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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F3 |
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管理番号 | 1385255 |
総通号数 | 6 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-11-26 |
確定日 | 2022-05-26 |
意匠に係る物品 | 写真プリント用紙 |
事件の表示 | 意願2020− 4528「写真プリント用紙」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 令和2年(2020年) 3月 6日 意匠登録出願 同年 9月29日付け 拒絶理由通知書 同年 11月 6日 意見書提出 令和3年(2021年) 8月25日付け 拒絶査定 同年 11月26日 審判請求書提出 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「写真プリント用紙」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠(別紙第2参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1503742号 (意匠に係る物品、シール自動販売機用写真シールシート)の意匠 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「写真プリント用紙」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「シール自動販売機用写真シールシート」であって、表記は異なるが、どちらも、写真シール印刷機用のプリント用紙であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。 (2)両意匠の形状等 両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 ア 共通点 (ア)基本的構成態様 全体は、略縦長長方形のシート状で、正面のやや内側に略縦長長方形の大枠1つと該大枠を四つ切り状に形成した小枠4つ(以下「四つ切り枠」という。)を左右に近接して配置した枠群を、横幅を揃えて上下に3段配置したものであって、枠群の行間に余白を設けている点、 (イ)枠群の態様 3段の枠群のうち、上段及び下段の枠群は、左側に大枠を配置し、右側に四つ切り枠を配置している点において共通する。 イ 相違点 (ア)3段の枠群のうち、中段の枠群の態様について、本願意匠は、左側に四つ切り枠を配置し、右側に大枠を配置しているのに対し、引用意匠は、左側に大枠を配置し、右側に四つ切り枠を配置している点、 (イ)左右の縁幅について、本願意匠は、約2:5.5で、枠群を左寄りに配置しているのに対し、引用意匠は、約5:4で、枠群をやや右寄りに配置している点、 (ウ)分割線について、引用意匠は、枠群の行間の余白の上下中央に横の分割線を形成しているのに対し、本願意匠は、分割線は形成していない点において相違する。 2 類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価 ア 共通点の評価 まず、(ア)基本的構成態様について、この種物品の分野において、全体を、略縦長長方形のシート状とし、その正面の内側に枠群を横幅を揃えて上下に3段配置し、行間に余白を設けたものは、下記の参考意匠1に見られるように、本願の出願前から公然知られており、また、(イ)枠群の態様について、左側に略縦長長方形の大枠1つ配置し、右側に四つ切り枠を配置したものも、下記の参考意匠2に見られるように、本願の出願前から公然知られていることから、これらの共通点は、両意匠にのみ見られる特有の態様とはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 参考意匠1(別紙第3参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1515789号 (意匠に係る物品、写真プリント用紙)の意匠 参考意匠2(別紙第4参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1508655号 (意匠に係る物品、シール自動販売機用写真シールシート)の意匠 イ 相違点の評価 まず、(ア)中段の枠群の態様について、本願意匠のように、左側に四つ切り枠を配置し、右側に大枠を配置したものは、本願意匠の他には見られず、また、意匠全体として見た場合、中段の枠群のみ左右の枠を逆に配置した本願意匠と、すべて同じ枠群とした引用意匠とは、需要者に与える美感が大きく異なるものといえるから、相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 次に(イ)及び(ウ)について、本願意匠のように、枠群を左寄りに配置したものや、枠群の行間の余白に分割線を形成していないものは、どちらも当該物品の分野においてごく普通に見られるものであり、本願意匠独自の態様とはいえないことから、相違点(イ)及び相違点(ウ)が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 ウ 形状等の類否判断 両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点(ア)及び共通点(イ)は、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものであるのに対し、相違点(イ)及び相違点(ウ)は、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものの、相違点(ア)は、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。 したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。 (3)小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、形状等においては、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両意匠は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-05-11 |
出願番号 | 2020004528 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F3)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
外山 雅暁 内藤 弘樹 |
登録日 | 2022-05-31 |
登録番号 | 1716890 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |