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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L2 |
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管理番号 | 1385248 |
総通号数 | 6 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-10-11 |
確定日 | 2022-05-09 |
意匠に係る物品 | 橋梁 |
事件の表示 | 意願2020− 6891「橋梁」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、本意匠を意願2020−6887とし、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって、主な手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年(2020年) 4月 1日 意匠登録出願 同年 10月27日付け 拒絶理由通知 同年 12月14日 意見書の提出 令和3年(2021年) 7月 2日付け 拒絶査定 同年 10月11日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品の欄の記載を「橋梁」とする建築物であって、その形状等を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、物品の部分について「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」(以下「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものであって、当該拒絶の理由に引用された意匠は下記のとおりである(別紙第2参照。以下、「引用意匠」といい、本願意匠とあわせて「両意匠」という。)。 特許庁意匠課が1994年10月26日に受け入れた 高架橋・橋梁の修景桁美装ジスロンビスタックス 第1頁所載 組立て橋りょうの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HC06026794号) の本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分 第4 当審の判断 1 両意匠の対比 (1)両意匠に係る建築物 両意匠に係る建築物は、高架道路や河川を跨ぐ橋として使用する橋梁であるから、一致する。 (2)本願部分と引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能 本願部分と引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分とあわせて「両部分」という。)の用途及び機能は、共に、橋梁の桁側面に取り付けて美装、点検、防錆等に用いる桁カバーであるから、両部分の用途及び機能は、一致する。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲 両部分は、いずれも、橋梁の両側面をカバーする位置で、側面の中程から下端までの範囲であるから、位置、大きさ及び範囲は、一致する。 (4)両部分の形状等 両部分は、主として、以下の共通点及び相違点がある。 ア 共通点 両部分は、略横長平板状のパネル材を上下に複数枚連結し、全体として外向きに弧を描く面をなす点において共通する。 イ 相違点 (ア)パネル材の数について、本願部分は3枚であるのに対し、引用部分は7枚である点、 (イ)本願部分は、3枚のパネル材のうち、上端のパネル材を垂直に配置し、残りの2枚のパネル材はそれぞれ約15度の角度を付けて内側に屈曲状に配置し、全体として緩やかな弧状面としたものであるのに対し、引用部分は、上端のパネル材を垂直に配置し、その下に3枚のパネル材を略四分円弧状となるよう内側に屈曲状に配置したあと、3枚のパネル材を緩やかな傾斜状に配置したものである点、において相違する。 2 両意匠の類否判断 以上の共通点及び相違点が、両部分の類否判断に与える影響を評価し、総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)両意匠に係る建築物 両意匠に係る建築物は、同一である。 (2)両部分の用途及び機能 両部分の用途及び機能は、同一である。 (3)両部分の位置、大きさ及び範囲 両部分の位置、大きさ及び範囲は同一である。 (4)両部分の形状等の共通点及び相違点 ア 共通点の評価 共通点のうち、略横長平板状のパネル材を上下に複数枚連結して外向きに略弧状面とするものは、両部分以外にも普通にみられる態様であることから、格別需要者の注意を引くものではなく、両部分の類否判断に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 まず、相違点(ア)のパネル材の枚数の相違については、引用部分は本願部分より2倍強多く、一見して需要者に異なる美感を与えているから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 次に、相違点(イ)のパネル材の配置態様については、上端のパネル材を垂直に配置し、残りのパネル材を内側に屈曲状に配置し、全体として緩やかな弧状面とした本願部分と、上端のパネル材を垂直に配置し、その下のパネル材を略四分円弧状となるよう内側に屈曲状に配置したあと緩やかな傾斜状に配置した引用部分とは、相違点(ア)と相まって、明らかに異なる視覚的印象を与えており、需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。 ウ 形状等の類否判断 両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し、判断した場合、共通点は、両部分の類否判断に与える影響が小さいのに対し、相違点(ア)及び(イ)が両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。 そうすると、両部分は、形状等において類似するということはできない。 3 小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る建築物が同一で、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲がいずれも同一であるものの、形状等において、相違点(ア)及び(イ)が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-04-12 |
出願番号 | 2020006891 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L2)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
宮田 莊平 正田 毅 |
登録日 | 2022-06-01 |
登録番号 | 1717045 |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 布施 哲也 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |