲は,物品全体の形態の中における位置,大きさ及び範囲が一致するから,同一である。

(4)両部分の形態の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は,「コンテナ」であり,両部分の意匠登録を受けようとする部分は,コンテナの本体部及び上蓋部の部分であるところ,この物品の需要者が両部分を観察する際は,ごく普通に見られる箱状の筐体部分だけではなく,使用時の利便性に係るような部分を強い関心を持って観察するものである。
そうすると,両部分の類否判断に際しては,使用時の利便性に係り,需要者が強い関心を持って観察する手懸の部分やロック機構部分の具体的な形態についても,需要者の注意を強く惹く部分であるとの前提に基づいて,両意匠の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について評価することとする。

ア 共通点の評価
(共通点1)は部分全体の形態に係るものであるが,両部分の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるから,この(共通点1)が部分意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)の本体部の形態は,この種物品において本願意匠出願前からごく普通にみられる形態(例えば,特開2006-205684,特開2011-37500参照)であって,両部分のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから,この(共通点2)が部分意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点3)の底部材の形態は,使用時には目に付かない底面部の形態に係り需要者の注意を強く惹くものとはいえないものの,底面部に幅広の凹状溝部や4つの略横長隅丸矩形状の凹部を形成している点に一定の特徴が認められるから,この(共通点3)が部分全体の美感に与える影響は一定程度ある。
(共通点4)の上蓋部の形態は,一般的に見られる観音開き扉の形式のものであって,需要者の注意を惹くものとはいえないものの,略横長隅丸矩形状の凹部と略横長隅丸矩形状の凸部を一体的に形成している点に一定の特徴が認められるから,この(共通点4)が部分全体の美感に与える影響は一定程度ある。

イ 相違点の評価
(相違点1)のロック部の形態,及び(相違点2)の上蓋部の合わせ目の左右端部の形態については,該部位は需要者が強い関心を持って観察するロック機構に係る部分であって,簡便な機構で斬新な形態の本願部分のものとロック部のない引用部分のものでは,需要者に別異の印象を強く与えるものであるから,これら(相違点1)及び(相違点2)が部分全体の美感に与える影響は大きい。
(相違点3)の正面及び背面側の略等脚台形状の切り欠き部の有無の相違については,いわれて気付く程度の相違にすぎず,この(相違点3)が部分全体の美感に与える影響は小さい。

ウ 両部分の形態の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点についての個別評価に基づき,両部分全体として総合的に観察した場合,両部分は,需要者が使用時に強い関心を持って観察するロック部及び上蓋部の合わせ目の左右端部の形態の相違点が,部分全体の美感に与える影響が大きいのに対し,部分全体の形態及び本体部の形態の共通点が部分全体の美感に与える影響は小さく,底部材及び上蓋部の形態の共通点が部分全体の美感に与える影響も一定程度のものであるから,これらの共通点に係る形態が相まって生じる視覚的効果を考慮しても,共通点が部分全体の美感に与える影響は,相違点が与える影響を覆すには至らないものであるから,本願部分の形態と引用部分の形態とは類似しないものである。

(5)小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が同一で,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲も同一であるが,両部分の形態において類似しないから,本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。

第3 むすび

上記のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2021-06-18 
出願番号 意願2019-21162(D2019-21162) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 加藤 真珠 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 江塚 尚弘
渡邉 久美
登録日 2021-07-12 
登録番号 意匠登録第1691361号(D1691361) 
代理人 奥野 彰彦 
代理人 SK特許業務法人 
代理人 伊藤 寛之 
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