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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 M2 |
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管理番号 | 1377845 |
審判番号 | 不服2018-6446 |
総通号数 | 262 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-10-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-05-10 |
確定日 | 2018-09-25 |
意匠に係る物品 | 湯水混合水栓 |
事件の表示 | 意願2016- 25343「湯水混合水栓」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,意匠法第14条第1項の規定により本願の意匠(以下「本願意匠」という。)を3年間秘密にすることを請求する,平成28年11月22日の意匠登録出願であって,平成29年9月22日付けの拒絶理由の通知に対し,平成29年11月1日に意見書が提出されたが,平成30年2月14日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成30年5月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願意匠は,意匠に係る物品を「湯水混合水栓」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」ともいう。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作することができたものと認められるので,意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当する,というもので,具体的には以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠に係る「湯水混合水栓」の分野においては,ハンドル部(グリップ部)の形状を,種々の形状に置き換えることは,本願出願前よりごく一般的に行われています。 そうすると,本願出願前に公然知られた下記の意匠1のハンドル部の形状を,本願出願前に公然知られた下記の意匠2のハンドル部の形状に置き換えたに過ぎない本願の意匠は,当業者であれば,容易に創作することができたものです。 <意匠1>(別紙第2参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1521013号の意匠 <意匠2>(別紙第3参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1335568号の意匠」 第4 当審の判断 以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。 1 本願意匠の形態 当審では,本願意匠の図の向きは,シャワーヘッド部に正対した視点を正面とし,添付図面の正面図を右側面図,左側面図を正面図,右側面図を背面図,平面図は左に90度,底面図は右に90度回転させたものとして認定する。 本願意匠は,(1)ハンドル,水栓本体,及びシャワーヘッドグリップから成るものであって, (2-1)ハンドルは,水栓本体上部に被嵌され,略円筒形の土台部と舌片状板体の把持部が上面を面一にして一体的に形成されており,(2-2)平面視形状を,全体の構成比率が,縦横を約2.5対1,背面側と正面側の幅を約1対0.7とする正面側が窄まった角丸長方形状とし,(2-3)側面視して,把持部は全体が肉薄で,正面側上方に向かって傾斜し,(2-4)把持部の下面は,中央に凹部が形成され,外形状に沿って細幅に縁部を残した形状線が看取され,(2-5)土台部は,側面視して径と背面側の高さの比が約1対0.5である。 (3)水栓本体は,縦横比が約5対2の垂直な円柱の下方約4分の1から当該円柱の約3分の2の径の円柱が斜め上方に分岐したものである。 (4-1)シャワーヘッドグリップは,上面が丸みを帯びたシャワーヘッド部を先端とし,グリップ部によって水栓本体と連結しており,(4-2)シャワーヘッド部全体の構成比は,正面視して吐水口前縁から上端までの高さと横幅が約1対1.3,側面視して,高さと前端からグリップ部上端までの幅が約1対2で,(4-3)正面視して略中央に角丸長方形状の操作ボタンが,外形状から僅かに突出するように設けられ,下端には吐水口下面から延出した操作レバーが設けられており,(4-4)グリップ部は,径と長さが約1対3.5で水栓本体側が極僅かに縮径した円柱状である。 2 本願意匠の創作容易性について この種物品分野において,ハンドル,水栓本体,及びシャワーヘッドグリップから成る湯水混合水栓であって,ハンドルが水栓本体上部に被嵌され,略円筒形の土台部と舌片状板体の把持部が上面を面一にして一体的に形成されているものは,意匠1をはじめとして極普通に見られる形態であり,また,水栓本体を縦横比が約5対2の垂直な円柱の下方約4分の1から当該円柱の約3分の2の径の円柱が斜め上方に分岐したものにシャワーヘッドグリップを接合し,シャワーヘッドグリップのグリップ部を,径と長さが約1対3.5で水栓本体側が極僅かに縮径した円柱状とした形態は,意匠1に見られる形態であって,本願出願前より公知であるから,これらの形態に基づくものについては,創作が容易でなかった理由は認められないが,本願意匠のハンドル及びシャワーヘッド部の形態については,意匠1のシャワーヘッド部及び意匠2のハンドルが公然知られた形態であっても,以下の(1),(2)のとおり,本願意匠のハンドル及びシャワーヘッド部とは形態が相違するから,これらの形態については,本願出願前に見られないものというほかなく,また,これらの形態は相違が顕著なものであって,当業者であれば容易にできる変形,あるいは,本願意匠の属する分野において常とう的な変更によるものともいうことができないから,本願意匠は,本願出願前に公然知られた形態に基づいて容易に創作することができたものということはできない。 (1)本願意匠のハンドルと意匠2のハンドルの対比 平面視形状の構成比は,本願意匠のハンドル(以下「本願ハンドル」という。)が,全体の縦横を約2.5対1,背面側と正面側の半円の径を約1対0.7としているのに対し,意匠2のハンドル(以下「意匠2ハンドル」という。)は,それぞれ約3対1,約1対0.8として全体の縦横比を異にすることから,本願ハンドルは意匠2ハンドルに比べて正面側が窄まった形態であり,一体的に形成された把持部と土台部の上面は,本願ハンドルが,中央がやや膨らんだ湾曲面で形成されているのに対して,意匠2ハンドルは,平坦面で形成され,側面視した把持部の厚みは,本願ハンドルが,全体に肉薄で,土台部近傍と先端部を除いてほぼ均一な厚みで,土台部を除いた把持部の長さと把持部中央付近の厚みの比が約15対1であるのに対して,意匠2ハンドルは,全体に肉厚で,先端にかけて徐々に肉薄となり,把持部の長さと中央付近の厚みの比は約9対1である。また,把持部の下面は,本願ハンドルが凹部を形成して,外形状に沿った細幅の形状線が表れるのに対して,意匠2ハンドルは,凹部が形成されていないものである。 そして,側面視した土台部は,本願ハンドルが,径と背面側の高さの比を約1対0.5としているのに対して,意匠2ハンドルは約1対0.85である。 そうすると,本願ハンドルは上面が湾曲面を形成し,先端側が窄まっており,平面から底面にかけての丸みのある縁部に加え,これに肉薄な態様が相まって,曲面的な印象があるのに対して,意匠2ハンドルは上面が平坦で,肉厚な態様が相まって,縁部の角が強調されており,平面的な印象で,土台部については,本願ハンドルが太く短い印象であるのに対して意匠2ハンドルが細長い印象であるから,両意匠のハンドルの形態には顕著な相違がある。 (2)本願意匠のシャワーヘッド部と意匠1のシャワーヘッド部の対比 全体の構成比が,本願意匠のシャワーヘッド(以下「本願シャワーヘッド部」という。)は,正面視した高さと幅が約1対1.3で,側面視した高さと幅が約1対2であるのに対して意匠1のシャワーヘッド部(以下「意匠1シャワーヘッド部」という。)はそれぞれが約1対1.1と約1対1.6である。 また,本願シャワーヘッド部は操作ボタンが,角丸長方形状で,外形状から僅かに突出しており,操作レバーが吐水口下面から延出しているのに対して,意匠1シャワーヘッド部は,操作ボタンが,横長矩形状で大きく突出しており,操作レバーが正面下端を矩形状に切り欠いて取り付けられている。 そうすると,本願シャワーヘッド部は意匠1シャワーヘッド部と比べて正面視及び側面視において幅があることから,全体に扁平で上面が緩やかな湾曲面から成る印象であり,加えて操作ボタン及び操作レバーの形態が大きく相違しているから,両意匠のシャワーヘッド部の形態には顕著な相違がある。 3 結び したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-09-10 |
出願番号 | 意願2016-25343(D2016-25343) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(M2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 樫本 光司 |
特許庁審判長 |
木本 直美 |
特許庁審判官 |
宮田 莊平 温品 博康 |
登録日 | 2018-10-12 |
登録番号 | 意匠登録第1617043号(D1617043) |