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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1386232 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-01-13 
確定日 2022-06-27 
意匠に係る物品 ヘッドホン用部品 
事件の表示 意願2020− 22408「ヘッドホン用部品」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、パリ条約による優先権(最初の出願:アメリカ合衆国、2020年6月22日)を主張する、令和2年(2020年)10月16日の意匠登録出願であって、その主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年(2021年) 2月18日付け 拒絶理由通知書
同年 7月26日 意見書
同年10月 4日付け 拒絶査定
令和4年(2022年) 1月13日 審判請求書

第2 本願意匠
本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「ヘッドホン用部品」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりであり、願書の「意匠の説明」の欄には「図面に表されている破切れた細線は、模様を表す線ではなく、いずれも立体表面の形状を表す線である。」と記載されている(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似し、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとの理由であって、拒絶の理由に引用した意匠は、下記の意匠である。
特許庁が平成25年(2013年)9月17日に発行した意匠公報に記載された、 意匠登録第1479204号(意匠に係る物品、マイクロホン付きヘッドホン)にあらわれた「イヤークッション」の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照。)
なお、意匠登録第1479204号の斜視図において、内側が表された「イヤークッション」の意匠、すなわち、正面左側の「イヤークッション」の意匠を引用意匠として認定する。そして、本願意匠の向きに合わせて引用意匠の形状等を認定し、例えば、意匠登録第1479204号の正面図に表された引用意匠の形状等を、引用意匠の左側面方向から見た形状等として認定する。

第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、ヘッドホン用のイヤークッション等として使用される「ヘッドホン用部品」であり、引用意匠の意匠に係る物品も「イヤークッション」であるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれもユーザーの耳を覆う用途及び機能を有しているから、用途及び機能が共通する。

2 両意匠の形状等の対比
(1)形状等の共通点
(共通点1)両意匠は、耳に当たるクッション部の外形状が略縦長トラック形状の略環状体であり、内側部分の奥に平坦状の面(以下「奥面」という。)が表されている。
(共通点2)左側面から見たクッション部上下端部の形状
左側面から見て、クッション部の上下端部は凸弧状に表されており、その弧状頂部から本体部側のクッション部の厚み:弧状頂部から耳側のクッション部の厚みの比は約0.8:1である。

(2)形状等の相違点
(相違点1)内側部分の形状
本願意匠の内側部分は、深い略円錐台形状のくぼみとなっており、奥面とクッション部の間に、内壁面が形成され、内壁面の右側面側中央にやや長円の孔部があるのに対して、引用意匠の内側部分は、奥面とクッション部の間に隙間が形成されており、内壁面は表されていない。
(相違点2)背面方向に突出した部分の形状
本願意匠では、奥面と内壁面の外側の部分、すなわち、背面方向に突出した部分(以下「背面方向突出部」という。)が「底面及び背面側斜視図」その他の図により表されており、背面方向突出部は左側面視略倒扁平台形状であって、クッション部から薄い台座部を経て連続しており、その周面には略長円形状の浅い凹部が6個形成されている。左側面から見たクッション部の最大径:薄い台座部の径:背面方向突出部の最大径の比は、約5:4:3である。
これに対して、引用意匠の奥面の外側の部分の形状は不明である。
(相違点3)左側面から見たクッション部の構成比
左側面から見て、クッション部の最大径と厚みの比は、本願意匠では約5.5:1であり、引用意匠では約7:1である。すなわち、最大径に対するクッション部の厚みは、本願意匠の方が引用意匠に比べて約1.3倍厚い。

第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通するから、類似する。

2 両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
(1)形状等の共通点の評価
「ヘッドホン」の意匠において、耳に当たるクッション部の外形状が略縦長トラック形状の略環状体であって内側部分の奥面が平坦状である意匠は本願の出願前に見受けられるから(例えば、意匠登録第1423073号の意匠(参考意匠1)。別紙第3参照。)、需要者が共通点1に殊更注目するということはできない。
他方、クッション部の上下端部が凸弧状に表されて、その弧状頂部から本体部側のクッション部の厚み:弧状頂部から耳側のクッション部の厚みの比が約0.8:1である点は、略縦長トラック形状の略環状体の片側端部を2割程度削ったような形状を呈しており、ヘッドホンの製造業者などの需要者に一定の視覚的印象を与えているから、クッション部の外観形状を子細に観察する需要者は共通点2に対して注目するといえる。
そうすると、共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものの、共通点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。
(2)形状等の相違点の評価
奥面とクッション部の間に、内壁面が表されているか否かの相違は、ヘッドホンの製造業者などの需要者が気付くものであり、本願意匠の内壁面に設けられた孔部に対しても、内側部分を子細に観察する需要者が注目するというべきであるから、相違点1が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
また、本願意匠の略扁平台形状の背面方向突出部に対しては、その部分の形状が不明である引用意匠と比較して、需要者は特に注意を払うというべきであり、周面に略長円形状の浅い凹部が6個形成されている本願意匠のその形状は、引用意匠とは異なる美感を需要者に起こさせるといえるから、相違点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きい。
他方、本願意匠のクッション部が引用意匠に比べて約1.3倍厚い相違点3は、「ヘッドホン」の意匠においてはクッション部の最大径と厚みの比には様々なものがあること、及び本願意匠に見られるような約5.5:1の比が他にも見受けられる(例えば、意匠登録第1529933号の意匠(参考意匠2)。別紙第4参照。)ことを踏まえると、相違点3が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。

3 両意匠の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、共通点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められるものの、相違点1及び相違点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きく、相違点は共通点を凌駕するというべきである。
したがって、両意匠の意匠に係る物品は類似するものの、両意匠の形状等の相違点1及び相違点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響が特に大きいから、本願意匠は引用意匠に類似しない。

第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、当審における拒絶の理由に引用した意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲







審決日 2022-06-15 
出願番号 2020022408 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 山田 繁和
特許庁審判官 小林 裕和
江塚 尚弘
登録日 2022-07-06 
登録番号 1719769 
代理人 山本 泰史 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 倉澤 伊知郎 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 鈴木 博子 
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