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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 K9
管理番号 1375936 
審判番号 不服2021-939
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-01-22 
確定日 2021-08-02 
意匠に係る物品 歯車 
事件の表示 意願2020- 1726「歯車」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、令和 2年(2020年) 1月30日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

令和 2年(2020年) 7月 9日付け 拒絶理由の通知
同年 8月20日 意見書の提出
同年 10月15日付け 拒絶査定
令和 3年(2021年) 1月22日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとし、本意匠を意願2020-1725とする関連意匠の意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「歯車」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」ともいう。)を、「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原審の拒絶の理由及び引用した意匠

原審における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下、「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「この意匠登録出願の意匠に係る『歯車』の分野においては、歯部の任意の場所に種々の形状の弾性材料を取り付けることは、例えば下記の意匠1と意匠2においてみられるように、本願出願前よりごく一般的に行われています。
そうすると、本願出願前に公然知られた下記の意匠3の歯部に、表されている略円形状の凹部の箇所に弾性材料を取り付けたまでに過ぎない本願意匠は、当業者であれば、容易に創作することができたものと認められます。

意匠1
特許庁発行の公表特許公報記載
特表2016-509180
図3および関連する記載によって表された歯車の意匠

意匠2
特許庁発行の公表特許公報記載
特表2016-509180
図5および関連する記載によって表された歯車の意匠

意匠3
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2008-115886
図6(A)および関連する記載によって表された歯車の意匠のうち当該部分の意匠」

第4 当審の判断

以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願の意匠に係る物品は、機械部品として用いられる「歯車」である。

(2)本願部分
願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容から、本願部分の用途及び機能、位置、大きさ及び範囲、並びに形態は、以下のとおりである。

ア 本願部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分は、弾性体からなるものであり、他の歯車と噛み合う際に発生するノイズ(歯打ち音)を低減させる用途及び機能を有するものであって、略円盤状の歯車の上端中央に形成される歯の正面視左右中央下端寄りに位置し、歯の1割強程度の大きさ及び範囲である。
イ 本願部分の形態
本願部分は、正面視略円形である。

2 引用意匠の認定
引用意匠の認定にあたり、本願意匠の図の向きに、引用意匠の図の向きを合わせるものとする。

(1)意匠1(別紙第2参照)
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、自動車のエンジンに使用される「スプロケット(歯車)」である。
イ 形態
意匠1は、歯車の上端に形成される2つ並んだ略富士山形の歯の先端において、軸方向縦に形成した略縦長長方形状の切欠きに弾性体を充填したものである。
(2)意匠2(別紙第3参照)
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、自動車のエンジンに使用される「スプロケット(歯車)」である。
イ 形態
意匠2は、歯車の上方に形成される2つ並んだ略山形の歯の歯幅中央において、周方向に沿って細帯状の弾性体を充填したものである。
(3)意匠3(別紙第4参照)
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、精密機器等に使用される「斜歯(はすば)歯車」である。
イ 形態
意匠3は、歯車の上端に形成される略等脚台形の歯の正面視中央に、略円形の凹陥を設けたものであって、当該凹陥は、正面視において歯の3割強程度の大きさである。

3 本願意匠の創作性の検討
この物品の属する分野において、歯車同士の噛み合いによるノイズの発生を抑制するため、歯車の表層全体に別部材(樹脂)を取り付けたものや(例えば、特開2004-150518の樹脂歯車の意匠。)、当該歯の先端に部分的に弾性体を充填したもの(意匠1及び意匠2)が、本願の出願前に公然知られているものである。
また、当該歯の正面箇所に略円形の凹陥を設け、歯車の噛み合いの際、凹陥周縁が弾性変形することでノイズの発生を抑制するもの(意匠3)も、本願の出願前に公然知られているものである。
しかしながら、本願部分のように、歯車の歯の正面視左右中央下端寄りの位置に、歯の1割強程度の大きさの正面視略円形の弾性体をはめ込むことによって、歯車同士の噛み合いによるノイズの発生を抑制するものは、本願部分の他には見られないものであるから、本願部分は、当業者にとって、格別の創作を要したものといわざるを得ない。
そうすると、本願部分の態様は、この種物品分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者が公然知られた形態に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。
なお、本願意匠及び本意匠は、当該意匠登録を受けようとする部分の位置、大きさ及び範囲並びに形態において若干相違する箇所が認められるが、いずれも微弱なものであるから、本願意匠は、意匠法10条1項の規定に該当しないとすることはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、原審が示した理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2021-07-14 
出願番号 意願2020-1726(D2020-1726) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (K9)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 美紗子 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 内藤 弘樹
加藤 真珠
登録日 2021-08-06 
登録番号 意匠登録第1693562号(D1693562) 
代理人 黒川 朋也 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 野間 悠 
代理人 野村 信三郎 
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