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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 D7 |
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管理番号 | 1382417 |
総通号数 | 3 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-07-30 |
確定日 | 2022-02-15 |
意匠に係る物品 | 折り畳み固定鏡 |
事件の表示 | 意願2020− 13513「折り畳み固定鏡」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、意願2018−1171(意匠登録第1611555号)を本意匠とする令和2年(2020年)7月2日に出願された関連意匠の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和 3年(2021年) 2月 8日付け 拒絶理由の通知 同年 3月15日 意見書の提出 同年 6月11日付け 拒絶査定 同年 7月30日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「折り畳み固定鏡」とし、その形状等(形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第3 原審の拒絶の理由及び引用した意匠 原審における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下、「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等(形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合)又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「この意匠登録出願の意匠に係る物品は折り畳み固定鏡であるところ、折り畳み鏡の分野において外形状を円形状とすることは、(例えば下記の意匠1と意匠2においてみられるように、)本願出願前よりごく一般的に行われています。 そうすると、本願出願前に公然知られた下記の意匠3の外形状を、本願出願前に公然知られた意匠1、2のように円形状に置き換えたに過ぎない本願の意匠は、当業者であれば、容易に創作することができたものです。 なお、本願意匠と本意匠の表示の欄に記載された意匠登録第1611555号の意匠とは、固定部材、鏡部材、及び2段階に折りたたみ可能なアーム部材からなり、アーム部材が2段階に折りたたまれて固定部材の凹部に収納されることにより、固定部材と鏡部材が係合可能である点が共通し、一方、固定部材及び鏡部材の形状で差異が見られます。 ここで、上記差異点のうち、特に、鏡部材に関しては、需要者が最も注目する部分であることから、その形状が円形であるか正方形であるかの違いは、看者に強い印象を抱かせるものであり、上述した共通点の印象を凌駕するものであると言えます。 よって、両意匠は類似していません。 意匠1 特許庁普及支援課が2007年 9月27日に受け入れた 米国特許商標公報 2007年 9月 4日07W36号 携帯用鏡(登録番号US D549968S)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH19312650号) 意匠2 米国特許商標公報 2017年10月31日 折り畳み鏡(登録番号US D801060S)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH29327577号) 意匠3 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1611555号の意匠」 第4 当審の判断 以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠 (1)意匠に係る物品 本願の意匠に係る物品は、壁面等に固定して使用する「折り畳み固定鏡」である。 (2)本願意匠の形状等 ア 基本的構成態様 本願意匠は、略円板状の基台(以下「基台部」という。)と、これと同径の略円板状の鏡(以下「鏡部」という。)を、平面視略縦長棒状の連結部材(以下「アーム部」という。)を介して正背に連結したものであって、具体的には、基台部の正面中央右寄りと、鏡部の背面中央に、アーム部の両端を取り付けたもので、アーム部は両端および鏡部寄りの3箇所にヒンジを設けて折り畳み可能に形成したものであって、アーム部を内側に折り畳むと基台部と鏡部が重なって略円板状に変形するものである。 イ 各部の形状等 (ア)基台部 基台部は、直径と厚みの比率が約7.5:1で、正面中央に縦幅を直径の約1/3とする凹条を水平に形成している。 (イ)鏡部 鏡部は、直径と厚みの比率が約9:1で、正面の外縁のやや内側に円形の鏡を面一に形成している。 (ウ)アーム部 アーム部は、端面が略縦長長方形の略横長角板状のバーを2本、上下にバーの縦幅1本分の間隔を空けて配置し、略縦長直方体状のヒンジで2本のバーの両端を挟み込むように固着し、一方のヒンジは基台部の凹条の上下の内壁に嵌め込んで回動可能とし、他方のヒンジは上下に3等分して真ん中を回動可能に形成し、その正面中央に端面が略正方形で2本のバーより長さの短い略横長直方体状のバーの後端を取り付けて、その先端を鏡部に取り付けている。 2 引用意匠 (1)意匠1(別紙第2参照) ア 意匠に係る物品 意匠1の意匠に係る物品は、携帯して使用する「携帯用鏡」である。 イ 意匠1の形状等 意匠1の形状等は、概略以下のとおりである。 (ア)基本的構成態様 意匠1は、略円板状の基台部と、これと同径の略円板状の鏡部を、略棒状のアーム部を介して連結したものであって、具体的には、基台部の端部寄りと、鏡部の周側面に、アーム部の両端を取り付けたもので、アーム部は両端の2箇所にヒンジを設けて折り畳み可能に形成したものであって、アーム部を内側に折り畳むと基台部と鏡部が重なって略円板状に変形するものである。 (イ)各部の形状等 a 基台部 基台部は、直径と厚みの比率が約5.2:1で、正面の左右中央の上端寄りから下端まで横幅を直径の約1/7とする略縦長矩形状の凹陥を形成し、その両脇から周縁近くまで大きな凹陥を1つずつ形成している。 b 鏡部 鏡部は、直径と厚みの比率が約7:1で、正面の外縁のやや内側に円形の鏡を面一に形成している。 (2)意匠2(別紙第3参照) ア 意匠に係る物品 意匠2の意匠に係る物品は、載置して使用する「折り畳み鏡」である。 イ 意匠2の形状等 意匠2の形状等は、概略以下のとおりである。 (ア)基本的構成態様 意匠2は、略円板状の基台部と、これと同径の略円板状の鏡部を、略棒状のアーム部を介して連結したものであって、具体的には、基台部の端部寄りと、鏡部の端部寄りに、アーム部の両端を取り付けたもので、アーム部は両端の2箇所にヒンジを設けて折り畳み可能に形成したものであって、アーム部を内側に折り畳むと基台部と鏡部が重なって略円板状に変形するものである。 (イ)各部の形状等 a 基台部 基台部は、直径と厚みの比率が約5.6:1で、正面の左右中央の上端から下端寄りまで端部の横幅を直径の約1/5弱とする略縦長矩形状の凹陥を形成し、その両脇から周縁近くまで大きな凹陥を1つずつ形成し、右側の凹陥は真ん中で上下に分割している。また、周側面の正面中央に略円板状のボタンを設けている。 b 鏡部 鏡部は、直径と厚みの比率が約7.6:1で、正面の外縁の内側に円形の鏡を面一に形成している。 (3)意匠3(別紙第4参照) ア 意匠に係る物品 意匠3の意匠に係る物品は、壁面等に固定して使用する「折り畳み固定鏡」である。 イ 意匠3の形状等 意匠3の形状等は、概略以下のとおりである。 (ア)基本的構成態様 意匠3は、略正方形板状の基台部と、これと略同形同大の略正方形板状の鏡部を、平面視略縦長棒状のアーム部を介して正背に連結したものであって、具体的には、基台部の正面中央右寄りと、鏡部の背面中央に、アーム部の両端を取り付けたもので、アーム部は両端および鏡部寄りの3箇所にヒンジを設けて折り畳み可能に形成したものであって、アーム部を内側に折り畳むと基台部と鏡部が重なって正背に扁平な略直方体状に変形するものである。 (イ)各部の形状等 a 基台部 基台部は、一辺の長さと厚みの比率が約6.9:1で、正面中央に縦幅を一辺の長さの約1/3強とする凹条を水平に形成している。 b 鏡部 鏡部は、一辺の長さと厚みの比率が約6.9:1で、正面の外縁のやや内側に正方形の鏡を面一に形成している。 c アーム部 アーム部は、端面が略縦長長方形の略横長角板状のバーを2本、上下にバーの縦幅1本分の間隔を空けて配置し、略縦長直方体状のヒンジで2本のバーの両端を挟み込むように固着し、一方のヒンジは基台部の凹条の上下の内壁に嵌め込んで回動可能とし、他方のヒンジは上下に3等分して真ん中を回動可能に形成し、その正面中央に端面が略正方形で2本のバーより長さの短い略横長直方体状のバーの後端を取り付けて、その先端を鏡部に取り付けている。 3 本願意匠の創作性の検討 この物品の属する分野においては、略円板状の基台部と、これと同径の略円板状の鏡部を、略棒状のアーム部を介して連結したものが、本願出願前に公然知られているもの(意匠1および意匠2)であることから、これらの態様は、当業者にとって、格別の創作を要したものということはできない。 しかしながら、本願意匠のように、アーム部を、端面が略縦長長方形の略横長角板状のバーを2本、上下にバーの縦幅1本分の間隔を空けて配置し、略縦長直方体状のヒンジで2本のバーの両端を挟み込むように固着し、一方のヒンジは基台部の凹条の上下の内壁に嵌め込んで回動可能とし、他方のヒンジは上下に3等分して真ん中を回動可能に形成し、その正面中央に端面が略正方形で2本のバーより長さの短い略横長直方体状のバーの後端を取り付けて、その先端を鏡部に取り付けているものは、意匠1および意匠2には見られないものであるから、一定の創作を有するものといわざるを得ない。 そうすると、本願意匠の態様は、この種物品分野において独自の着想によって創出したものであり、当業者が公然知られた形状等に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。 4 意匠3について 原審の拒絶理由において、本願意匠が意匠法3条2項の規定に該当する証拠として掲げた意匠3(意匠登録第1611555号)は、前記第1に記載のとおり、本願意匠の本意匠と同一の意匠であるところ、本願意匠と本意匠とは、基台部および鏡部の外形状が異なる点以外は概ね共通するものであって、この共通する態様が顕著であるから、本願意匠は本意匠に類似し、本願意匠は本意匠の関連意匠として意匠法10条1項の規定の適用を受けることができるものである。 そうすると、意匠法10条2項の規定により、本意匠と同一である意匠3は、意匠法3条1項1号又は2号に該当するに至らなかったものとみなされるため、これを引用して、同条2項の規定を適用することができない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、原審が示した理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-01-25 |
出願番号 | 2020013513 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(D7)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
加藤 真珠 内藤 弘樹 |
登録日 | 2022-02-24 |
登録番号 | 1709074 |
代理人 | 特許業務法人あしたば国際特許事務所 |