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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 C2
管理番号 1380986 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-05-20 
確定日 2021-12-14 
意匠に係る物品 装飾物用保持容器 
事件の表示 意願2020− 8318「装飾物用保持容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,意願2020−008319(不服2021−7241)の意匠を本意匠とする関連意匠として,令和2年(2020年)4月7日の意匠登録出願であって,同年8月31日付けの拒絶理由の通知に対し,同年11月4日に意見書が提出されたが,令和3年2月4日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年5月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「装飾物用保持容器」としたものであって,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用した意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ,頒布された刊行物に記載され,又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像(以下,これらの形状等又は画像を「公知となった形状等」という。)に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであり,引用した意匠は,以下のとおりである。

意匠1:
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第544271の意匠(意匠に係る物品,置き物用ケース)
意匠2:
特許庁発行の公開特許公報記載
昭和48年特許出願公開第098973号
第1b図によって表された,容器の意匠
意匠3:
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2004−329805
【図1】によって表された,ディスプレイケースの意匠
意匠4:
著者の氏名 chelsea-garden 奈良由紀子
表題 chelsea-garden
花は色 人は心 今が大事
お料理のように気軽にお花で素敵な毎日を
フンワリ浮いているミラクルボックス
掲載箇所 第2頁下方の写真右側,第3頁
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 平成30年(2018年)5月31日
検索日 令和 2年(2020年)8月18日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス
https://ameblo.jp/chelsea-garden-2011/entry-12380228121.html
に掲載された,置物ケースの意匠

第4 当審の判断
1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「装飾物用保持容器」であり,造花等の装飾物を透明な板体に付けて容器の中に収納することによって,装飾物が浮いているように見せることができるものである。
(2)形状等
本願意匠は,容器本体を構成する2つの透明なコ字状部材と,容器の中に設けた1枚の透明板からなるものである。
容器本体は,2つの透明なコ字状部材を上下に互い違いに組み合わせて立方体形状の箱体とするものであり,2つの透明なコ字状部材を組み合わせたときに縦辺の端面(木口)を見えないようにするために,いわゆる留接ぎとなるように前記縦辺になる箇所の端面を45度としたものである。
透明板は,横長の長方形で厚みが薄く,容器の中に平面視対角線上に配されたものであり,容器本体の縦辺の内角にて固定されるものである。

2 原査定の拒絶の理由に引用した意匠の形状等
(1)意匠1(別紙第2参照)
意匠1は,「置き物用ケース」に係るもので,ケース本体を構成する2つの透明なコ字状部材と,ケースの中に設けた1枚の透明板からなるものである。
ケース本体は,2つの透明なコ字状部材を左右に互い違いに組み合わせて横長の直方体形状の箱体とするものであり,2つの透明なコ字状部材を組み合わせたときに全端面を見えないようにするために,いわゆる留接ぎとなるように各々の全端面を45度としたものである。更に,ケース本体の上面,底面及び左右側面の各内側には,5本の直線状の不透明な溝が平行に形成されている。
透明板は,横長の長方形で,上記溝に差し込んで,正面に対して平行に配されるものである。
(2)意匠2(別紙第3参照)
意匠2は,「容器」に係るもので,2つのコ字状部材を上下に互い違いに組み合わせて立方体形状の箱体とするものであり,2つのコ字状部材を組み合わせたときに全端面を見えないようにするために,いわゆる留接ぎとなるように各々の全端面を45度としたものである。
(3)意匠3(別紙第4参照)
意匠3は,「ディスプレイケース」に係るもので,ケース本体を構成する2つの透明なコ字状部材と,ケースの中に設けた支持柱からなるものである。
ケース本体は,2つの透明なコ字状部材を上下に互い違いに組み合わせて立方体形状の箱体とするものであり,2つの透明なコ字状部材を上下に組み合わせたときの横辺には,複数のホゾとホゾ穴が設けられている。
支持柱は,上辺を椀状のカーブに形成した2つの板状片を平面視X字状に組んだものである。
(4)意匠4(別紙第5参照)
意匠4は,造花が取り付けられた「置物ケース」に係るもので,全体を透明な縦長の直方体形状の箱体としたものであり,ケースの中に造花が浮いているように表れている。なお,上面の対角線上に細い直線が表れているものの,ケースの中に透明板を配したものであるのか,不明である。

3 原審の査定時に引用した参考意匠
原審の拒絶査定においては,意匠4の置物ケースは,ケースの中に平面視対角線上に透明板を配したものである,ということの証左として,下記の意匠を参考意匠として示した。
この参考意匠は,透明板の略中央に造花を付けたものである。

参考意匠:
著者の氏名 miroom
表題 自宅教室・サロンを開こう!集客・運営ノウハウ「輝く
人に人は集まる」
掲載箇所 ホーム>すべてのレッスン>フラワーアレンジメントの
レッスン>Atelier Lemonleaf>自宅
教室・サロンを開こう!集客・運営ノウハウ「輝く人に
人は集まる」
媒体のタイプ [online]
掲載 2019年 2月に収録された影山氏のセミナーの収録
検索日 [令和2年 7月30日検索]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://miroom.in/videos/512
に掲載された,女性が手に持っている透明板

4 本願意匠の創作容易
本願意匠に係る物品分野において,容器本体が2つのコ字状部材を互い違いに組み合わせて箱体とするものは意匠1ないし3に表れている。
それから,2つのコ字状部材を組み合わせて箱体とするものの内,コ字状部材を上下に組み合わせて立方体形状の箱体とするものは意匠2及び3に,2つのコ字状部材を透明とするものは意匠1及び3に,表れている。
そして,装飾物が容器の中で浮いているように見せる,全体を透明とした直方体形状の箱体とした置物ケースは,意匠4に表れている。
そうすると,本願意匠の,装飾物が容器の中で浮いているように見せる装飾物用保持容器とすること,及び,透明なコ字状部材を上下に組み合わせて立方体形状の箱体とすることは,出願前に公知となった形状等から,創作が容易と認められる。
しかしながら,意匠1及び2に表れているものは,コ字状部材の全ての端面を45度とした留接ぎとしており,本願意匠のように,横辺を除いた縦辺のみを留接ぎとしているものは,意匠1及び2を始め意匠3や4にも表れていない。
加えて,本願意匠のように,容器の中に透明板を平面視対角線上に配したものは,意匠1ないし4及び参考意匠に表れていない。なお,参考意匠の存在によっても,参考意匠として表れている透明板と意匠4との関係は不明であるから,意匠4の置物ケースを,平面視対角線上に透明板が配されたもの,と認めることはできない。
したがって,本願意匠は,出願前に当業者が公知となった形状等に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとは認められない。

5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲







審決日 2021-11-09 
出願番号 2020008318 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (C2)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 北代 真一
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2022-01-11 
登録番号 1705455 

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