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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 C6 |
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管理番号 | 1380999 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-08-06 |
確定日 | 2021-12-06 |
意匠に係る物品 | 冷蔵庫 |
事件の表示 | 意願2020− 14804「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年7月17日の意匠登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年12月28日付け:拒絶理由の通知 令和3年 3月15日 :意見書の提出 令和3年 5月20日付け:拒絶査定 令和3年 8月 6日 :審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願意匠は、意匠に係る物品を「冷蔵庫」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等(形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合)又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠は、本願出願前から公然知られたと認められる下記意匠1の形状をほとんどそのまま用い、扉を開くための把手部を、本願出願前から公然知られている、例えば下記意匠2に見られるような略L字状の手掛け部に置き換えた程度に過ぎませんので、当業者であれば容易に創作出来たものと認められます。 意匠1 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1649482号の意匠 意匠2 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1509877号の意匠」 第4 当審の判断 以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠の認定 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、「冷蔵庫」である。 (2)形状等 本願意匠の形状等は、主に以下のとおりである。 ア 全体は、略横長直方体であって、正面視の左端にフロントパネルを有する機械室部を、その余の部分に扉を2枚配した正面視略横長長方形状の冷蔵室部を設け、機械室部と冷蔵室部の正面視における左右幅の比率を約2:9とし、冷蔵室部の底面部の四隅部分に略倒円錐台状の脚部を1つずつ配設する構成としたものである。 イ 冷蔵室部は、左右2つの開口部を有する略横長直方体形状とし、これら開口部に左右一対の観音開きの扉を、わずかに間隔をあけて配するものである。 ウ 扉について ウ−1 全体の形状等について 正面視において、左右一対の観音開きであり、各扉面は平坦で、縦横の比率が約1.1:1のわずかに縦長の長方形状であって、一対の扉の開放側端部の、正面側上下にわたり底面視略直角台形状の切り欠き部を各扉に対向して形成し、一対の扉の開放側先端面上下にわたり底面視略逆さL字状の手掛け部を各扉に対向して配設したものである。 ウ−2 略直角台形状の切り欠きについて 扉の左右幅に対する略直角台形状の切り欠き部全体の左右幅の比率は、底面視において、約10.4:1であって、略直角台形状部の斜辺と水平短辺の長さの比率は1:1である。 エ 手掛け部について エ−1 形状等について 底面視略逆さL字状の角を小さなR形状にしたものである。 エ−2 構成比率について 手掛け部の奥行き長さ(底面視における上下方向の長さ、L字の長辺)と、幅の長さ(底面視における左右方向の長さ、L字の短辺)の比率を約2.1:1とし、手掛け部の奥行き長さを、扉の厚み長さと同じ長さとし、手掛け部の前面と扉面を、間隔をあけて面一状としたものである。 また、指先を掛けるための開口部となる、略直角台形状切り欠き部から略逆さL字状手掛け部のL字の短辺を除いた横幅は、底面視において、略直角台形状切り欠き部の横幅に対し約0.6:1と広く、略直角台形状切り欠き部の上辺の角に相当する稜線が表れる態様とするものである。 そして、正面視に表れる、扉の略直角台形状の切り欠き部の角部と略逆さL字状手掛け部のL字の短辺によって視認される稜線は4本で、それらの左右幅の比率は、扉の開放側端部から順に約2:1:2である。 オ 機械室部は、正面視において、略縦長直方体状とし、フロントパネルは、正面側の上方から順に、4列と3列による2段の横長トラック形状のスリット、二重の略隅丸長方形状の温度表示部、平滑面、及び4列と3列による19段の横長トラック形状のスリットを配するものである。 2 引用意匠の認定 原査定における拒絶の理由で引用された、意匠1及び意匠2の意匠に係る物品及び形状等は、概要以下のとおりである。 意匠1及び意匠2の出典については、前記第3に記載のとおりである。 (1)意匠1(別紙第2参照) 意匠1の意匠に係る物品は「冷蔵庫」である。意匠1の形状等は以下のとおりである。 ア 全体は、略横長直方体であって、正面視の左端にフロントパネルを有する機械室部を、その余の部分に扉を2枚配した正面視略横長長方形状の冷蔵室部を設け、機械室部と冷蔵室部の正面視における左右幅の比率を約2:9とし、冷蔵室部の底面部の四隅部分に略倒円錐台状の脚部を1つずつ配設する構成としたものである。 イ 冷蔵室部は、左右2つの開口部を有する略横長直方体形状とし、これら開口部に左右一対の観音開きの扉を、わずかに間隔をあけて配するものである。 ウ 扉は、正面視において、左右2列の観音開きであり、各扉面は平坦で、縦横の比率が約1.1:1のわずかに縦長の長方形状である。 エ 把手部は、左開き扉の右寄り上方及び右開き扉の左寄り上方に平面視弧状に突出した把手を水平方向に配設したものである。 オ 機械室部は、正面視において、略縦長直方体状とし、フロントパネルは、正面側の上方から順に、4列と3列による2段の横長トラック形状のスリット、二重の略隅丸長方形状の温度表示部、平滑面、及び4列と3列による19段の横長トラック形状のスリットを配するものである。 (2)意匠2(別紙第3参照) 意匠2の意匠に係る物品は「冷却庫」である。また、意匠2の形状等は以下のとおりである。 なお、意匠2については、原審の拒絶の理由において引用されている「扉を開くための把手部」に相当する手掛け部の形状等について、以下のとおり認定する。 ア 扉について ア−1 形状等について 正面視において、右開きであり、扉面は平坦で、縦横の比率が約2.6:1の縦長の長方形であって、開放側端部の、正面側上下にわたり底面視略直角台形状の切り欠き部を形成し、先端面上下にわたり底面視略逆さL字状の手掛け部を配設したものである。 ア−2 略直角台形状の切り欠きについて 扉の左右幅に対する略直角台形状の切り欠き部全体の左右幅の比率は、底面視において、約9.3:1であって、略直角台形状部の斜辺と水平短辺の長さの比率は1:1である。 イ 手掛け部について イ−1 形状等について 底面視略逆さL字状の角を小さなR形状にしたものである。 イ−2 構成比率について 手掛け部の奥行き長さ(底面視における上下方向の長さ、L字の長辺)と、幅の長さ(底面視における左右方向の長さ、L字の短辺)の比率を約1:1とし、手掛け部の奥行き長さを、扉の厚み長さと同じ長さとし、手掛け部の前面と扉面を、間隔をあけて面一状としたものである。 また、指先を掛けるための開口部となる、略直角台形状切り欠き部から略逆さL字状手掛け部のL字の短辺を除いた横幅は、底面視において、略直角台形状切り欠き部の横幅に対し約0.4:1と狭く、正面視において、略直角台形状切り欠き部の上辺の角に相当する稜線は、略逆さL字状手掛け部の短辺に隠れる態様とするものである。 そして、正面視に表れる、扉の略直角台形状の切り欠き部の角部と略逆さL字状手掛け部のL字の短辺によって視認される稜線は3本で、それらの左右幅の比率は、扉の開放側端部から順に約1.5:1である。 3 本願意匠の創作非容易性について 本願意匠の形状等は、上記1に示すとおりであるところ、冷却庫を含む「冷蔵庫」等の物品分野において、全体を、略横長直方体とし、正面視の左端にフロントパネルを有する機械室部を、その余の部分に扉を2枚配した正面視略横長長方形状の冷蔵室部を設け、機械室部と冷蔵室部の正面視における左右幅の比率を約2:9とし、冷蔵室部の底面部の四隅部分に略倒円錐台状の脚部を1つずつ配設する構成とし、冷蔵室部を、左右一対の開口部を有する略横長直方体形状とし、これら開口部に左右一対の観音開きの扉を、わずかに間隔をあけて配し、各扉面は平坦で、縦横の比率が約1.1:1のわずかに縦長の長方形状とした形状等は、意匠1に見られるように、本願出願前より公然知られている。また、扉について、開放側端部の、正面側上下にわたり底面視略直角台形状の切り欠き部を形成し、先端面上下にわたり底面視略逆さL字状の手掛け部を配設したものも、意匠2に見られるように、本願出願前より見受けられる。 しかし、本願意匠の扉の形状等は、下記のとおり、意匠1及び意匠2に表されていない形状等を有しており、意匠1の形状をほとんどそのまま用い、扉を開くための把手部を、意匠2に見られるような略L字状の手掛け部に置き換えた程度に過ぎないということはできない。 すなわち、本願意匠は、(1)一対の扉の開放側端部の、正面側上下にわたり底面視略直角台形状の切り欠き部を各扉に対向して形成し、一対の扉の開放側先端面上下にわたり底面視略逆さL字状の手掛け部を各扉に対向して配設したものであって、(2)指先を掛けるための開口部となる、略直角台形状切り欠き部から略逆さL字状手掛け部のL字の短辺を除いた横幅は、底面視において、略直角台形状切り欠き部の横幅に対し約0.6:1と広く、略直角台形状切り欠き部の上辺の角に相当する稜線が表れる態様とするものであり、(3)底面視略逆さL字状の手掛け部は、手掛け部の奥行き長さ(底面視における上下方向の長さ、L字の長辺)と、幅の長さ(底面視における左右方向の長さ、L字の短辺)の比率を約2.1:1としたものである。さらには、(4)正面視における、扉の略直角台形状の切り欠き部の角部と略逆さL字状手掛け部のL字の短辺によって視認される稜線は4本で、それらの左右幅の比率は、扉の開放側から順に約2:1:2である。 そうすると、(1)ないし(4)の点はいずれも、原審拒絶理由通知書に記載された意匠1及び意匠2に表れていないのであるから、意匠1及び意匠2を組み合わせても、本願意匠の形状等を導き出すことはできない。 また、扉の開放側端部の、正面側上下にわたり底面視略直角台形状の切り欠き部を形成する形状等は、意匠2にみられるものの、本願意匠のように、当該切り欠き部を一対の扉に対向して配設し、かつ、(2)の形状等のように指先を掛けるための開口部を広く形成し、(4)のように表れるものは、本願出願前には見られないから、本願意匠の扉の形状等は、当該物品分野におけるありふれた手法を用いて創作したものとも、ありふれた手法による創作に加えられた改変が軽微な改変にすぎないともいうことはできない。 したがって、本願意匠は、当業者が公然知られた形状等に基づいて容易に創作することができたものとはいえない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-11-17 |
出願番号 | 2020014804 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(C6)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
北代 真一 |
特許庁審判官 |
加藤 真珠 渡邉 久美 |
登録日 | 2021-12-14 |
登録番号 | 1703539 |