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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B5 |
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管理番号 | 1381012 |
総通号数 | 1 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-09-14 |
確定日 | 2021-12-28 |
意匠に係る物品 | Shoe |
事件の表示 | 意願2020−500929「Shoe」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 事案の概要 1 手続の経緯 本願は,令和2年(2020年)6月3日(パリ条約による優先権主張:令和1年(2019年)12月20日,欧州連合知的財産庁)の国際意匠登録出願であって,同年12月4日付けの拒絶の通報に対し,何ら応答がなく,令和3年(2021年)6月2日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年9月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 2 本願意匠の願書及び添付図面の記載 本願意匠は,意匠に係る物品を「Shoe」(参考訳:「靴」,以下日本語訳で示す。)とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当する,というものである。 「Cited Design Design of Sneaker represented in the following web site Name of Author: 株式会社カーリン(Carlin, Inc.) Title: Fashion Press Relevant Part:バレンシアガの新スニーカー「スピードトレーナー」ソックス風アッパー、約240gの軽量モデルスピードトレーナー ショートバージョン Type of Media:[online] Publicly Known Date (yyyy/mm/dd): 2017/01/24 Retrieving Date(yyyy/mm/dd): [Retrieved on 2020/11/20] Source of Information: Retrieved from the internet URL:https://www.fashion-press.net/news/28404 Photos 3/3(https://www.fashion-press.net/news/gallery/28404/488952) Please refer to the following websites for the inspection of the cited documents. - JPO website https://www.jpo.go.jp/system/design/shinsa/general/kyozetsuriyuu_bunken.html (参考和訳) 引用意匠 以下のウェブサイトに表されたスニーカーの意匠 著者の氏名/名称:株式会社カーリン(Carlin, Inc.) 表題:Fashion Press 掲載箇所:バレンシアガの新スニーカー「スピードトレーナー」ソックス風アッパー、約240gの軽量モデルスピードトレーナー ショートバージョン 媒体のタイプ:[online] 公知日:2017年1月24日 検索日:2020年11月20日検索] 情報の情報源:インターネット JPO Application Number: 2020-500929 URL:https://www.fashion-press.net/news/28404 Photos 3/3(https://www.fashion-press.net/news/gallery/28404/488952) 引用意匠の閲覧については、以下のウェブサイトを参照して下さい。 ・特許庁ウェブサイト https://www.jpo.go.jp/system/design/shinsa/general/kyozetsuriyuu_bunken.html」 第2 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は,「靴」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「スニーカー」であって,その記載は一致しないものであるが,いずれも履き口が踝よりも上部にくるハイカットの柔らかな素材からなる靴であるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,その用途及び機能が共通するものである。 (2)形状等の対比 本願意匠の形状等と引用意匠の右足に履く靴の形状等を対比する(以下,対比のため,本願意匠の図【1.1】を「斜視図」とし,本願意匠の図【1.2】を「正面図」とし,本願意匠の図【1.3】を「背面図」とし,本願意匠の図【1.4】を「右側面図」とし,本願意匠の図【1.5】を「左側面図」とし,本願意匠の図【1.6】を右に180°回転させたものを「平面図」とし,本願意匠の図【1.7】を「底面図」とし,引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせて対比する。)と,その形状等には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 ア 形状等の共通点 (共通点1)両意匠は,全体を,履き口が踝よりも上部にくるハイカットのアッパー及びソールからなる靴に形成した点が共通する。 (共通点2)両意匠は,アッパーの形状を,柔らかな素材からなる靴下のような形状とし,履き口部分には,口ゴムを形成した点が共通する。 (共通点3)両意匠は,ソールの形状を,側面視において,前足部にはつま先部分を覆う略湾曲状の薄いブロック(以下「第1ブロック」という。)と肉厚な略矩形状のブロック(以下「第2ブロック」という。)を配し,中足部には前後に薄く肉厚な略平行四辺形状のブロック(以下「第3ブロック」という。)を配し,後ろ足部には肉厚な略倒台形状のブロック(以下「第4ブロック」という。)と側面部分に段差を設けて突出部分を形成したブロック(以下「第5ブロック」という。)を配した構成とした点が共通する。 イ 形状等の相違点 (相違点1)本願意匠の第1ブロックから第5ブロックは,全てのブロックが分離した態様でアッパー下部に取り付けられているのに対し,引用意匠の第1ブロックから第5ブロックは,境界部分に溝部を形成するも全てのブロックが一体の態様でアッパー下部に取り付けられている点で,両意匠は相違する。 (相違点2)本願意匠の第1ブロックの形状を底面視上が凸の略馬蹄形状とし,第2ブロックの形状を底面視略倒台形状の上辺部中央部分に略倒U字状の突出部を形成した形状とし,第3ブロックの形状を底面視略横長矩形状とし,第4ブロックの形状を底面視略横長矩形状の下辺部中央部分に略U字状の突出部を形成した形状とし,第5ブロックの形状を底面視下が凸の略馬蹄形状としたものであるのに対し,引用意匠の第1ブロックから第5ブロックの底面視の具体的な形状は不明である点で,両意匠は相違する。 (相違点3)本願意匠の第2ブロックの側面部には,その表面部分に略格子模様を施した側面視略三角形状の部分が表れているのに対し,引用意匠の第2ブロックの側面部分には,その表面部分にディンプルを形成した略三角形状の部分が表れている点で,両意匠は相違する。 (相違点4)本願意匠の第5ブロックの突出部分には,その表面部分に略格子模様を施した背面視略凹状の部分,及びその上方に縦溝を施した部分が表れているのに対し,引用意匠の第5ブロックの突出部分には,その表面部分にディンプルを形成した側面視略台形状の部分が表れている点で,両意匠は相違する。 2 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品の判断 両意匠の意匠に係る物品は,その用途及び機能が一致するものであるから類似するものである。 (2)形状等の類否判断 本願意匠の意匠に係る物品である「靴」は,歩行時に足に履いて使用するものであるから,この物品の購入者である需要者は,靴全体のデザインに加え,使用時において重要な部位であるソールの形状等も注意を惹く部分であるといえる。 よって,この種物品の類否判断に際しては,需要者は,靴全体のデザインのみならず,使用時において注意を惹く部分であるソールの具体的な形態についても強い関心を持って観察するとの前提に基づいて,両意匠の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について評価することとする。 ア 共通点の評価 (共通点1)は全体の形状に係るものであるが,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるから,この(共通点1)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 (共通点2)のアッパーの形状については,この種物品分野において既に見られるものにすぎず,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえないから,この(共通点2)が意匠全体の美感に与える影響も小さい。 (共通点3)のソールの構成態様については,需要者の注意を惹く部分であるが,側面視において5つのブロックからなる態様はこの種物品分野において格別特徴のあるものではないから,この(共通点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 (相違点1)及び(相違点2)のソールにおける各ブロックの具体的な形状に係る相違については,全てのブロックが隙間を設けて分離して構成された本願意匠のソールの形状は,その使用時にソールの可動域が大きく,歩きやすいものであるとの印象を与えるのに対し,一体的に形成された引用意匠のソールの形状は,従来からあるありふれたものであるとの印象を与えるから,ソールの具体的な形態についても強い関心を持って観察する需要者にとってみれば,この別異の印象を強く与える(相違点1)及び(相違点2)が意匠全体の美感に与える影響は大きい。 (相違点3)の第2ブロックの側面部分の相違,及び(相違点4)の第5ブロックの突出部分の相違については,いわれて気付く程度のものであるから,この(相違点3)及び(相違点4)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。 ウ 形状等の類否判断 両意匠の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき,意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合,両意匠は,需要者が強い関心を持って観察するソールにおける各ブロックの具体的な形状に係る相違が意匠全体の美感に与える影響は大きいのに対して,両意匠の全体の形状やアッパーの形状及び5つのブロックからなるソールの構成態様の共通性が意匠全体の美感に与える影響は小さいため,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものであるといえるから,両意匠の形態は,類似しないものである。 (3) 小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が類似するものであるが,その形態において類似しないから,本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。 第3 むすび 上記のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2021-12-13 |
出願番号 | 2020500929 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B5)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
上島 靖範 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 江塚 尚弘 |
登録日 | 2022-01-12 |
登録番号 | 1705586 |
代理人 | 城村 邦彦 |
代理人 | 田中 秀佳 |
代理人 | 熊野 剛 |