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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1379906 
審判番号 不服2021-7989
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-17 
確定日 2021-11-02 
意匠に係る物品 カテーテル 
事件の表示 意願2020- 9539「カテーテル」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要

1 手続の経緯
本願は,令和2年(2020年)5月14日の意匠登録出願であって,その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年(2020年)11月25日付け:拒絶理由通知(1回目)の送付
令和3年(2021年) 1月 5日 :拒絶理由通知(1回目)に対する意見書の提出
同 年 1月29日付け:拒絶理由通知(2回目)の送付
同 年 3月 9日 :拒絶理由通知(2回目)に対する意見書の提出
同 年 4月19日付け:拒絶査定
同 年 6月17日 :審判請求書の提出

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠は,意匠に係る物品を「カテーテル」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。),部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を,「実線で表された部分が,意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の令和3年(2021年)1月29日付けの2回目の拒絶理由通知書における拒絶の理由は,本願意匠が,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当する,というものである。
上記拒絶理由通知において引用された意匠は,日本国特許庁発行の公開特許公報(公報発行日:昭和62年(1987年)11月13日)に記載された,昭和62年特許出願公開第261371号の第1図に示された「カテーテル」の意匠(以下「引用意匠」という。)である(別紙第2参照)。
以下,本審決では,引用意匠において本願部分と対比,判断する部分,すなわち,本願部分に相当する部分を,「引用部分」という。

第2 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも血管の内部に血管造影剤を注入する際,または,腫瘍閉塞用の塞栓材等を挿入する際に使用される,血管造影用及び治療用の「カテーテル」であるから一致するものである。

(2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途は,血管造影用及び治療用のカテーテルにおいて,血管造影剤を注入するため,または,腫瘍閉塞用の塞栓材等を挿入するために用いられる湾曲した柔軟なカテーテルの先端部分であるから一致するものである。
一方,両部分の機能については,両部分は,血管内を患部に近い箇所まで進入し,血管造影剤を注入し,腫瘍閉塞用の塞栓材等を挿入することができる機能を有している点で一致するものであるが,引用部分にはX線造影装置によってX線造影輪状体の位置を確認することでカテーテル先端部分のねじれを検出することができる機能を有している点で異なるものである。

(3)両部分の位置,大きさ及び範囲の対比
両部分は,いずれもカテーテルの先端部を操作するためのコネクタ部及び血管に挿入される細長いシャフト部からなるカテーテルのシャフト部の先端部分に位置し,シャフト部の略円弧状の先端部分及びそれとつながる略直線状の先端近傍部分であるから,両部分の位置,大きさ及び範囲は一致する。

(4)両部分の形状等の対比
両部分の形状等を対比する(以下,対比のため,引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとする。)と,その形状等には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。

ア 形状等の共通点
(共通点1)両部分は,部分全体の基本的な構成態様が,略横J字状としている点で共通する。
(共通点2)両部分は,部分全体の具体的な構成態様が,シャフト部の先端近傍部分に形成された略直線状の部分(以下「基部」という。),この基部から延びる略大円弧状に湾曲した形状の湾曲部分(以下「基部側カーブ」という。),基部側カーブの先端部分から延びる基部側カーブの湾曲方向と反対の方向に略鈍角状に湾曲した形状の湾曲部分(以下「先端カーブ」という。),及び先端カーブの先端部分から延びる短い略円筒形状の直線状部分(以下「先端部」という。)からなる構成の形状としている点で共通する。

イ 形状等の相違点
(相違点1)本願部分の基部の形状は,略円環状のX線造影輪状体のない略円筒形状であるのに対し,引用部分の基部の形状は,略円環状のX線造影輪状体がほぼ等間隔に4つ配設した略円筒形状である点で,両部分は相違する。
(相違点2)本願部分の先端カーブにつながる基部側カーブの先端部分には,短い直線部分,緩い湾曲部分,及び短い直線部分からなる略「く」の字状の屈曲部分(以下「屈曲部」という。)を形成しているのに対し,引用部分には,そのような屈曲部を形成していない点で,両部分は相違する。
(相違点3)本願部分のシャフト部は,その口径が小さい細長い線状の管体であるのに対し,引用部分のシャフト部は,その口径が大きい略円筒状の管体である点で,両部分は相違する。

2 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は,同一である。

(2)両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途は,同一であるが,両部分の機能は,引用部分にのみカテーテル先端部分のねじれを検出する機能を有しているから相違するものである。

(3)両部分の位置,大きさ及び範囲の評価
両部分の位置,大きさ及び範囲は,物品全体の形態の中における位置,大きさ及び範囲が一致するから,同一である。

(4)両部分の形状等の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は,血管の内部に血管造影剤を注入する際や,腫瘍閉塞用の塞栓材等を挿入する際に使用されるカテーテルであって,この物品の需要者は,このカテーテルを使用する高度な医療専門知識を有する医療従事者である。
また,両意匠の意匠に係る物品である「カテーテル」は,人体の微細な血管に挿入し,その先端部を患部付近にまで進入させ,適切な箇所に留め置くといった操作が行われるものであるから,このような操作を行う需要者は,当該操作に影響する僅かな形状等の相違について,注視深く観察し,その違いを看取するといえる。
したがって,両部分の類否判断にあたっては,カテーテルの挿入及び留め置きの操作に係る形状等が,需要者の注意を強く惹く部分であるとの前提に基づいて,両部分の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について評価することとする。

ア 共通点の評価
(共通点1)は部分全体の基本的な構成態様に係るものであるが,両部分の形状等を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるから,この(共通点1)が部分意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)の部分全体の具体的な構成態様は,この種物品において本願意匠出願前からごく普通にみられるもの(例えば,特開2007-143568参照)であって,両部分のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから,この(共通点2)が部分意匠全体の美感に与える影響も小さい。

イ 相違点の評価
(相違点1)の基部の形状の相違については,引用部分のX線造影輪状体は,カテーテル先端部分のねじれを検出するために配設されたものであり,カテーテルの挿入操作に係る形状等として需要者の注意を強く惹く部分であるところ,X線造影輪状体が節状に存在する引用部分の基部の形状と,それらのないシンプルな本願部分の基部の形状では,需要者に別異の印象を強く与えるものであるから,この(相違点1)が部分全体の美感に与える影響は大きい。
(相違点2)の基部側カーブの形状の相違については,本願部分の屈曲部は,カテーテルを間部付近に留め置く際に,血管内壁と接するために形成されたものであり,カテーテルの留め置き操作に係る形状等として需要者の注意を強く惹く部分であって,基部側カーブ先端部分に略「く」の字状の屈曲部を形成した複合カーブからなる本願部分の基部側カーブの形状と,屈曲部のないシンプルな単一カーブからなる引用部分の基部側カーブの形状では,需要者に別異の印象を強く与えるものであるから,この(相違点2)が部分全体の美感に与える影響も大きい。
(相違点3)のシャフト部の口径の相違については,その口径が小さいほど微細な血管に挿入できるものであり,カテーテルの挿入操作に係る形状等として需要者の注意を強く惹く部分であるとしても,その口径の相違は部分全体としてみれば僅かなものであるから,この(相違点3)が部分全体の美感に与える影響は小さい。

ウ 両部分の形状等の類否判断
両部分の形状等における共通点及び相違点についての個別評価に基づき,両部分全体として総合的に観察した場合,両部分は,需要者がカテーテルの操作時に強い関心を持って観察する基部の形状及び基部側カーブの形状の相違点が,部分全体の美感に与える影響は大きいものであるのに対し,部分全体の基本的及び具体的な構成態様の共通点が,部分全体の美感に与える影響は小さいものであるから,これらの共通点に係る形状が相まって生じる視覚的効果を考慮しても,共通点が部分全体の美感に与える影響は,相違点が与える影響を覆すには至らないものであるから,本願部分の形状等と引用部分の形状等とは類似しないものである。

(5)小括
以上のとおり,両意匠は意匠に係る物品が同一であり,両部分の用途,並びに位置,大きさ及び範囲についても同一であるが,両部分の機能については相違し,両部分の形状等についても類似しないから,本願意匠と引用意匠は,類似するということはできない。

第3 むすび

上記のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2021-10-12 
出願番号 意願2020-9539(D2020-9539) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大谷 光司▲高▼橋 杏子 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2021-11-12 
登録番号 意匠登録第1701146号(D1701146) 
代理人 伊東 忠重 
代理人 伊東 忠彦 
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