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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K1 |
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管理番号 | 1379897 |
審判番号 | 不服2018-10056 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-07-23 |
確定日 | 2018-10-26 |
意匠に係る物品 | 携帯用動力工具 |
事件の表示 | 意願2017- 16934「携帯用動力工具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年(2017年)8月4日の意匠登録出願であって、平成30年1月31日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年3月22日に意見書が提出されたが、平成30年4月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成30年7月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品を「携帯用動力工具」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「赤色に着色された部分を除く部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。斜視図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることができない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠は、特許庁発行の意匠公報(発行日:平成3年(1991年)3月13日)に記載された、意匠登録第808780号(意匠に係る物品、ドライバー)の意匠であって、その形態を、同公報に記載されたとおりとしたものであり、引用意匠において本願部分と対比、判断する部分を本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。 第4 対比 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は、「携帯用動力工具」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「ドライバー」であるが、本願意匠に係る物品も先端部にドライバービットを装着することでドライバーとして使用可能なものであって、いずれもドライバーとしての用途及び機能を有するものであるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通するといえる。 2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも工具の柄として用いられる部分であり、工具先端にドライバービットを装着し、工具を把持することを主たる機能とするものであるから、主な用途及び機能が共通する。 3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比 両部分は、いずれも、工具における先端に設けられたビットを除いた柄の部分であるから、両部分の物品全体の形態の中における位置、大きさ及び範囲が一致する。 4 両部分の形態の対比 両部分の形態を対比する(なお、対比のため、本願意匠の図面における正面、平面等の向きを、引用意匠にもあてはめることとする。)と、両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 (1)両部分の形態の共通点 (共通点1)両部分は、略球体形状の柄尻部分(以下「柄尻部」という。)と軸先に向かって漸次先細る略砲弾形状の本体部分(以下「本体部」という。)を、くびれ部を介して一体的に形成し、部分全体を略瓢箪形状とした点で共通する。 (共通点2)両部分は、柄尻部の軸先側端部及び柄尻側端部を除く周面部分に帯状の滑り止め部を設け、その滑り止め部の帯状部分の両端部を除いた表面全体に略菱形形状の凸部を斜め格子状に配置し、その滑り止め部の左右側面部に略大円形状の浅い凹みを1つずつ形成した点で共通する。 (共通点3)両部分は、本体部の最も大径な周面部分に帯状の滑り止め部を設け、その滑り止め部の帯状部分の両端部を除いた表面全体に略菱形形状の凸部を斜め格子状に配置した点で共通する。 (2)両部分の形態の相違点 (相違点)本願部分は、柄尻部の軸先側端部から本体部の滑り止め部分よりやや軸先寄りの位置にかけて、柄尻部側を半円柱状とし、軸先側を傾斜面とした、上面にスイッチを内設した略横長隅丸長方形板状の台座部を突設しているのに対して、引用部分には、そのような突出部を設けていない点で、両部分は相違する。 第5 判断 1 意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通するから、類似する。 2 両部分の用途及び機能の類否判断 両部分の用途及び機能は、主な用途及び機能が共通するから、類似する。 3 両部分の位置、大きさ及び範囲の評価 両部分の位置、大きさ及び範囲は、物品全体の形態の中における位置、大きさ及び範囲が一致するから、同一である。 4 両部分の形態の共通点及び相違点の評価 (1)両部分の形態の共通点の評価 (共通点1)は、部分全体の形状に係るものではあり、(共通点2)及び(共通点3)は、工具使用時に重視される滑り止め部分に係るものであるが、これらの形態は、この種物品分野における柄の部分及び滑り止め部分の形状としては数多く存在し、極普通に見られるものにすぎないから、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず、(共通点1)ないし(共通点3)が部分全体の美感に与える影響は小さい。 (2)両部分の形態の相違点の評価 (相違点)における台座部の有無の相違は、動力工具として使用する際に特に注意を惹く部位であって、本願意匠が上面にスイッチを内設した台座部を設けて電動工具として使用できる形態であるとの印象を与えるのに対して、引用意匠は、スイッチを含めそのような台座部がなく手動工具として使用するものとの印象を与えるのであるから、両意匠は台座部の部分における美感に大きな差異がある。 5 両意匠の類否判断 両部分の形態における共通点及び相違点についての評価に基づき、意匠全体として両意匠を総合的に観察した場合、両部分は、需要者の注意を惹く台座部の部分における美感に大きな差異があり、部分全体の形状や滑り止め部分の形状における共通点を考慮したとしても、部分意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が類似し、両部分の用途及び機能が類似し、両部分の位置、大きさ及び範囲が同一であるが、その形態において、部分意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。 第6 むすび 以上のとおりであって、原審が引例した引用意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから、本願については、原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-10-10 |
出願番号 | 意願2017-16934(D2017-16934) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石川 天乃、加藤 真珠、富永 亘 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 江塚 尚弘 |
登録日 | 2018-11-30 |
登録番号 | 意匠登録第1620897号(D1620897) |
代理人 | 石井 隆明 |
代理人 | 野村 慎一 |
代理人 | 藤本 昇 |