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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5 |
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管理番号 | 1376804 |
審判番号 | 不服2020-17601 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-12-23 |
確定日 | 2021-07-26 |
意匠に係る物品 | 再利用可能かつ密閉可能なボウル |
事件の表示 | 意願2020- 1101「再利用可能かつ密閉可能なボウル」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年(2020年)1月23日(パリ条約による優先権主張2019年7月30日、アメリカ合衆国)の意匠登録出願であって、令和2年(2020年)6月15日付けの拒絶理由の通知に対し、同年9月15日に意見書が提出されたが、同年9月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願意匠は、意匠に係る物品を「再利用可能かつ密閉可能なボウル」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当し、意匠登録を受けることができないとしたものであって、当該拒絶の理由に引用された意匠は、下記のとおりである(別紙第2参照)。 著者の氏名 KICKSTARTER 表題 Zip Top Reusable Containers Stand Up, Stay Open & Zip Shut 掲載箇所 第1頁写真の左端及び第10頁「LARGE」と表示された写真 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2018年10月3日-2018年11月2日 ※第29頁において、プロジェクト期間として、「2018年10月3日-2018年11月2日(30日)」との記載があります。 検索日 令和2(2020)年6月12日 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス https://www.kickstarter.com/projects/1246120690/zip-top-reusable-containers-stand-up-stay-open-and?lang=ja に掲載された、食品保存用容器の意匠 第4 対比 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は、「再利用可能かつ密閉可能なボウル」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「食品保存用容器」であるが、いずれも食品の調理や保存に用いる容器という点で、その用途及び機能が共通するから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は一致する。 2 形態の対比 引用意匠については、本願意匠の図面の向きにあわせて認定し、本願意匠と対比する。 (1)共通点 (共通点1)両意匠は、開閉可能な封止部を上方に備えた自立する有底容器とした全体の基本構成が共通する。 (共通点2)両意匠は、平面視で、底部が略トラック形状であって、開口部が略横長舟形をなし、正面視で左右の外形状が上方に向かって湾曲して外側に広がる形状が共通する。 (共通点3)両意匠は、開口部内側上端中央に横長線状突起部を設けている点が共通する。 (2)相違点 (相違点1)本願意匠は、線図によるもので色彩を有していないのに対して、引用意匠は、全体が透光性を有する水色である点で、両意匠は相違する。 (相違点2)本願意匠は、正面及び背面の左右方向中央付近に、下端から上方に延びる略縦長半トラック形状の筋模様を設けているのに対して、引用意匠は正面左右方向中央の開口部寄りの位置に、周囲より透過性の高い略横長トラック形状として表れる部分を設けている点で、両意匠は相違する。 (相違点3)本願意匠は、左側面及び右側面の上部中央に、略正方形状の筋模様を設けているのに対して、引用意匠にはそのような模様はない点で、両意匠は相違する。 (相違点4)本願意匠は、左側面及び右側面の内側の上方寄り中央に、略横長長方形状の筋模様を設けているのに対して、引用意匠は不明である点で、両意匠は相違する。 (相違点5)封止部の具体的な形状について、引用意匠は不明である点で、両意匠は相違する。 (相違点6)開口部内側上端中央の横長線状突起部について、本願意匠は、上下に平行する2本の突起部で構成し、かつ、片側のみに設けているのに対して、引用意匠は、1本の突起部を両側に設けている点で、両意匠は相違する。 第5 判断 1 意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 2 形態の共通点及び相違点の評価 両意匠は、食品の調理や保存に用いる容器であるから、需要者は対象の食品等が収納可能な外形状であるかといった点や、表面模様の態様など、物品の外観を注意深く観察するものといえ、また、使用にあたっては、開口部の態様にも着目するということができる。 したがって、これらの観点を踏まえた視覚的印象の影響について評価することとする。 (1)共通点の評価 共通点1は、この種物品分野において一般的に見られる構成であるから、両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 共通点2は、両意匠全体の形状に関わる特徴であるから、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 共通点3は、需要者が着目する開口部に係るものであるから、両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。 (2)相違点の評価 相違点1について、引用意匠のように全体が有色透明なものは、この種物品分野においてはよく見られるものであるから、この相違点が類否判断に及ぼす影響は小さい。 相違点2及び相違点3は、需要者が直接目にする外観に係るものであり、これら表面の態様の相違は、需要者に異なる視覚的印象を強く与えるものといえるため、類否判断に及ぼす影響は極めて大きい。 相違点4は容器内部に係るものであるから、この相違点が類否判断に及ぼす影響は微弱である。 相違点5は、開口部の内側に係るものであり、需要者が着目する部分ではあるが、本願意匠の封止部の具体的形状に格別の特徴は認められないから、この相違点が類否判断に及ぼす影響は微弱である。 相違点6についても需要者が着目する部分ではあるが、ともに開口部内側上端中央に横長線状突起部を設けた点では共通しており、その中での突起部の具体的な態様の相違であるから、この相違点が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 3 両意匠の類否判断 両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、特に表面の態様の相違は、需要者に異なる視覚的印象を強く与え、類否判断に及ぼす影響が極めて大きく、全体の基本構成や形状が共通することを考慮しても、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。 第6 むすび 以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-07-07 |
出願番号 | 意願2020-1101(D2020-1101) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 智加 |
特許庁審判長 |
北代 真一 |
特許庁審判官 |
井上 和之 江塚 尚弘 |
登録日 | 2021-08-25 |
登録番号 | 意匠登録第1694727号(D1694727) |
代理人 | 石川 大輔 |
代理人 | 飯田 貴敏 |
代理人 | 森下 夏樹 |
代理人 | 山本 健策 |
代理人 | 山本 秀策 |