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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1386214 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-26 
確定日 2019-02-05 
意匠に係る物品 包装用容器の蓋 
事件の表示 意願2017−24479「包装用容器の蓋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成29年(2017年)11月1日の意匠登録出願であって,平成30年3月29日付けの拒絶理由の通知に対し,同年5月21日に意見書が提出されたが,同年6月19日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年9月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用容器の蓋」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。破線部分は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。なお,『参考平面図2』において,赤色で着色した部分が意匠登録を受けようとする部分に相当する。」としたものである(別紙第1参照)。

1 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用容器の蓋」である。

2 本願部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願意匠は,包装用容器の蓋の部分についての意匠であり,当該部分(以下,本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)は,側面部の中で,平面視左辺の中央(以下「短辺中央」という。)から左下コーナー部の中央(以下「コーナー中央」という。)までであって,側面部の短辺中央からコーナー中央までの位置,大きさ及び範囲であって,側面部の短辺中央からコーナー中央までの用途及び機能を有している。

3 本願部分の形状
本願部分の形状は,短辺中央において側面部の断面形状は略直線状であり,短辺中央からコーナー中央に向かって緩やかに円弧状に変化し,コーナー中央において断面形状を円弧状としたものである。
コーナー部分における側面部の上縁は,平面視でアール(約1/8円弧状)とし,下縁は,エッジを形成するようコーナー中央に向かって徐々に曲率を小さくしている。それにより,側面部の平面視における幅は,コーナー中央では短辺中央の約1.4倍であり,側面部の幅はコーナー始点辺りからコーナー中央に向かって徐々に広がるようになっている。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1170020号
(意匠に係る物品,包装用容器の蓋)の意匠における短辺側蓋傾斜部

1 意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「包装用容器の蓋」である。

2 引用部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,包装用容器の蓋のうち,側面部の短辺中央からコーナー中央までであって,側面部の短辺中央からコーナー中央までの位置,大きさ及び範囲であって,側面部の短辺中央からコーナー中央までの用途及び機能を有している。

3 引用部分の形状
引用部分の形状は,短辺中央において側面部の断面形状は円弧状であり,そのまま,コーナー中央に至り,コーナー中央において断面形状を円弧状としたものである。
コーナー部分における側面部の上縁及び下縁は,平面視でアール(約1/8円弧状)としている。それにより,側面部の平面視における幅は,ほぼ一定である。

第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠及び引用意匠の意匠に係る物品は「包装用容器の蓋」である。

2 両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の対比
本願部分及び引用部分は,包装用容器の蓋のうち,側面部の短辺中央からコーナー中央までであって,側面部の,短辺中央からコーナー中央までの位置,大きさ及び範囲であって,側面部の,短辺中央からコーナー中央までの用途及び機能を有している。

3 両部分の形状の対比
両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(1)共通点について
ア コーナー部分における側面部の上縁は,平面視でアールとしている点。
イ コーナー中央における側面部の断面形状が,円弧状である点。

(2)相違点について
ア 短辺中央における側面部の断面形状につき,本願部分は,略直線状であるのに対して,引用部分は,円弧状である点。
イ 短辺中央からコーナー中央までの側面部の形状変化につき,本願部分は,略直線状から緩やかに円弧状に変化しているのに対して,引用部分は,円弧状のままである点。
ウ 平面視による,コーナー部分における側面部の下縁につき,本願部分は,エッジを形成するようコーナー中央に向かって徐々に曲率を小さくしているのに対して,引用部分は,アールとしている点。
エ 側面部の平面視における幅につき,本願部分は,コーナー中央では短辺中央の約1.4倍であるのに対して,引用部分は,ほぼ同じである点。

第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
意匠に係る物品について両意匠を対比すると,両意匠共に「包装用容器の蓋」であるから,一致している。

2 両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の評価
両部分共に,側面部の短辺中央からコーナー中央までであって,側面部の短辺中央からコーナー中央までの位置,大きさ及び範囲であって,側面部の短辺中央からコーナー中央までの用途及び機能を有しているから,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は一致している。

3 両部分における形状の評価
(1)共通点について
共通点ア及び同イについては,この種物品分野においては,数多く見られる点であるから,両部分の類否判断に与える影響は小さいといえる。

(2)相違点について
相違点アないしエによって,本願部分は,短辺中央の略直線状からコーナー中央の円弧状に側面部を徐々に膨出しつつ,下縁の曲率を徐々に小さくして幅を約1.4倍にまで広げる形状であるのに対して,引用部分は,短辺中央からコーナー中央まで円弧状で幅もほぼ同じにした形状であり,両者の形状は大きく異なり,両部分のみを比較検討すると,相違点によって別異の印象を生じさせているものと認められるから,相違点が両部分の類否判断に与える影響は大きいといえる。

(3)両部分における形状の類否判断
共通点は,両部分の類否判断に与える影響は小さく,両部分の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点は,両部分の類否判断に与える影響は大きく,両部分の類否判断を決するものといえる。
よって,本願部分の形状と引用部分の形状は,部分における全体観察においては類似しないと認められる。

4 両意匠における類否判断
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が一致しているが,上記のとおり本願部分と引用部分の形状は類似しないものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似しない。

第6 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲




審決日 2019-01-21 
出願番号 2017024479 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2019-03-22 
登録番号 1629186 
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 

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