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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1384316 |
総通号数 | 5 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-08-10 |
確定日 | 2022-04-07 |
意匠に係る物品 | 情報検索機能付き電子計算機 |
事件の表示 | 意願2020− 5495「情報検索機能付き電子計算機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、意匠法第4条第2項の規定(新規性喪失の例外)の適用を受けようとする、令和2年3月23日の意匠登録出願であって、令和3年1月8日付けの拒絶理由の通知に対し、同年2月24日に意見書が提出されたが、同年5月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年8月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願の意匠 本願の意匠は、意匠に係る物品を「情報検索機能付き電子計算機」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって(以下「本願意匠」という。)、物品の部分として意匠登録を受けようとする部分を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「本願意匠は、画面上方に画面横幅いっぱいの長方形表示エリアを設け、その直下に帯状のエリアを設け、その帯状エリアの中に横長角丸四角形を複数横に並べ、かつ、その一つの右端が画面から見切れる状態として、その下に長方形の縮小表示枠を横に4列、縦に2段配置した、その画像について、部分意匠として意匠登録を受けようとするものです。 しかしながら、画面上方に画面横幅いっぱいの長方形表示エリアを設け、その直下に帯状のエリアを設け、その帯状エリアの中に横長角丸四角形を複数横に並べ、かつ、その一つの右端が画面から見切れる状態としつつ、その下に四角形の縮小表示枠を配置した態様については、本願出願前より公然知られています。(画像2、画像3) また、画面上方に画面横幅いっぱいの長方形表示エリアを設け、その下方に、長方形の縮小表示枠を横に4列、縦に複数段、配置する態様についても、本願出願前より公然知られています。(画像4ないし画像6) そうすると、本願意匠は、本願出願前から公然知られた画像1を基にして、そこに僅かな改変(各GUI部品の構成比の僅かな変更、横長角丸四角形の一つの右端を画面から見切れる状態とした変更。いずれも、種々のものが公然知られています。)を加え、長方形の縮小表示枠を横に4列、縦に2段配置したものを組み合わせたにすぎず、当業者であれば容易に創作できたものと認められます。 (中略) 画像1: 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2016年12月14日 受入日 特許庁意匠課受入2016年12月26日 掲載者 Jovem Nerd 表題 Jovem Nerd − Oficial − Google Play の Android ア プリ 掲載ページのアドレス https://play.google.com/store/apps/details?id=com.jovemnerd.app に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアの情報提供機能」の画像 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ28134823号) 画像2: 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2019年11月15日 受入日 特許庁意匠課受入2020年 1月27日 掲載者 100code 表題 Tamil Samayal − − Go ogle Play のアプリ 掲載ページのアドレス https://play.google.com/store/apps/details?id=com.the100code.samayal に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアのレシピ機能」の画像 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ31128864号) 画像3: 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2020年 2月28日 受入日 特許庁意匠課受入2020年 3月12日 掲載者 Sathoon Cheawpanitch 表題 「SME EZ Shopping」をApp S toreで 掲載ページのアドレス https://apps.apple.com/jp/app/sme-ez-shopping/id1491458535 に掲載された「スマートフォン用ソフトウェアのネットショッピング機能」の画像 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ31171604号) 画像4: 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2015年12月28日 受入日 特許庁意匠課受入2016年 4月 4日 掲載者 CAMPFIRE(キャンプファイヤー) 表題 プロジェクトを探す − CAMPFIRE(キャ ンプファイヤー) 掲載ページのアドレス http://camp-fire.jp/projects/discover に掲載された「Webサービス」の画像 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ27106273号) 画像5: 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2015年12月 9日 受入日 特許庁意匠課受入2016年 4月 4日 掲載者 JR東海 | うまし うるわし 奈良 表題 JR東海 | うまし うるわし 奈良 | キャ ンペーン 掲載ページのアドレス http://nara.jr-central.co.jp/campaign/index.html#/map-ikaruga に掲載された「プロモーション」の画像 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ27095374号) 画像6: 大韓民国意匠商標公報 2013年10月25日13−32号 携帯用情報端末機(登録番号30−0713681)の画像 (特許庁意匠課公知資料番号第HH25440909号)」 第4 当審の判断 以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。 1 本願意匠の認定 (1)本願意匠の意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は、「情報検索機能付き電子計算機」である。 (2)本願部分の画像について 本願部分は、電子計算機の表示部に画像が表示されたものであり、表示部内には、タップ等による操作部を有することから、その機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像(平成18年改正意匠法第2条第2項で規定された操作画像)であると認められる。 ア 本願部分の用途及び機能 本願部分の用途及び機能は、本願物品の表示部において、各種情報の検索及び表示を行うものである。 イ 本願部分の位置、大きさ及び範囲 本願部分の位置、大きさ及び範囲は、正面視縦長の表示機能付き電子計算機本体において周囲に余地部を設けて配された縦:横を約5:3とする表示部全体とするものである。 ウ 本願部分の形態 (ア)本願部分全体の形状 平坦状の縦長長方形の表示部全体において、上端から約1.3/10、下端から約3/10の位置に、水平状の分割線が表示された態様とするものである。 (イ)全体の構成 正面視、全体の形状を縦長長方形とし、水平方向に分割された5つのエリア(上から順に「上部余剰エリア」、「第1長方形表示エリア」、「中部帯状エリア」、「第2長方形表示エリア」、「下部余剰エリア」。)による構成とするものである。 (a)第1長方形表示エリア 第1表示エリアは、本願部分の縦幅の約20/100とするものである。 (b)中部帯状エリア 中部帯状エリアは、本願部分の縦幅の約9/100とする帯状で、その縦幅の中央に、横幅の異なる横長トラック状部を水平に4つ並べ、右側の横長トラック状部の右端が見切れて表れたものである。 (c)第2長方形表示エリア 第2長方形表示エリアは、本願部分の縦幅の約28/100とするもので、エリア内に、縦:横を約2:3とする横長長方形状の縮小表示枠を水平に4つ、2行にわたって配した態様とするものである。 (d)本願部分における余剰エリアの態様 表示部上部(表示部上端から第1長方形表示エリアとの間)、及び表示部下部(表示部下端から第2長方形表示エリアとの間)に、他の情報等が表示される余剰エリア(上部余剰エリアは、本願部分の縦幅の約13/100、下部余剰エリアは、本願部分の縦幅の約30/100)が確保された態様とするものである。 2 画像1ないし画像6の認定 原査定における拒絶の理由で引用された画像1ないし画像6について、以下のとおり認定した。 なお、画像1ないし画像6の出典や公知日などについては、前記第3に記載したとおりである。 (1)画像1(別紙第2参照) ア 画像1の用途及び機能 スマートフォン用ソフトウェアの情報提供機能の画像である。 イ 画像1の形態 (a)全体の構成 全体の形状を、縦長長方形とし、水平方向に分割された5つのエリア(上から順に「上部余剰エリア」、「第1長方形表示エリア」、「中部帯状エリア」、「第2長方形表示エリア」、「下部固定エリア」。)で構成されたものである。 (b)第1長方形表示エリア 第1長方形表示エリアは、画像1部分の縦幅の約24/100とするものである。 (c)中部帯状エリア 中部帯状エリアは、画像1部分の縦幅の約6/100とする細帯状で、その縦幅の中央に、横幅の異なる横長トラック状部を水平に6つ並べたものである。 (d)第2長方形表示エリア 第2長方形表示エリアは、画像1部分の縦幅の約70/100とするもので、エリア内の左端に、縦:横を約2:3とする横長長方形状の縮小表示部を縦一列に6つ配し、最下部の縮小表示枠が見切れて表れたものである。 (e)画像1における余剰エリアの態様 表示部上部に上部余剰エリアが存在するが、画像1の下端部は高さ幅の小さい固定エリアであり、表示部下部に他の情報等が表示される下部余剰エリアが確保されていない態様とするものである。 (2)画像2(別紙第3参照) ア 画像2の用途及び機能 スマートフォン用ソフトウェアのレシピ機能の画像である。 イ 画像2の形態 (a)全体の構成 全体の形状を、縦長長方形とし、水平方向に分割された5つのエリア(上から順に「上部余剰エリア」、「第1長方形表示エリア」、「中部帯状エリア」、「第2長方形表示エリア」、「下部固定エリア」。)で構成されたものである。 (b)第1長方形表示エリア 第1長方形表示エリアは、画像2部分の縦幅の約44/100とするものである。 (c)中部帯状エリア 中部帯状エリアは、第1長方形表示エリアと第2長方形表示エリアに挟まれた画像2部分の縦幅の約14/100とする枠に囲まれていないもので、その縦幅の中央より上側に、横幅の異なる横長トラック状部を水平に6つ並べ、右側の横長トラック状部の右端が見切れて表れたものである。 (d)第2長方形表示エリア 第2長方形表示エリアは、画像2部分の縦幅の約42/100とするもので、エリア内の上部に、縦:横を約5:4とする縦長長方形状の縮小表示部を水平に5つ配し、右側の縮小表示部の右端が見切れて表れ、下部に、縦:横を約3:7とする横長長方形状の縮小表示部を水平に3つ配し、右側の縮小表示部の右端が見切れて表れたものである。 (e)画像2における余剰エリアの態様 表示部上部に上部余剰エリアが存在するが、画像2の下端部は高さ幅の小さい固定エリアであり、表示部下部に他の情報等が表示される下部余剰エリアが確保されていない態様とするものである。 (3)画像3(別紙第4参照) ア 画像3の用途及び機能 スマートフォン用ソフトウェアのネットショッピング機能の画像である。 イ 画像3の形態 (a)全体の構成 全体の形状を、縦:横が約10:7の縦長長方形とし、水平方向に分割された5つのエリア(上から順に「上部余剰エリア」、「第1長方形表示エリア」、「中部帯状エリア」、「第2長方形表示エリア」、「下部固定エリア」)で構成されたものである。 (b)第1長方形表示エリア 第1長方形表示エリアは、画像3部分の縦幅の約2/5とするものである。 (c)中部帯状エリア 中部帯状エリアは、第1長方形表示エリアの下と第2長方形表示エリアに挟まれた画像3部分の縦幅の約1/5とする枠に囲まれていないもので、その縦幅の中央より上側に、横幅を同じとする横長トラック状部を水平に4つ並べ、右側の横長トラック状部の右端が見切れて表れたものである。 (d)第2長方形表示エリア 第2長方形表示エリアは、画像2部分の縦幅の約2/5とする枠に囲まれていないもので、縦幅ほぼいっぱいに、縦:横を約9:8とする縦長長方形状の縮小表示部を水平に2つ配したものである。 (e)画像3における余剰エリアの態様 表示部上部に上部余剰エリアが存在するが、画像3の下端部は高さ幅の小さい固定エリアであり、表示部下部に他の情報等が表示される下部余剰エリアが確保されていない態様とするものである。 (4)画像4(別紙第5参照) ア 画像4の用途及び機能 Webサービスの画像である。 イ 画像4の構成 画像4は、画面上方に画面横幅いっぱいの第1長方形表示エリアを有しているが、第2長方形表示エリアに相当する部分には、縦:横を約3:5とする横長長方形状の縮小表示部を水平方向に4つ、下方に複数行にわたって表示された態様とするもので、情報の増加に伴い、第2長方形表示エリアに相当する部分が下方に延長され、表示部下部に他の情報等が表示される下部余剰エリアが確保されていない態様とするものである。 (5)画像5(別紙第6参照) ア 画像5の用途及び機能 プロモーションの画像である。 イ 画像5の構成 画像5は、画面上方に画面横幅いっぱいの第1長方形表示エリアを有しているが、第2長方形表示エリアに相当する部分には、縦:横を約3:4とする横長長方形状の縮小表示部を水平方向に4つ、2行にわたって配し、3行目は左から2つのみ表示された態様とするもので、情報の増加に伴い、この第2長方形表示エリアに相当する部分が下方に延長され、表示部下部に他の情報等が表示される下部余剰エリアが確保されていない態様とするものである。 (6)画像6(別紙第7参照) ア 画像6の用途及び機能 携帯用情報端末機の画像であって、当該物品の表示部において、各種情報の検索及び表示を行うものである。 イ 画像6の構成 画像6は、画面上方に画面横幅いっぱいの第1長方形表示エリアを有し、第2長方形表示エリアに相当する部分には、縦:横を約3:4とする横長長方形状の縮小表示部を水平方向に4つ配し、2行目は左から3つのみ表示された態様とするもので、この第2長方形表示エリアに相当する部分には、下端部が表示されていないことから、表示部下部に他の情報等が表示される下部余剰エリアが確保されていない態様とするものである。 3 本願意匠の創作非容易性について 本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、当業者であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討する。 本願物品である情報検索機能付き電子計算機において、表示部に、各種情報の検索及び表示を行うにあたり、表示エリアにどのように情報を整理して表示するのかは、創作の大きなポイントの1つとなる。 本願部分のように表示部上部に他の情報等が表示される上部余剰エリアを有し、その下に第1長方形表示エリア、中部帯状エリア、及び第2長方形表示エリアの構成とする画像は、画像1ないし画像に3に見られ、中部帯状エリアの横長トラック状部の一部が見切れた態様とすることも、画像2及び画像3に見られるように、本願の出願前に広く知られており、また各エリアの縦横比等の態様も、画像の分野においては軽微な改変にすぎず、これらの点について、本願部分に特段の創作性を認めることはできない。 しかしながら、本願部分は、第2長方形表示エリアを、本願部分の縦幅の約28/100の固定エリアとすることで、表示部下部に他の情報等が表示される本願部分の縦幅の約30/100とする下部余剰エリアを確保した態様とするものである。この種物品分野の創作において、表示エリアにどのように情報を整理して表示するのかは、創作の大きなポイントの1つであるのに対し、この態様は、画像1ないし画像6のいずれにも表れていないため、これらを組み合わせても本願意匠を導き出すということはできない。 したがって、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-03-24 |
出願番号 | 2020005495 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(H7)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
正田 毅 北代 真一 |
登録日 | 2022-05-09 |
登録番号 | 1715087 |
代理人 | 伊藤 健太郎 |
代理人 | 茜ヶ久保 公二 |
代理人 | 林 美和 |
代理人 | 稲葉 良幸 |