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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 N3
管理番号 1385236 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-08-16 
確定日 2022-05-06 
意匠に係る物品 デジタルカメラ 
事件の表示 意願2020− 15494「デジタルカメラ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要

1 手続の経緯
本願は,意匠法第14条第1項の規定により3年間秘密にすることを請求した,令和2年(2020年)7月27日の意匠登録出願であって,令和3年(2021年)1月6日付けの拒絶理由の通知に対し,同年2月22日に意見書が提出されたが,同年5月10日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年8月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同年9月27日に手続補正書(補正対象書類:審判請求書)が提出されたものである。

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠は,意匠に係る物品を「デジタルカメラ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって(以下「本願意匠」という。),部分意匠として意匠登録を受けようとする部分について,願書の「意匠の説明」欄には,「実線で表した部分(画像部分の参考図において引出線bで示す部分であって,各種の設定項目を表示するための矩形領域部分。)が意匠登録を受けようとする部分である(ただし,同矩形領域内の破線で表した文字及び線分を除く。)。」(以下「本願部分」という。)と記載されている(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用した意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ,頒布された刊行物に記載され,又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は,デジタルカメラに係る画像について意匠登録を受けようとするものであって,その形状等は,画像エリアの右部,メニューの前面側にある矩形の枠について,左辺が画像エリアの半分に届かない程度の位置にある状態から,右辺の位置及び縦幅を変えず左辺が画像エリアの半分を超えた程度の位置にある状態に変化させるものについて意匠登録を受けようとするものと認められます。
しかしながら,画像エリアの右部にある矩形の枠について,左辺が画像エリアの半分に届かない程度の位置にある状態から,右辺の位置及び縦幅を変えず左辺が画像エリアの半分を超えた程度の位置にある状態に変化させるものは,意匠1にみられるように本願出願前に公知です。また,矩形の枠をメニューの前面側に配置することは,意匠2,意匠3にみられるように本願出願前に公知です。
そうすると,本願意匠は,デジタルカメラに係る画像として,画像エリアの右部にある矩形の枠について,左辺が画像エリアの半分に届かない程度の位置にある状態から,右辺の位置及び縦幅を変えず左辺が画像エリアの半分を超えた程度の位置にある状態に変化させること,矩形の枠をメニューの前面側に配置,といういずれも本願出願前に公知の態様を単純に組み合わせ表したものに過ぎないため,当業者であれば容易に創作できたものです。

意匠1(当審注:別紙第2参照)
米国特許商標公報 2020年 5月12日
遷移グラフィカルユーザインターフェースを有する表示画面(登録番号US D883997S Display screen or portion の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第RH02313468号)
(特に,FIG.1,FIG.2に表された画像)

意匠2(当審注:別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2012−123475の【図8】に表された画像の意匠

意匠3(当審注:別紙第4参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1502379号の意匠
(特に,正面図及び表示部拡大図に表された画像)」

第2 請求人の主張

請求人は,令和3年(2021年)9月27日提出の手続補正書において,要旨以下のとおり主張した。
1 本願意匠の形状等及びその変化
本願意匠は,願書添付の【画像部分の参考図】において引出線aで示す領域内に表示された「複数の設定項目のカテゴリの一を選択すると」,引出線bで示す領域が拡大するよう変化しつつ同領域内に「そのカテゴリに含まれる種々の具体的な設定項目や現在の設定内容等」を表示する内容のものである(以下,引出線aで示す領域を,説明の便宜上「第2階層」と称する)。
このような本願意匠において,その意匠登録を受けようとする部分は,画像部分の拡大図1に記載した画像のうちの右端に表された矩形の枠部分(以下,同部分を「本願部分」と称する。)であり,【画像部分の拡大図2】に記載したとおり,同部分は「画像が表示される領域全体の横幅に対して概ねその8割となる程度にまで拡大する変化」をするものである。
つまり本願意匠は,【画像部分の拡大図1】から【画像部分の拡大図2】への遷移に伴って,画像表示領域全体の相当程度,かつ,第2階層の大部分を覆いつつも,その左端において第2階層が視認できる程度に,本願部分が画像表示領域全体の横幅の8割程度の位置にまで拡大する内容のものである。

2 引用意匠との関係について
(1)意匠1
意匠1は,画像表示領域の半分を超えた程度(具体的には6割ほど)にまで拡大するに過ぎず,その余の部分に細かい図表を表示するだけの余裕を十分に残す当該意匠1の「矩形の枠」と,画像表示領域の相当な範囲を覆ってしまう,その横幅の8割程度の位置にまで拡大する本願部分とでは,矩形枠の変化後の左辺の位置に,大きな隔たりがある。

(2)意匠2
意匠2について,原審審査官は,これが「矩形の枠をメニューの前面側に配置する」ものであって,意匠1の拡大する矩形枠と組み合わせれば,本願意匠は容易に創作できたと認定判断しているが,意匠2においては,確かに矩形の枠(具体的には「第3表示領域A7」とされている階層)が,メニュー(具体的には「第2表示領域A6」とされている階層)の前面に重畳して表示されているものの,先に見たように,意匠1の「矩形の枠」は拡大しても画像表示領域の横幅半分を超えた程度にまでしかその左辺が移動しない内容のものであるから,これと意匠2とを組み合わせても,単に画像表示領域の半分を超えた程度にまでしか第3階層の左辺が移動しないものが創作されるだけであって,画像表示領域の相当な範囲を覆ってしまう横幅の8割程度の位置にまで拡大する本願部分の創作をすることができない。

(3)意匠3
意匠3について,原審審査官は,これが「矩形の枠をメニューの前面側に配置する」ものであって,意匠1の拡大する矩形枠と組み合わせれば,本願意匠は容易に創作できたと認定判断しているが,意匠3の「矩形の枠」は,「照明,エアコン,給湯器等の機器分類を選択するメニュー画面」であり,その選択によって当該メニュー画面の下に「選択された機器を操作するための操作画面が表示され」るといった内容のものである。敢えてこのメニュー画面と操作画面とを階層構造によって表示されているものと理解するとしても,本願部分に相当するはずの矩形の枠は,その下位階層の前面に重畳しているものであって,本願意匠のように上位階層の前面に重畳しているものではない。
つまり,意匠3と本願意匠とでは,そもそも階層の構造が逆転しており,この点に関する原審審査官の意匠3は「矩形の枠をメニューの前面側に配置する」内容のものであるとした認定は誤りである。
したがって,このような意匠3と意匠1を組み合わせても,第2階層(上位の階層)の大部分を覆うといった内容の本願意匠は創作することは出来ず,また,意匠2との組合せの場合と同様に,意匠1が拡大しても画像表示領域の半分を超えた程度にまでしか矩形枠の左辺が移動しない内容のものである以上,意匠1と意匠3を組み合わせても,単に半分を超えた程度にまでしか矩形枠の左辺が移動しないものが創作されるだけであり,画像表示領域の相当な範囲を覆ってしまう横幅の8割程度の位置にまで拡大する本願部分を創作することはできない。

3 矩形の枠の「横幅を画像エリアの横幅の8割ほどを覆う大きさにすること」の困難性について
本願意匠においては,設定項目が多岐に亘るためにどうしても階層が深くなるとともに表示内容も多数に及ぶこの種の画像において,また,それを小型の表示画面に表示するにおいて文字列の視認性と各階層の操作性を十分に確保するために,第2階層の大部分を覆いつつもその左端において第2階層が視認できる程度,つまり画面全体の横幅の8割程度の位置にまで本願部分を拡大させるようにしているものであって,この創作は,少なくとも画像表示領域に配置された矩形枠の幅について,一般的ないし日常的に行われているであろうレイアウトの変更といった極く単純な調整作業とは,その意図や目的が異なっている。
また,本願部分は,第2階層の大部分に覆い被さっている。このような,本願部分に覆い被さられることによって当該文字類は見え難くなるにもかかわらず,スムースな階層の選択操作のために敢えてこれを覆ってしまうという発想ないし着想は,決して一般的なものではない。
実際,意匠1の矩形枠は,他のどのような要素にも覆い被さってはいないし,意匠2も同様である。意匠3は他の要素に矩形枠が覆い被さってはいるが,そもそもこれは矩形枠が拡大した結果ではない。
未だ操作可能な状態にある上位階層に表示された文字類すらも,その大部分を覆ってしまうように下位階層を拡大させるといった着想は,少なくとも引用された意匠1ないし意匠3には見出せないものであって,かかる着想の新しさや独創性を軽視して,本願意匠の創作上の困難性を否定するのは誤りである。

4 むすび
本願意匠は,画像表示領域全体の相当程度,かつ,第2階層(上位階層)の大部分を覆いつつも,その左端において第2階層が視認できる程度に,矩形の領域が画像表示領域全体の横幅の8割程度の位置にまで拡大するという特徴を備えるものであり,当該特徴を欠く意匠1ないし意匠3を組み合わせても,本願意匠を創作することはできない。
また,本願意匠は,設定項目が多岐に亘るために階層が深くなるとともに表示内容も多数に及ぶこの種の画像において,また,それを小型の表示画面に表示するにおいて文字列の視認性と各階層の操作性を十分に確保するために,第2階層の大部分を覆いつつもその左端において第2階層が視認できる程度,つまり画面全体の横幅の8割程度の位置にまで本願部分を拡大させるようにしているものであって,この創作について「当業者であれば,意匠1の拡大後の矩形の枠について,その横幅を画像エリアの横幅の8割ほどを覆う大きさにすることに困難性は」ないとするのは誤りである。
したがって,本願意匠は意匠法3条2項に規定する意匠には該当しないものである。

第3 当審の判断

本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について,すなわち,本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて,以下検討し,判断する。
1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,シャッタースピード,露出,ホワイトバランス等の各種の設定を,本体背面に設けられたボタンにより操作する,若しくは本体背面の表示画面を指でタッチすることにより操作することができる「デジタルカメラ」である。

(2)本願部分の用途及び機能
本願部分の用途は,デジタルカメラにおける種々の具体的な設定項目や現在の設定内容等を表示するための矩形領域部分であり,その機能は,複数の設定項目が表示された表示画面の左から2行目の領域の部分(画像部分の参考図において引出線aで示す部分。以下「引出線a部分」という。)に表示された項目の一つを選択すると,当該項目に係る具体的な設定項目が表示された表示画面の右側の領域の部分(画像部分の参考図において引出線bで示す部分。以下「引出線b部分」という。)が,引出線a部分の全体を隠さない範囲で拡大し,引出線a部分の選択した項目に係る種々の具体的な設定項目や現在の設定内容を表示することができ,かつ,この拡大した状態で一部分が見えている引出線a部分の他の項目を選択すると,新たに選択した項目に係る種々の具体的な設定項目や現在の設定内容を表示することができ,ユーザーが具体的な設定を終えあるいは設定を中止する操作を行うと,画面部分の拡大図1の状態に復帰するといった機能を有するものである。

(3)本願部分の位置,大きさ及び範囲
本願部分の位置,大きさ及び範囲は,デジタルカメラ本体背面部分に配置された表示画面右端に接する部分に位置し,当初は表示画面横幅の約40%とし,拡大後に約80%を占める大きさ及び範囲とするものである。

(4)本願部分の形状等
ア 本願部分は,変化の態様を含めて意匠登録を受けようとするものであって,当初の画像部分については,画像部分の拡大図1に表された部分,つまり引出線b部分の形状等を,縦横比が約1.5:1の枠線で囲まれた略縦長長方形状の領域の部分としたものであり,この部分には引出線a部分で選択した一つの項目に係る設定項目等の一部が表示される。
イ 次に,引出線aの一つの項目を選択後に拡大した引出線b部分(以下「拡大引出線b部分」という。)の形状等を,引出線b部分を横方向にのみ約2倍拡大した,縦横比が約3:4の枠線で囲まれた略縦長長方形状の領域の部分としたものであり,これらの部分は,引出線a部分の一部を表示される項目の内容が分かる程度に残しつつ他の部分を覆い隠すように表示され,この部分には引出線a部分で選択した項目に係る種々の設定項目や現在の設定内容が表示される。
ウ そして,拡大引出線b部分が表されている状態で,引出線a部分の他の設定項目を選択した場合の形状等を,上記イと同様の縦横比が約3:4の枠線で囲まれた略縦長長方形状の領域の部分としたものであり,この部分には選択した他の設定項目に係る種々の具体的な設定項目や現在の設定内容が表示される。
エ 更に,ユーザーが具体的な設定を終えあるいは設定を中止する操作を行った場合の形状等を,上記アと同様の縦横比が約1.5:1の枠線で囲まれた略縦長長方形状の領域の部分としたものであり,この部分には引出線a部分で選択していた項目に係る具体的な設定項目等の一部が表示されるものである。

2 原査定の拒絶の理由における引用意匠の認定
原査定における拒絶の理由で引用された,意匠1ないし意匠3の意匠に係る物品及び形状等は,概要以下のとおりである。
以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,意匠1ないし意匠3にもあてはめることとする。
(1)意匠1
意匠1は,米国特許商標庁が2020年5月12日に発行した米国特許商標公報に記載された,登録番号US D883997Sに表されている「遷移グラフィカルユーザインターフェースを有する表示画面(特に,FIG.1,FIG.2に表された画像)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第RH02313468号)である(別紙第2参照)。
また,意匠1の画像における本願部分に相当する部分のFIG1の形状等を,縦横比が約1.75:1の枠線で囲まれ,上端部に全体の約1/16の縦幅の細長長方形状の部分が表れる,全体が略縦長長方形状の領域の部分としたものであり,それが変化したFIG2の形状等を,縦横比が約1:1.2の枠線で囲まれ,上端部にFIG1と同じ縦幅の細長長方形状の部分が表れる,全体が略横長長方形状の領域の部分としたものであり,変化したFIG3ないしFIG5においても,上端部にFIG1と同じ縦幅の細長長方形状の部分が表れる,全体が縦長ないし横長の略長方形状の領域の部分が表れるものである。

(2)意匠2
意匠2は,日本国特許庁が平成24年(2012年)6月28日に発行した公開特許公報に記載された,特開2012−123475における【図8】に表された画像の意匠及びそれに関する記載である(別紙第3参照)。
また,意匠2における本願部分に相当する部分の形状等を,【図8】に表示された第2層表示領域A6の項目の一つを選択後に表れる縦横比が約1:1.3の枠線で囲まれた略横長長方形状の領域の部分としたものであり,この部分には第2層表示領域A6で選択した項目(アルバム名)に係る具体的な項目内容(楽曲名)が表示され,また,第2層表示領域A6で新たな項目を選択すると,この部分にはその選択に対応した項目内容が表示される。

(3)意匠3
意匠3は,日本国特許庁が平成26年(2014年)7月14日に発行した意匠公報に記載された,意匠登録第1502379号(意匠に係る物品「携帯端末機」)の意匠である(別紙第4参照)。
また,意匠3における本願部分に相当する部分の形状等は,【正面図】の左寄りの部分に表示画面の一部を隠すようにして表示されたメニュー画面の一つの項目を選択後に,画面全体が切り替わって表示される【変化の状態を示す正面図】に表れる,縦横比が約1.7:1の略縦長長方形状の領域の部分としたものであり,この部分にはメニュー画面で選択した機器に係る操作画面が表示される。
そして,一定の操作によってメニュー画面を表示される状態に戻った後,メニュー画面の他の項目を選択すると,画面全体が切り替わり,メニュー画面で新たに選択した機器に係る操作画面が表示される。

3 本願意匠の創作容易性の判断
まず,本願意匠の当業者とは,デジタルカメラの設計及び製作を行う技術者であって,また,本願部分の創作についても考慮すればデジタルカメラのユーザーインターフェースについての設計製作も行う者であるといえる。
そうすると,画面表示部分の設計において,操作画面上にありふれた形状の一定の領域を表示させることや,その領域の大きさを適宜変更させることは,例えばプログラムのパラメ−ターを変更する等の簡単な方法により当業者であれば容易に行うことができるものであるといえる。
次に,本願部分の当初の形状等である上記アの引出線b部分の形状等を,縦横比が約1.5:1の枠線で囲まれた略縦長長方形状の領域の部分としたもの,及び,これを変化させた上記イの拡大引出線b部分の形状等を,引出線b部分を横方向にのみ約2倍拡大した,縦横比が約3:4の枠線で囲まれた略縦長長方形状の領域の部分としたものについては,当該引出線b部分及び拡大引出線b部分の形状等が,周知の形状である枠線で囲まれた略長方形状であって,その縦横比も特段特徴のない比率に過ぎず,また,縦の長さを固定し横方向にのみ拡大させる変化も意匠1で示したように公然知られたものであることから,ユーザーインターフェースについての設計製作を行う当業者にとって見れば,このような変化する画像の形状等を創作することに着想の新しさや独創性があるとはいえず,本願意匠のこの形状等については,当業者であれば,格別の障害も困難もなく容易に成し得るものであるといえる。
また,拡大した引出線b部分が表されている状態で,引出線a部分の他の項目を選択した場合の上記ウの形状等を,上記イと同様の縦横比が約3:4の枠線で囲まれた略縦長長方形状の領域の部分とし,この部分には引出線a部分の新たに選択した項目に係る種々の具体的な設定項目や現在の設定内容に切り替わって表示されるものについても,該部位の形状等が,周知の形状である枠線で囲まれた略長方形状であって,その縦横比も特段特徴のない比率に過ぎず,また,引出線a部分の他の項目を選択したことで,その表示が新たに選択した項目に対応した種々の設定項目や現在の設定内容に切り替わる変化も意匠2及び意匠3で示したように公然知られたものであることから,このような変化する画像の形状等を創作することに着想の新しさや独創性があるとはいえず,本願意匠のこの形状等については,当業者であれば,格別の障害も困難もなく容易に成し得るものであるといえる。
そして,ユーザーが具体的な設定を終えあるいは設定を中止する操作を行った場合の形状等を,当初の形状等である縦横比が約3:4の枠線で囲まれた略縦長長方形状の領域の部分としたものも,該部位の形状等が,周知の形状である枠線で囲まれた略長方形状であって,その縦横比も特段特徴のない比率に過ぎず,また,ユーザーの操作により当初の表示に切り替わる変化も意匠3で示したように公然知られたものであることから,このような変化する画像の形状等を創作することに着想の新しさや独創性があるとはいえず,本願意匠のこの形状等については,当業者であれば,格別の障害も困難もなく容易に成し得るものであるといえる。
しかしながら,デジタルカメラに係る種々の設定項目を素早く変更・設定することができるように,引出線a部分に表示された項目が常に選択可能な状態で表示画面に表示しつつ,引出線a部分の一部分を選択可能な大きさで残し,引出線a部分のそれ以外の部分を覆うようにして,引出線b部分を表示画面横幅の約80%を占める大きさにまで拡大して引出線b部分に表示された種々の設定項目や現在の設定内容全体が見やすいように表示する創作は,引出線a部分に該当する部分自体の大きさも変化している意匠1のものや,引出線b部分の大きさが全く変化しない意匠2のもの,及び引出線a部分が消滅し,それに置き換わって引出線b部分が画面のほぼ全体に表示される意匠3のものにおいて何ら見ることはできず,これらの形状等については,本願意匠の出願前に公然知られたものであるとはいえないものである。
そうすると,本願意匠における引出線a部分の一部分を残しつつ,それ以外の部分を覆うようにして表示画面横幅の約80%を占める大きさにまで引出線b部分を拡大する創作は,この種物品分野において独自の着想によって創出した創意工夫が施されたといえるものであり,当業者が公然知られた形状等に基づいて容易に創作をすることができたものであるとはいうことができない。
したがって,本願意匠は,意匠1ないし意匠3を示しても当業者が公然知られた形状等に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたとはいえないものである。

第4 むすび

以上のとおりであって,本願意匠は,原審が示した理由によっては意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないものであるから,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲










審決日 2022-04-13 
出願番号 2020015494 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (N3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 上島 靖範
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2022-06-06 
登録番号 1717245 
代理人 五味 飛鳥 
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