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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3 |
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管理番号 | 1376811 |
審判番号 | 不服2021-687 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-01-18 |
確定日 | 2021-08-05 |
意匠に係る物品 | シャンデリア |
事件の表示 | 意願2020- 1682「シャンデリア」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,令和2年(2020年)1月30日の意匠登録出願であって,令和2年7月6日付けの拒絶理由の通知に対し,同年7月27日に意見書が提出されたが,同年12月9日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和3年1月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真によれば,意匠に係る物品を「シャンデリア」としたものであって,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)を,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとしたものであって,当該拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。 「引用意匠: 著者の氏名 Amazon.co.jp 表題 【中古】トラック用 シャンデリア 掲載箇所 ページ左上の商品写真部の複数の商品画像 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2013年8月18日 検索日 [2020年7月1日検索] 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B00EMVEU40 に掲載された,シャンデリアの意匠」 第4 当審の判断 1 両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は,共に「シャンデリア」であり,トラック等の車内に取り付ける装飾用の照明器具と認められる。 (2)形態 以下において,引用意匠の向きを本願意匠の向きに合わせて認定する。 (2-1)共通点 共通点1:本体の全体を横長の略角筒形状としたものである。 共通点2:本体の上面の前側辺を,直線の太い金色のフレームで,本体の左右両側を,側面視で前辺と下辺を曲線でつないだ縦長略倒立直角台形の太い金色のフレームで構成したものである。 共通点3:本体の上面と背面を金色の板状材で構成したものである。 共通点4:本体の上面の前端から背面の下端にかけての前面を,本体の横幅一杯の装飾体で構成したものである。 共通点5:装飾体は,ほぼ同じ長さの宝石状鎖と金色のチェーンを繰り返し多数ぶら下げたものである。 共通点6:宝石状鎖は,多数の透明なビーズを連結環でつないだものである。 共通点7:背面の板状材の内側に,光源を複数設けたものである。 (2-2)相違点 相違点1:本体の左右両側のフレームについて,本願意匠は,前辺の下部を強く曲げて,水平な下辺へとつなげた形状であって,その縦横比を約1.5対1としたものであるのに対して,引用意匠は,前辺と下辺で略放物線状を描く形状であって,その縦横比を約2対1としたものである。 相違点2:背面の板状材について,本願意匠は,上部の約3分の1を前方へ約45度に傾く斜面としたものであるのに対して,引用意匠は,上部を斜面としていないものである。 相違点3:本体上面の板状材について,本願意匠は,水平としたものであるのに対して,引用意匠は,前方へ僅かに上がる傾斜面としたものである。 相違点4:装飾体について,本願意匠は,下端が本体の左右側フレームよりも下の位置に達する長さで,側面視で懸垂曲線の略Jの字状になっているのに対して,引用意匠は,不明である。 相違点5:装飾体について,本願意匠は,1条の宝石状鎖と2条のチェーンを繰り返し設けたものであるのに対して,引用意匠は,1条の宝石状鎖と1条のチェーンを繰り返し設けたものである。 相違点6:光源について,本願意匠は,背面の板状材の下部に上向きに設けたものであるのに対して,引用意匠は,背面の板状材の上部に下向きに設けたものである。 2 両意匠の類否 (1)意匠に係る物品について 両意匠の意匠に係る物品は,共に「シャンデリア」であるから,同一と認められる。 (2)形態について (2-1)共通点の評価 共通点1ないし5は,物品全体の基本的な構成に係るものであり,需要者に一定の共通感をもたらすものであるが,共通点1については,物品全体の形状を大雑把に捉えたものであり,共通点2ないし5については,この物品分野において両意匠にのみ見られる形態といえる程のものではないし,具体的に見れば,左右両側のフレームには相違点1,背面の板状材には相違点2,装飾体には相違点4の相違を内包しているから,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度にとどまる。 共通点6は,細部に係るものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 共通点7は,装飾体の奥の見えづらいものであって,具体的に見れば相違点6を内包しているものであるから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 (2-2)相違点の評価 相違点1は,横方向から観察した場合に気が付く相違であるが,本願意匠は引用意匠と比べて厚み(ボリューム感)が有り,相違点1の本願意匠特有の形状で,豪華な印象をもたらす点をより強調するという点が認められるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。 相違点2は,背面の上部という,物品全体から見れば部分的なもので,装飾体の向こう側で,使用状態においては目に触れにくい部分に係るものであるが,点灯時においては,背面に斜面を有する本願意匠の方が,反射効果により,引用意匠よりもきらびやかな印象をもたらすと推認できるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。 相違点3は,軽微な相違といえるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 相違点4は,この種物品において要ともいえる装飾体における相違であるところ,両意匠に共通する形態を備えたシャンデリアにおいては,装飾体は,本体の左右両側のフレームの形状に合わせた略ノの字状としたものが従来一般的であったところ,装飾体の長さを従来のものより伸ばし,本体の左右側フレームよりも下まで達する略Jの字状にした形状は,本願意匠特有のものと認められ,この本願意匠特有の形状は,看者にゆったりとした豪華な印象をもたらすものであるのに対して,引用意匠の形状は不明であるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 相違点5は,凝視しないと気が付かない相違といえるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 相違点6は,装飾体の奥の見えづらいものであるが,光源の位置や向きに係る相違であるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。 (2-3)形態の類否 両意匠の形態の共通点及び相違点の評価は上記のとおりであって,特に相違点4は,両意匠に異なる印象をもたらすものであり,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれを凌駕するものといえるから,両意匠の形態は類似しない。 (3)小括 そうすると,両意匠は,意匠に係る物品は同一であるが,形態は類似しないから,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。 3 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-07-20 |
出願番号 | 意願2020-1682(D2020-1682) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 宗 裕一郎、杉田 翠 |
特許庁審判長 |
上島 靖範 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2021-08-11 |
登録番号 | 意匠登録第1693675号(D1693675) |
代理人 | 奥 佳晃 |