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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 N3 |
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管理番号 | 1382407 |
総通号数 | 3 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-04-12 |
確定日 | 2022-02-22 |
意匠に係る物品 | 調光器 |
事件の表示 | 意願2020− 7785「調光器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年(2020年)4月14日の意匠登録出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 9月16日付け 拒絶理由の通知(原審) 同年10月26日 意見書の提出 令和3年 1月15日付け 拒絶査定 同年 4月12日 拒絶査定不服審判の請求 同年10月20日付け 拒絶理由の通知(当審) 同年11月 8日 意見書の提出 第2 本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「調光器」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである(別紙第1参照)。 第3 当審における拒絶の理由 当審における拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似し、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとの理由であって、当審における拒絶の理由で示された引用意匠は、具体的には、以下のとおりである。 「著者の氏名 株式会社サンコーデバイス 表題 サンコーデバイス >> SMZ−3101 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2020年1月24日 (update: 2020/01/24の 記載がある。別紙第2第2頁右上参照。) 検索日 [令和3年10月11日検索] 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス(URL)http://www.web−sanko.co.jp/smz−3101/(出力日:令和3年10月11日。別紙第2第1頁〜第2頁参照。) の製品「SMZ−3101」として表された「照明コントローラー」(別紙第2第2頁右上に掲載)の意匠(以下「引用意匠」という。)。 引用意匠は、別紙第2第1頁左側の図に表されています(同第3頁はその図を拡大したものです)。また、その図の直下にある「製品図面」を選択すると同第4頁が表示され、「取扱説明書」を選択すると同第5頁〜第7頁が表示されるところ、「取扱説明書」には「OFF時はPowerボタンのみ表示された状態となります。」との記載があります(第6頁第5行)。 本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)と対比される対象は、引用意匠における本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)です。 (参考)上記URLとは別に、株式会社サンコーデバイスが運営する別のWebページとして「会社からのお知らせ」が公開されており(別紙第2第8頁〜第9頁)、それによれば、「年末・年始休業のお知らせ」「製品ページを更新しました」「技術ページを更新しました」「新型コロナウイルスによる営業のお知らせ(2020/4/13修正版)」のお知らせが時系列順に掲載されており、各ページには次のupdate日が記載されています(同第10頁〜第13頁)。 1 「年末・年始休業のお知らせ」 「2019/11/12」 2 「製品ページを更新しました」 「2020/01/24」 3 「技術ページを更新しました」 「2020/01/27」 4 「新型コロナウイルスによる営業のお知らせ(2020/ 4/13修正版)」 「2020/04/13」 上記2では、引用意匠である製品「SMZ−3101」が製品ページに新規登録されたことが記載されており、update日は2020/01/24となっています。 そうすると、引用意匠が掲載されている上記URLのupdate日が2020/01/24である蓋然性は高いので、引用意匠は、本願の出願日前に公開されたものであると認められます。」 第4 請求人の主張 請求人は、令和3年11月8日に提出した意見書において、本願意匠が登録されるべき理由について以下のとおり主張した。 1 本願意匠が登録されるべき理由 拒絶理由通知書では、本願意匠は、出願日(2020年4月14日)より前の2020年1月24日に出願人自身のホームページに公開された製品(SMZ−3101)と共通しており、それ故新規性を喪失していると認定されています。その根拠として、引用意匠である製品「SMZ−3101」が製品ページに新規登録されたことが記載されており、update日が2020/01/24となっていることが挙げられている。 出願人のホームページについて、この辺りの事情を申し述べる。 出願人のホームページにおいて、製品「SMZ−3101」として公開するものは、本願意匠に係る物品であることに間違いない。確かに、出願人が当該製品を企画し、将来製造・販売するために、当該ホームページにそのエントリーを作成した日は、2020年1月24日である。この時の日付で、「会社からのお知らせ」や当該製品ページ内のupdate日として、現在でも掲載されている。 しかし、このエントリーした時点では、現在のような本願意匠と共通する画像は掲載されていなかった。すなわち、当該製品ページ内には電源、定格、周波数、出力信号などの文字情報だけで、現在右上に製品を表示する領域は画像がなく空白であった。また、同時点で当該製品ページ内の「製品図面」ボタンおよび「取扱説明書」ボタンを押しても、表示される「製品図面」と「取扱説明書」は、現在表示される「製品図面」と「取扱説明書」と異なっていた。すなわち、同時点では、「製品図面」におけるタッチパネル内の画像は何もない空白として表示され、「取扱説明書」におけるタッチパネル内の画像も同様に空白で表示され、(飾りパネルの周囲にある)タッチパネル内の要素を示す丸付き数字と矢印はなく、文字情報としての説明があったのみであった。その後、本願意匠の出願が完了した2020年4月下旬に、現在のホームページにある内容に更新した。したがって、出願日前には本願意匠と共通する当該製品の画像を公開していない。 update日が2020/01/24であると表示することは、あたかも、このページ内の情報は2020年1月24日に更新され、それ以降は更新されていないような印象を与える。すなわち、2020年1月24日には現在と同じ画像が掲載されていたと認識させるものとなっていることは否めない。しかし、上述したように、出願人は、出願日前には本願意匠をホームページに公開していない。 2020年4月下旬にエントリー時点の内容から現在の内容に更新したにも拘わらず、現在においてもupdate日が2020/01/24となっている点に疑義が生ずるかと思料する。出願人は、ホームページに表示される「update日」が如何なるものかテストしてみた。拒絶理由通知の別紙第2に示すように、2021年10月11日時点では重量の項目は、「−」(値なし)となっていたが、出願人は、例として、下記のテストホームページ画像に示すように、重量について「100g」としてこのページを更新してみた。ところが、update日は2020/01/24のままとなっている。すなわち、このホームページにおいては、「update日」は、最新の更新日付を意味するのではなく、最初に登録した日付(エントリーした日付)を意味するものとなっているようである。 2 むすび 以上のとおり、出願人のホームページにおいては、非常に誤解を与えやすい表記はあるものの、実際には、出願日前に本願意匠と共通する当該製品の画像を公開した事実はない。したがって、本願意匠は、新規性を喪失してないものと思料する。 第5 当審の判断 請求人の主張を踏まえて、本願意匠が、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて検討し、判断する。 1 引用意匠について 前記第3で示した引用意匠は、本願の株式会社サンコーデバイス(請求人)が運営するWebサイトである「サンコーデバイス >> SMZ−3101」に、製品「SMZ−3101」として掲載された「照明コントローラー」の意匠であり、同サイトには「update: 2020/01/24」の記載があるから(別紙第2第2頁右上参照)、引用意匠の掲載日は2020年1月24日であると、一般的には認められる。 しかし、前記第4に示したとおり、請求人は、このupdate日が同サイトにおいては最新の更新日付を意味するのではなく、最初に登録した日付(エントリーした日付)を意味するものとなっており、エントリーした時点では現在右上に製品を表示する領域は画像がなく空白であったと主張する。 そこで検討するに、「update: 2020/01/24」の記載それ自体が、引用意匠(別紙第2第1頁左側の図)が2020年1月24日に同サイトに掲載されている事実を立証するものではないこと、及び2020年1月24日の時点で引用意匠が同サイトに掲載されていることを示す事実(間接事実)が発見できないことから、職権探知の限りでは、引用意匠が本願の出願前である2020年1月24日に同サイトに掲載され、公開されていると断定することはできない。 そうすると、引用意匠は、本願意匠の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠であるとはいい難い。また、引用意匠は、本願意匠の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された意匠であるともいえない。 したがって、引用意匠は、本願意匠の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠であるということはできない。 2 本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて 引用意匠は、本願意匠の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠であるとはいえないので、意匠法第3条第1項第2号に掲げる意匠に該当しない。したがって、本願意匠は、その引用意匠に類似するものとして同項第3号に掲げる意匠に該当するということはできない。 第6 むすび 以上のとおり、本願意匠は、当審における拒絶の理由に引用した意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-02-02 |
出願番号 | 2020007785 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(N3)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
北代 真一 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 小林 裕和 |
登録日 | 2022-03-03 |
登録番号 | 1709537 |
代理人 | 鈴木 康裕 |