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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1380992 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-06-21 
確定日 2021-12-27 
意匠に係る物品 モータースクーター 
事件の表示 意願2020− 13102「モータースクーター」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年6月29日に出願された意匠登録出願であって、同年11月17日付の拒絶理由の通知に対し、令和3年1月6日に意見書が提出されたが、同年3月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年6月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願の意匠
本願の意匠は、意匠に係る物品を「モータースクーター」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
そして、その引用意匠は、特許庁発行の意匠公報記載、意匠登録第1503532号(意匠に係る物品、モータースクーター)の意匠としたものである(別紙第2参照)。

第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第1項第3号の該当性、すなわち、本願意匠が引用意匠に類似する意匠であるか否かについて検討し、判断する。

1 対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「モータースクーター」であり、共通する。

(2)両意匠の形状等の対比
両意匠の形状等を対比すると、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
ア 共通点
(ア)主な外装の構成
(a)主な外装の構成を、ハンドルカバー部、フロントカバー部、フロアステップ部、及びリアカバー部とする点。
(b)ハンドルカバー部は、ハンドルカバーにヘッドライトを備える構成とする点。
(c)フロントカバー部は、フロントトップカバー、ウィンカー、及び脚部の風よけを兼ねるフロントサイドカバーによる構成とする点。
(d)フロアステップ部は、足を載せるフロアステップと側面を覆うフロアステップサイドカバーによる構成とする点。
(e)リアカバー部は、リアカバー、リアカバー上面のシート、後端部上面のグラブレール、一段下のリアコンビネーションランプ、その下の後輪用の泥よけ(リアフェンダー)による構成とする点。

(イ)各部の形状
(a)ハンドルカバー部
(a−1)モータースクーターの前方側に該当する右側面図の方向から見て(右側面視)、左右に張り出したハンドルカバーは、左右の上端部から前方中央へ向かって、上に向く面と側面との稜線が扁平略V字状に表れる態様とする点。
(a−2)右側面視における上辺は、中央が凸弧状に盛り上がり、左右のハンドル側端部へ向けて緩やかに下降した態様とし、中央の凸弧状部は、横幅に対して約3/5の長さとするもので、その凸弧状の左右端部から前方へ向けて徐々に狭まる(平面視において略砲弾状に表れる)盛り上がり部(以下「ハンドルカバー盛り上がり部」という。)を形成し、
(a−3)平面視において略半分より前方側に、右側面視においてハンドルカバー盛り上がり部の左右幅に収まるように、上辺左右に凸部を有するヘッドライトを配した点。
(b)フロントカバー部
(b−1)フロントトップカバーは、後方側(ハンドル寄り)を左右に突き出し、前方側を先細りとした略逆三角形状とし、前方側先端部にはウィンカーの下側の一部と接する左右突出片を有する点。
(b−2)ウィンカーは、フロントトップカバーの左右に配される左右対称の略逆「ハ」の字状とするもので、平面視では向かい合う辺を長辺とする略三角形状に表れる点。
(b−3)フロントサイドカバーは、前方側の先端部を、正面図の方向から見て(正面視)、前輪の中心軸近辺まで突き出したもので、その先端部を頂点の1つとする縦長の略三角形状とするもので、縦方向の長辺側の上部に倒V字状の切り欠き部を有し、その切り欠き部の前方側の2辺に沿ったえぐれ面がフロントサイドカバー先端部手前まで形成されている点。
(c)フロアステップ部
(c−1)フロアステップは、左右の足載せ部がフラットに繋がった構成とする点。
(c−2)フロアステップサイドカバーは、前方側をフロントサイドカバーとの接合部、後方側をリアカバーとの接合部とし、右側面視、後方側へ向かってやや末広がり状に、僅かに斜め上に伸びた態様とし、後輪側の下方に、略扁平三角形状の凹部を有し、その短辺寄りには、空気取り込み用の孔部を有している点。
(c−3)フロアステップサイドカバーの正面視略中央からリアカバーの前方側先端部にかけて、扁平略V字状が斜めとなった、キャラクターラインが見られる点。
(d)リアカバー部
(d−1)リアカバーは、正面視、後方側へ向かって先細り状に斜め上に延伸し、後端部は、グラブレール部との間に僅かな隙間を有するもので、上辺をゆるやかな凸弧状としつつ、後方側から約9/10近辺で曲率を高め、急激に下方に向けて曲がった態様とし、上辺及び下辺のやや内側にキャラクターラインを有する点。
(d−2)シートは、正面視、フロントカバー部からリアカバー部までの長さ(以下、「全長」という。)の約半分の長さとするもので、後ろから全長の約1/5の長さまでを略水平とし、そこから下降斜面を経て、再度略水平とし、先端部を下降斜面とする構成とし、後ろ側の斜面の高さ幅は先端部の斜面の高さ幅の約1/4とする点。
(d−3)リアコンビネーションランプは、左側面視、中央に扁平略六角形状のテールランプを設け、下側の左右の辺から、ウィンカーを左右に突出させて配した点。
(d−4)リアフェンダーは、正面視、リアカバーの後端やや内側から、略水平の突出部と、その先端寄りから同約60度の角度で下方に伸び、後輪の中心軸の高さ近くまで伸びている点。また、左側面視、先端に向かって先細りとなっている点。

(ウ)明暗調子
主にハンドルカバー、フロントカバー、フロアステップサイドカバー、及びリアカバーを明調子とし、シート、フロアステップ等を暗調子による構成とする点。

イ 相違点
(ア)ハンドルカバー部
(ア−1)ヘッドライト
本願意匠のヘッドライト上辺左右の突出部は、上方頂部が斜めに傾いた略三角形状とするもので、それぞれの外側の辺の下から斜め外側に下降する短い直線部によって、いったん外に張り出し(以下「張り出し短辺部」という。)、その先端から斜め内側に下降する直線部を設け、ハンドルカバーの扁平略V字状の前方側先端部に繋がる態様とするのに対し、引用意匠の上辺左右の突出部は、三角形の上方頂部を切り落としたもので、それぞれの外側の辺は、ハンドルカバーの略扁平V字状の前方側先端部に直接つながり、全体として斜めに傾いた略台形状とする点。
(ア−2)ハンドルカバー盛り上がり部
本願意匠のハンドルカバーは、ヘッドライトの「張り出し短辺部」から上辺左右の三角形状それぞれの外側の辺に沿った面が立ち上がり、ハンドルカバー盛り上がり部の左右端部を構成しているのに対し、引用意匠は、ヘッドライトのななめに傾いた略台形状の上辺を高さ幅とした面が、その台形の左右の辺を延長するように形成され、ハンドルカバー盛り上がり部の左右端部を構成している点。
(ア−3)キャラクターライン
本願意匠は、ヘッドライトの「張り出し短辺部」の外側の角部からハンドルカバー後端部へかけて、平面視、凸弧状に表れるキャラクターラインを有し、ハンドルカバー盛り上がり部の左右端部との間に浅い弧状の凹部を形成しているのに対し、引用意匠は、ヘッドライトの両側に、ハンドルカバーの上面と側面との稜線部からハンドルカバー左右張り出し部の上端部へ向けてキャラクターライン(以下「左右張り出しキャラクターライン」という。)を有している点。

(イ)フロントカバー部
(イ−1)フロントトップカバー
本願意匠は、右側面視、中央上部に、フロントトップカバーの上辺の横幅約2/5の長さを底辺とする逆さ台形状の暗調子カバー(以下「逆台形カバー」という。)を配し、逆台形カバーの周囲がカバーに向けて下がった斜面で囲った態様とするもので、平面視及び右側面視において、ハンドルカバー盛り上がり部の前方へ向けて徐々に狭まる左右端部と連続するように表れるのに対し、引用意匠は、右側面視、フロントトップカバーの上辺の横幅約1/5内側から平面視前方側の先端部手前まで、略V字状のキャラクターラインを配し、その内側は、周囲より一段低くなるよう斜面が形成され、中央は、ゆるやかな凸面とするもので、略V字状のキャラクターラインは、平面視において、ハンドルカバーの「左右張り出しキャラクターライン」と連続するように表れる点。
(イ−2)ウィンカー
平面視、向かい合う辺を長辺とする略三角形状に表れるウィンカーについて、本願意匠は、右側面視、略逆「ハ」の字状の左右頂部から、僅かに斜め外側に向かって下降する辺を有し、その辺の下端から前方側先端部へ向かう辺と、内側の長辺によって、前方側の先端部へ向けて細長略砲弾状に表れるもので、長辺は、左右頂部から約2/5のところで斜めに下がった略稲妻状とするものであるのに対し、引用意匠は、右側面視、左右頂部から略垂直状に下降する辺を有し、その辺の下端から前方側先端部へ向かう直線状の辺(以下「ウィンカー下辺」という。)と、内側の長辺によって囲まれたものであるが、長辺は、左右頂部から約4/5までは約50度の角度で直線状に下降し、先端へ向かって約75度と角度を強めることから、全体としては変形四角形とするものであり、ウィンカー下辺の前方側から約3/4の下には、下面を水平状とする突出部を有している点。
(イ−3)ウィンカーの形状等に基づくフロントトップカバーの表れ方
(a)本願意匠のフロントトップカバーは、逆台形カバーと左右のウィンカーとの間に、略V字状の面が表れるのに対し、引用意匠は、V字状キャラクターラインと左右のウィンカーの間に、略Y字状の面が表れる点。
(b)本願意匠のフロントトップカバーの前方側先端部の左右突出片は、ウィンカー下辺の一部と略同一面とするものであるが、引用意匠は、ウィンカー下辺の突出部下面が奥に入り込むことで、フロントトップカバーの左右突出片が浮き立つように表れる態様とするものである点。
(イ−4)フロントサイドカバー
(a)本願意匠のフロントサイドカバーのえぐれ面は、正面視、上辺、下辺とも凸弧状とするもので、前方側の先端は、下辺よりも下の位置にあるが、引用意匠のえぐれ面は、上辺、下辺とも略直線状で、前方側の先端は、下辺より上の位置にあり、上辺がえぐれ面の先端を超えて、フロントサイドカバーの前方側頂点に及んでいる点。
(b)本願意匠のフロントサイドカバーの切り欠き部は、正面視、フロントカバー前方側の先端部より高い位置にあり、左方斜視図に表れているように、内側にはハンドル軸部との間に斜め上を向いた平坦面が露出しているのに対し、引用意匠の切り欠き部は、正面視、フロントカバー前方側の先端部付近まで降りた、やや大きなもので、左方斜視図に表れているように、内側には本願意匠のような斜め上を向いた平坦面は見られず、暗調子の襟状カバーが立設している点。

(ウ)リアカバー部
(ウ−1)リアカバーのキャラクターライン
本願意匠は、リアカバーの前方側先端部からフロアステップサイドカバーの正面視略中央にかけて見られる、扁平略V字状が斜めとなったキャラクターラインのリアカバー側の端部を頂点とし、そこからリアカバー前方側の突出端部へ向かうキャラクターラインに囲まれた、略三角形状の窪んだ面を有しているのに対し、引用意匠にはそのようやキャラクターライン及び窪み面は存在しない点。
(ウ−2)リアフェンダー
本願意匠のリアフェンダーは、先端寄りから同約60度の角度で下方に伸びた泥よけ部は、正面視直線状とするものであるが、引用意匠は、先端部を僅かに後方側へ跳ねさせている点。

類否判断
(1)両意匠の意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両意匠の形状等の類否判断
ア 共通点及び相違点の評価
両意匠は、モータースクーターに係るもので、需要者は、購入者であり、斜め前方、斜め後方から見た各外装の態様、とりわけフロント周りの態様等について注視するものということができる。
A 共通点の評価
(A)主な外装の構成における共通点(ア)(a)ないし(e)は、当該物品分野において、通常見られる構成であり、両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

(B)各部の形状におけるハンドルカバー部の共通点(a)のうち、共通点(a−1)は、下記参考意匠1に見られるように、両意匠独自の態様ではなく、類否判断に及ぼす影響は小さい。共通点(a−2)及び(a−3)も、下記参考意匠2及び参考意匠3に同様な態様が見られ、類否判断に及ぼす影響は小さい。

(C)フロントカバー部
(C−1)フロントカバー部における共通点(b)のうち、フロントトップカバーの態様及びその左右に配されたウィンカーの態様における共通点(b−1)及び(b−2)は、参考意匠2に同様な態様は見られ、類否判断に及ぼす影響は小さい。
(C−2)一方、フロントサイドカバーにおける共通点(b−3)は、正面視における全体を、縦長の略三角形状とした点は、従来から見られる態様であるが、上部の切り欠き及びえぐれ面の態様については、類否判断に一定の影響を及ぼす。

(D)フロアステップ部における共通点(c)は、共通点(c−1)及び(c−2)のいずれも、当該種物品分野において従来からよく見られる態様にすぎず、類否判断に及ぼす影響は小さい。また、共通点(c−3)の、リアカバーの前方側先端部にかけて扁平略V字状が斜めとなったキャラクターラインについても、参考意匠3に同様の態様は見られ、類否判断に及ぼす影響は小さい。

(E)リアカバー部
(E−1)リアカバー部における共通点(d)のうち、リアカバーのキャラクターラインにおける共通点(d−1)、シートにおける共通点(d−2)及びリアフェンダーにおける共通点(d−4)のいずれも同様の態様が参考意匠2や参考意匠3にも見られるように、両意匠独自の態様とはいえず、類否判断に及ぼす影響は小さい。
(E−2)リアコンビネーションランプにおける共通点(d−3)は、意匠全体の中にあってはごく小さな部分にすぎず、類否判断に及ぼす影響は、限定的なものにすぎない。

(F)明暗調子における共通点(ウ)は、当該物品分野においてよく見られる態様にすぎず、類否判断に及ぼす影響は小さい。

参考意匠1(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1481256号「モータースクーター」の意匠

参考意匠2(別紙第4参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1413370号「モータースクーター」の意匠

参考意匠3(別紙第5参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1450749号「モータースクーター」の意匠

B 相違点の評価
(A)ハンドルカバー部
(A−1)ヘッドライトにおける相違点(ア−1)及びハンドルカバー盛り上がり部における相違点(ア−2)は、ヘッドライト周りの形状等自体は需要者が注視する部分ではあるが、本願意匠と同様の態様が、本願意匠の出願前より公然知られており(下記参考意匠4)、類否判断に及ぼす影響は限定的である。
(A−2)一方、ハンドルカバーに設けられたキャラクターラインにおける相違点(ア−3)は、前方側かつ上面における態様であり、需要者が注視する部分であることから、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。

(B)フロントカバー部
(B−1)フロントトップカバーにおける相違点(イ−1)は、ハンドルカバーと一体となった創作であり、両意匠それぞれの特徴を顕著に示していることから、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
(B−2)また、ウィンカーにおける相違点(イ−2)は、発光する部分でもあり、需要者が注視することから、類否判断に及ぼす影響は大きい。
(B−3)この、ウィンカーの形状等の相違に基づくフロントトップカバーの表れ方の相違点(イ−3)(a)(b)も、前方側かつ上面における態様であり、類否判断に及ぼす影響は大きい。
そして、これら相違点(イ−1)ないし(イ−3)(a)(b)が相まって及ぼす視覚効果は、需要者に、両意匠のフロント周りにおける形状等を異とする印象を強く与えることから、これら相違点が両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は、非常に大きいものと認められる。
(B−4)フロントサイドカバーにおける相違点(イ−4)(a)(b)は、斜め前方、斜め後方から見た態様として表れるものであり、類否判断に及ぼす影響は大きい。

(C)リアカバー部
(C−1)キャラクターラインにおける相違点(ウ−1)は、全体の中では部分的なものにすぎず、類否判断に及ぼす影響は小さい。
(C−2)リアフェンダーにおける相違点(ウ−2)は、いずれも従来から見られる態様にすぎず、類否判断に及ぼす影響は小さい。

参考意匠4(別紙第6参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1585644号「オートバイ」の意匠

イ 総合評価に基づく両意匠の形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、両意匠全体を総合的に観察し、判断する。

前記ア「A」に説示したとおり、フロントサイドカバーにおける共通点(b−3)は、類否判断に一定の影響を及ぼすが、その他はいずれも、類否判断への影響が小さい、あるいは限定的なものにすぎない。
これに対し、相違点は、前記ア「B」に説示したとおり、ハンドルカバーに設けられたキャラクターラインにおける相違点(ア−3)、フロントカバーにおける相違点(イ−1)ないし(イ−3)(a)(b)は、いずれも類否判断に及ぼす影響が大きく、加えて、相違点(イ−1)ないし(イ−3)(a)(b)が相まって及ぼす視覚効果が両意匠の形状等の類否判断に及ぼす影響は、非常に大きい。加えて、相違点(イ−4)(a)(b)も、類否判断に及ぼす影響は大きい。
ヘッドライトにおける相違点(ア−1)及びハンドルカバー盛り上がり部における相違点(ア−2)は、類否判断に及ぼす影響は限定的であり、リアカバー部における相違点(ウ−1)及び(ウ−2)はいずれも小さいといった評価はあるものの、これら共通点及び相違点の評価を総合すると、両意匠の形状等は、相違点が共通点を凌駕するものであり、類似しない。

ウ 小括
両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両意匠の形状等は類似しない。
よって、両意匠は類似しない。

第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。


別掲












審決日 2021-12-08 
出願番号 2020013102 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 北代 真一
正田 毅
登録日 2022-01-07 
登録番号 1705255 
代理人 笹野 拓馬 

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