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審決分類 |
審判 査定不服 1項柱書物品 取り消して登録 J1 |
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管理番号 | 1381011 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-09-10 |
確定日 | 2021-11-30 |
意匠に係る物品 | Slide rack carrier |
事件の表示 | 意願2019−502505「Slide rack carrier」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 事案の概要 1 手続の経緯 本願は,令和1年(2019年)5月1日の国際意匠登録出願であって,その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年(2021年) 1月19日付け:拒絶の通報の送付 同年 4月 1日付け:意見書の提出 同年 4月 1日付け:手続補正書(意匠の説明の補正)の提出 同年 6月 7日付け:拒絶査定 同年 9月10日 :審判請求書の提出 同年 9月10日 :手続補正書(意匠の説明及び図面の補正)の提出 2 各手続の具体的な内容 (1)出願当初の願書及び添付図面の記載 出願当初の本願意匠は,意匠に係る物品を「Slide rack carrier」(参考訳:「スライドラックキャリア」,以下日本語訳で示す。)とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,願書の「意匠の説明」の欄には「Products comprising the design or industrial model in relation to which they must be used. 2.1)Perspective; 2.2)Perspective & left; 2.3)Right; 2.4)Front; 2.5)Left; 2.6)Back; 2.7)Top; 2.8)Bottom」(参考訳:使用に係るデザイン又は工業モデルを備えている製品。2.1)斜視図,2.2)左側から見た斜視図,2.3)右側面図,2.4)正面図,2.5)左側面図,2.6)背面図,2.7)平面図,2.8)底面図)と記載がなされている。 (2)令和3年1月19日付け拒絶の通報 原審の上記拒絶の通報における拒絶の理由は,「本願の『意匠を構成する物品又は使用されることとなる物品』の欄に,『Slide rack carrier』と,『説明』の欄に『Products comprising the design or industrial model in relation to which they must be used』と記載され」たが,「『説明』の欄の記載及び『複製物』によっては,具体的なその使用の目的,使用の状態等を導き出すことができず,不明であることから,意匠が具体的では」なく,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない,というものである。 (3)令和3年4月1日付け手続補正書による補正後の願書の記載 出願人は,上記手続補正書により本願願書の「意匠の説明」の欄を「2. The ”Slide rack carrier” is for holding slide samples to be analyzed/processed using the ”Slide imaging system(design no. 1 of DM/208611)”. It is used by inserting it into the ”Slide imaging system” while holding an arbitrary number of slides. 2.1)Perspective; 2.2)Perspective & left; 2.3)Right; 2.4)Front; 2.5)Left; 2.6)Back; 2.7)Top; 2.8)Bottom」(参考訳:「スライドラックキャリア」は,「スライドイメージングシステム」(国際登録番号DM/208611のデザイン番号1)で分析・処理されるスライド標本を収納するためのものである。任意の枚数のスライドを収納した状態で「スライドイメージングシステム」に挿入して使用する。2.1)斜視図,2.2)左側から見た斜視図,2.3)右側面図,2.4)正面図,2.5)左側面図,2.6)背面図,2.7)平面図,2.8)底面図)と補正している。 (4)令和3年6月7日付け拒絶査定 原審は,上記(3)の補正後の本願意匠に対し,「他出願を参照しないと要旨の把握ができない本願は,未だその機能や用途が明確ではなく,先の拒絶理由は解消しておらず,意匠が明確では」ないとして,令和3年6月7日付けで拒絶の査定を行っている。 (5)令和3年9月10日提出の審判請求書及び手続補正書 審判請求人は,原審の拒絶の判断に対し,「本審判請求書と同日付にて手続補正書を提出し,『意匠の説明』の欄において,本物品はスライドを保持して『細胞診用機器』に用いる旨を明らかにするとともに,『スライド標本を保持した使用状態』及び『細胞診用機器に装着されている使用状態』を示す参考図を追加した」のであるから,「本願意匠の使用の目的,使用の状態等は明らかであり,本願意匠は具体的であると」する審判請求書を提出し,同日に提出した手続補正書により,本願願書の「意匠の説明」の欄を「2.The article of this design application is”slide rack carrier”for holding slide samples to be processed by”cytological diagnosis system”that images and reviews cytological specimens or pathological solid tissue specimens.As shown in the reference views,the”slide rack carrier”holds any number of slide samples and is loaded into the”cytological diagnosis system”.2.1)Perspective;2.2)Perspective & left;2.3)Right;2.4)Front;2.5)Left;2.6)Back;2.7)Top;2.8)Bottom;2.9)Reference View showing usage status holding slide samples;2.10)Reference View showing usage status loaded into”cytological diagnosis system”while holding sample slides.」(参考訳:本願意匠に係る物品は,細胞診標本や病理学的固形組織標本を画像化して診断する「細胞診システム」処理されるスライド標本を収納するための「スライドラックキャリア」です。参考図に示すとおり,「スライドラックキャリア」は,任意の数のスライド標本を保持し,「細胞診システム」に装填される。2.1)斜視図,2.2)左側から見た斜視図,2.3)右側面図,2.4)正面図,2.5)左側面図,2.6)背面図,2.7)平面図,2.8)底面図,2.9)スライド標本を収納している使用状態を示す参考図,2.10)スライド標本を収納して細胞診システムに装填された状態を示す参考図)と補正している。 第2 当審の判断 1.原審の拒絶の判断について 審判請求人が,令和3年9月10日に提出した手続補正書の補正により,本願意匠に係る物品は,細胞診システムに装填して使用されるスライド標本を保持するためのスライドラックキャリアであることが説明され,具体的な使用の目的,使用の状態等が明らかとなったものであるから,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない,という原審の拒絶の理由は解消したことになる。 よって,原審の拒絶の理由により本願を拒絶することはできない。 2.令和3年9月10日の手続補正書の補正について また,上記手続補正書の願書及び添付図面についてした補正について検討すると,本願は,出願当初から意匠に係る物品を「Slide rack carrier」としているところであって,この「Slide」を広辞苑や大辞林といった国語辞典で検索すれば「スライドグラス(顕微鏡観察で被検体をのせるガラス板)の略」との記載が見られ,特許文献においても「Slide rack」が検体を収容するものを指すといった記載が複数見られる(例えば,再公表特許WO2017/204274参照)。 したがって,本願意匠は,出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の記載から検体をのせたスライドグラスを収納するためのラックであることが,本願意匠の属する分野における通常の知識に基づいて導き出せるものであるから,令和3年9月10日の手続補正書の補正は,本願意匠に係る物品について付加的に説明したにすぎず,出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の要旨を変更したものではないといえる。 第3 むすび 上記のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当し,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-11-15 |
出願番号 | 2019502505 |
審決分類 |
D
1
8・
13-
WY
(J1)
|
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
上島 靖範 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 江塚 尚弘 |
登録日 | 2021-12-15 |
登録番号 | 1703745 |
代理人 | 特許業務法人北青山インターナショナル |