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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H7
管理番号 1383276 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-06 
確定日 2022-03-18 
意匠に係る物品 勤怠管理機能付き電子計算機 
事件の表示 意願2020− 473「勤怠管理機能付き電子計算機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年(2020年)1月15日の意匠登録出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年10月29日付け 拒絶理由の通知
同年12月 8日 意見書の提出
令和3年 4月 6日付け 拒絶査定
同年 7月 6日 拒絶査定不服審判の請求

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「勤怠管理機能付き電子計算機」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである。

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「本願意匠は、縦方向に棒が伸びる勤怠管理の棒グラフについて、ベースとなる目安の値を灰色として、それに重ねるように、実績値のうちベースラインを超えた箇所を赤色として、ベースラインを超えなかった実績値を緑色としたものを、部分意匠として意匠登録を受けようとするものです。
本願出願前から、ベースとなる目安の値を灰色として、それに重ねるように、ベースラインを超えたものと、超えないものとで、異なった色彩としたものは、公然知られています(画像1)。また、ベースラインを超えるか超えないかで色彩を異なるものとした縦方向に棒が伸びる棒グラフも(画像2、画像3)、実績値のうちベースラインを超えた箇所のみを異なる色彩とした棒グラフも(画像4)、いずれも公然知られています。
そうすると、本願意匠は画像1を基として、それを角張った棒のグラフにして、色彩として赤、緑、灰色を選択するなどの僅かな改変を施して、部分意匠として表したにすぎず、当業者であれば容易に創作できたものと認められます。
(中略)

画像1:
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2018年 6月14日
受入日 特許庁意匠課受入2018年 6月22日
掲載者 Google Play
表題 Health Keeper あなたの健康管理
者! − Google Play のアプリ
掲載ページのアドレス https://play.google.com/store/apps/details?id=
com.lr.amor.care.app.jp
に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアの運動関連機能」の画像
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ30089637号)

画像2:
大韓民国意匠商標公報 2013年 1月 8日13−01号
タブレット型電子計算機(登録番号30−0668238)の画像
(特許庁意匠課公知資料番号第HH25400309号)

画像3:
中華人民共和国意匠公報 2016年 8月10日
データ表示器(公開番号CN303792589S)の画像
(特許庁意匠課公知資料番号第HH28005227号)

画像4:
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1577528号の意匠
歩数計機能付き電子計算機 の画像」

第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠の認定
当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する(別紙第1参照)。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は「勤怠管理機能付き電子計算機」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。
「この意匠に係る物品は、勤怠管理機能付き電子計算機である。本願意匠は、勤怠管理システムにおける勤務者の所定時間外労働時間の一覧画面の一部を登録の対象としたものであって、各勤務者の所定時間外労働の累計時間及び所定時間外労働の残り時間、所定時間外労働超過時間を確認できるものである。本願意匠においては、各勤務者の月の所定時間外労働の残り時間枠を灰色、実際に勤務した累計時間を緑色、加えて所定時間外労働時間を超過した時間を赤色で表示させることで、所定時間外労働の状況を視覚的に容易に捉えることができるようになっている。これによって、勤務者は自己の所定時間外労働の残り時間や超過時間を簡単に把握することができ、管理者側は各勤務者の勤務状況を一見して容易に把握することができる。なお、左上部に設けられたドロップダウンボタンを操作することで、各月の所定時間外労働時間の一覧を確認することができる。」
また、願書の「意匠の説明」には、以下のとおり記載されている。
部分意匠として登録を受けようとする部分以外の部分に薄青色を施した。一点鎖線は登録を受けようとする部分とそれ以外の部分との境界のみを示すものであって、一点鎖線で囲まれた部分が部分意匠として登録を受けようとする部分である。」
これらの願書の記載によれば、本願物品は、各勤務者の所定時間外労働の累計時間及び所定時間外労働の残り時間、所定時間外労働超過時間を確認できるものである。
(2)「正面図」に表された画像
上記(1)のとおり本願物品は各勤務者の所定時間外労働の累計時間などを確認できると説明されていること、及び左上部に設けられたドロップダウンボタンが操作の用に供されることから、本願画像は意匠法第2条第2項(平成18年改正意匠法)に規定された物品の操作の用に供される画像に該当すると認められる。
本願画像において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、本願画像内で「一点鎖線で囲まれた部分」(以下「本願画像部分」という。)である。
(3)本願画像部分の用途及び機能
上記(1)の願書の記載によれば、本願画像部分の用途及び機能は、勤務者が自己の所定時間外労働の残り時間や超過時間を簡単に把握すること、及び管理者側が各勤務者の勤務状況を一見して容易に把握することである。その手段として、各勤務者の月の所定時間外労働の残り時間枠を灰色、実際に勤務した累計時間を緑色、加えて所定時間外労働時間を超過した時間を赤色で表示させるようになっている。
(4)本願画像における本願画像部分の位置、大きさ及び範囲
本願画像(縦横比は約2:3)は、薄型板状の本願物品の正面部中央の位置にあり、そのほぼ一杯の大きさ及び範囲を占めている。
一点鎖線で囲まれた本願画像部分の縦横比は約3:2であって、その縦幅は本願画像の縦幅の約1/2であり、横幅は本願画像の横幅の約1/5である。
(5)本願画像部分の形態
ア 全体の形状
本願画像部分は、水平方向に並ぶ7本の縦棒から成り、縦棒の横幅:隙間の比は約5:2で一定であって、本願画像部分を上から約2:3に内分する高さまで灰色及び/又は緑色に表され、その高さを超えると赤色及び緑色に表される。背景の色は白色である。
イ 各縦棒の形態
7本の縦棒を、左から順に、縦棒アないし縦棒キとして、以下認定する。縦棒ウ以外は、本願画像部分を上から約2:3に内分する高さを超えていない。
(ア)縦棒ア
上から、灰色部と緑色部で構成されており、それらの縦幅の比は約1:5である。
(イ)縦棒イ
上から、灰色部と緑色部で構成されており、それらの縦幅の比は約1:2である。
(ウ)縦棒ウ
上から、赤色部と緑色部で構成されており、それらの縦幅の比は約5:8である。
(エ)縦棒エ
上から、灰色部と緑色部で構成されており、それらの縦幅の比は約1:42である。
(オ)縦棒オ
上から、灰色部と緑色部で構成されており、それらの縦幅の比は約7:3である。
(カ)縦棒カ
上から、灰色部と緑色部で構成されており、それらの縦幅の比は約9:10である。
(キ)縦棒キ
上から、灰色部と緑色部で構成されており、それらの縦幅の比は約1:10である。

2 引用画像の認定
原査定における拒絶の理由で引用された画像について、以下のとおり認定する。なお、引用された画像の出典や公知日などについては、前記第3のとおりであり、形態については、主として本願画像部分に対応する部分の形態を認定する。
(1)画像1(別紙第2参照)
ア 意匠1の用途及び機能
活動時間(Active minutes)を表示するための用途及び機能を有しており、平均活動時間が点線で表されている。
イ 画像1の形態
(ア)全体の形状
水平方向に並ぶ7本の縦棒から成り、縦棒の横幅:隙間の比は約1:1で一定であって、縦棒は点線の高さまで灰色及び/又は緑色に表され、その高さを超えると緑色に表される。背景の色は薄い灰色である。
(イ)各縦棒の形態
7本の縦棒を、左から順に、縦棒アないし縦棒キとして、以下認定する。縦棒イ以外は、点線の高さを超えている。縦棒カ及び縦棒キには、青色部がなく、活動実績がないと推認される。縦棒の上端は半円状に丸まっている。
a 縦棒ア
全体が緑色部で構成されており、点線の高さを超えた部分:超えない部分の高さの比は約1:3である。
b 縦棒イ
上から、灰色部と緑色部で構成されており、それらの縦幅の比は約1:5である。
c 縦棒ウ
全体が緑色部で構成されており、点線の高さを超えた部分:超えない部分の高さの比は約4:5である。
d 縦棒エ
全体が緑色部で構成されており、点線の高さを超えた部分:超えない部分の高さの比は約1:3である。
e 縦棒オ
全体が緑色部で構成されており、点線の高さを超えた部分:超えない部分の高さの比は約4:5である。
f 縦棒カ
全体が灰色部で構成されており、縦棒の高さは点線の高さと同じである。
g 縦棒キ
縦棒カと同様である。

(2)画像2(別紙第3参照)
ア 画像2の用途及び機能
画像2が表されている領域(タブ)の名称が「Rate Plan(仮訳:「使用率計画」)」であり、他に「Energy Use(エネルギー使用)」や「Budget(予算)」のタブもあることから、画像2の用途及び機能は、エネルギーの使用率計画に係るものであると推認される。
イ 画像2の形態
(ア)全体の形状
水平方向に並ぶ24本の縦棒から成り、縦棒の横幅:隙間の比は約2:1で一定であって、縦棒は赤色又は緑色に表されている。背景の色は青色であり、上にいくにつれてしだいに白色になっている。
(イ)各縦棒の形態
24本の縦棒のうち、左側13本は同形同大であり、右側11本も同形同大である。それぞれ、左側縦棒、右側縦棒として認定する。
a 左側縦棒
全体が赤色部で構成されている。
b 右側縦棒
全体が緑色部で構成されている。
c 左側縦棒と右側縦棒の関係
左側縦棒と右側縦棒の下端位置は揃っており、左側縦棒の高さ:右側縦棒の高さの比は、約5:2である。

(3)画像3(別紙第4参照)
「界面変化状態図2(仮訳:「インターフェイス変化状態図2」)」の画像について認定する。
ア 画像3の用途及び機能
画像3が表された中華人民共和国意匠公報の記載(別紙第6)によれば、画像3は、建物全体のエネルギー消費量を月と年で確認するための用途及び機能を有している。
イ 画像3の形態
(ア)全体の形状
上下2段に水平方向に並ぶ22本の縦棒から成り、縦棒の横幅:隙間の比は約5:1で一定であって、縦棒は黄色、緑色、橙色又は赤色に表されている。背景の色は透過性のある白色であり、建物の風景写真が透けて見えている。
(イ)各縦棒の形態
a 上段の縦棒
点線の高さに達した縦棒が緑色に表されている。点線の高さを超えた縦棒は橙色又は赤色で表され、点線の高さに達しない縦棒は黄色に表されている。
b 下段の縦棒
上段の縦棒とほぼ同様であるが、点線の高さに達せず、黄色の縦棒よりも低い縦棒が、やや淡い緑色に表されている。

(4)画像4(別紙第5参照)
「正面図」の棒グラフの画像について認定する。
ア 画像4の用途及び機能
画像4が表された意匠公報の記載によれば、画像4は、過去分の歩数を棒グラフで表示する用途及び機能を有している。
イ 画像4の形態
(ア)全体の形状
垂直方向に並ぶ8本の横棒から成り、横棒の間の間隔は広めであって、最上の横棒の縦幅は他の横棒の縦幅の約2倍であり、各横棒の左端の位置はそろっている。右方の垂直線まで青色に表され、その位置を超えると青色及び赤色に表される。背景の色は白色である。
(イ)各横棒の形態
8本の横棒を、上から順に、横棒アないし横棒クとして、以下認定する。横棒が垂直線の位置を超えているのは、横棒ア、横棒ウ、横棒オ及び横棒クの4本である。
a 横棒ア
左から、青色部と赤色部で構成されており、それらの横幅の比は約8:1である。
b 横棒イ
青色で表されており、右端は垂直線まで達しておらず、青色部の横幅と右端から垂直線の位置までの距離の比は約5:1である。
c 横棒ウ
左から、青色部と赤色部で構成されており、それらの横幅の比は約5:2である。
d 横棒エ
青色で表されており、右端は垂直線まで達しておらず、青色部の横幅と右端から垂直線の位置までの距離の比は約16:1である。
e 横棒オ
左から、青色部と赤色部で構成されており、それらの横幅の比は約11:10である。
f 横棒カ
青色で表されており、右端は垂直線まで達しておらず、青色部の横幅と右端から垂直線の位置までの距離の比は約5:1である。
g 横棒キ
青色で表されており、右端は垂直線まで達しておらず、青色部の横幅と右端から垂直線の位置までの距離の比は約1:2である。
h 横棒ク
左から、青色部と赤色部で構成されており、それらの横幅の比は約3:1である。

3 本願意匠の創作非容易性について
本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、当業者であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討する。
本願画像部分の用途及び機能が、勤務者が自己の所定時間外労働の残り時間や超過時間を簡単に把握し、管理者側が各勤務者の勤務状況を一見して容易に把握することであって、灰色部と緑色部の組合せで所定時間外労働の残り時間枠と実際に勤務した累計時間を表す(第1手段)とともに、赤色部で所定時間外労働時間を超過した時間を表す(第2手段)ものであるところ、画像1ないし画像4の用途及び機能はその2つの手段を併せ持つものではないから、そのような用途及び機能を有する画像の形態が本願の出願前に公然知られているかについては明らかではない。
そして、本願画像部分の7本の縦棒の形態についても、
縦棒の横幅:隙間の比を約5:2とし、本願画像部分を上から約2:3に内分する高さまで2色又は1色で表し、その高さを超えると2色で表した形態は、画像1ないし画像4には表されていない。そうすると、当業者が、画像1ないし画像4の形態に基づいて、本願画像部分の形態を容易に創作することができたということはできない。
したがって、原査定における拒絶の理由で引用された画像に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲




















審決日 2022-03-02 
出願番号 2020000473 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 北代 真一
特許庁審判官 江塚 尚弘
小林 裕和
登録日 2022-03-25 
登録番号 1711626 
代理人 恩田 博宣 
代理人 恩田 誠 
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