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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1386239 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-15 
確定日 2022-07-05 
意匠に係る物品 輸液バッグ 
事件の表示 意願2021−7386「輸液バッグ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は、令和3年(2021年)4月8日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和 3年 8月23日付け :拒絶理由の通知
9月 9日 :補正書の提出
9月 9日 :手続補足書の提出
10月 8日 :意見書の提出
11月15日付け :拒絶査定
令和 4年 2月15日 :審判請求書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「輸液バッグ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様又は色彩の結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「赤色で着色された部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。正面視上部に設けられた小円形状部は、吊孔であり、意匠登録を受けようとする部分ではない。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠:
著者の指名 薬事日報
表題 脳・脊髄手術用の洗浄灌流液「アートセレブ脳脊髄手術用洗浄灌流液」、12日に新発売 大塚製薬工場
媒体のタイプ [Online]
掲載年月日 平成20年 5月 9日
検索日 [令和 3年 8月10日]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://www.yakuji.co.jp/entry6672.html
に掲載された「アートセレブ脳脊髄手術用洗浄灌流液」のうち、本願意匠に相当する部分の意匠

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「輸液バッグ」である。

(2)本願部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は、輸液バッグの正面における、斜めストライプ模様、各四角形模様、縦長長方形枠に両手を重ねた模様及び目盛り模様部分である。
本願部分は、正面の溶着部より内側のおおむね全面という位置、大きさ及び範囲であって、当該部分に設けた各模様それぞれの用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形態
〔形態A1〕溶着部の内側の上半分においては、明るい灰色のほぼ横幅いっぱいの扁平L字形模様、略正方形模様及び横長長方形模様を上から順に配置し、前記略正方形模様の右側に灰色の横長長方形模様を配置し、溶着部の内側の下半分においては、明るい灰色の横長帯状模様及び灰色の横長長方形模様を上から順に配置している。
〔形態A2〕下半分の中央やや上に、灰色の縦長長方形枠に両手を重ねた模様を設けている。
〔形態A3〕下半分の左寄りに、灰色の縦長目盛り模様を設けている。
〔形態A4〕上記各略四角形模様(形態A1)を設けた部分、縦長長方形枠に両手を重ねた模様(形態A2)を設けた部分、及び縦長目盛り模様(形態A3)を設けた部分は途切れるようにして、多数の左上がりの灰色の斜線が、平行に表れていて(以下「多数の左上がりの斜線が、平行に表れているもの」のことを「斜めストライプ模様」ということもある。)、溶着部の内側の上半分の左上部分と右下角部分、及び溶着部の内側の下半分の右端部分には、斜めストライプ模様を設けていない。

2.引用意匠
引用意匠は、上記「第3」のインターネットに掲載された内容によると、以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
拒絶理由通知書には、「「アートセレブ脳脊髄手術用洗浄灌流液」のうち、本願意匠に相当する部分の意匠」と記載されているが、この本願意匠に相当する部分に係る物品は、「洗浄灌流液バッグ」と認められる。

(2)引用部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能
引用意匠中、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は、洗浄灌流液バッグの正面における、斜めストライプ模様、各四角形模様、縦長長方形枠に両手を重ねた模様及び目盛り模様部分である。
引用部分は、略縦長長方形の正面ほぼ全面という位置、大きさ及び範囲であって、当該部分に設けた各模様それぞれの用途及び機能を有するものである。

(3)引用部分の形態
〔形態B1〕溶着部の内側の上半分においては、左右両端が白色で、中央が暗い色のほぼ横幅いっぱいの横長帯状模様、白色の大きな横長長方形模様を上から順に配置し、溶着部の内側の下半分においては、白色の短い横帯状模様、長い横帯状模様、及び中明色の横長長方形模様を上から順に配置し、右寄りに白色の縦長長方形模様を配置している。
〔形態B2〕下半分の中央やや上に、中明色の縦長長方形枠に両手を重ねた模様を設けている。
〔形態B3〕下半分の左寄りに、暗い色の縦長目盛り模様を設けている。
〔形態B4〕上記各略四角形模様(形態B1)を設けた部分、縦長長方形枠に両手を重ねた模様(形態B2)を設けた部分、及び縦長目盛り模様(形態B3)を設けた部分は途切れるようにして、多数の左上がりの暗い色の斜線が、平行に表れている。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品も、引用意匠に係る物品も、標記は異なるが共に「液体収容バッグ」である。

(2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の対比
両部分共に、液体収容バッグの正面における、斜めストライプ模様、各四角形模様、縦長長方形枠に両手を重ねた模様及び目盛り模様部分であり、略縦長長方形の正面ほぼ全面という位置、大きさ及び範囲であって、当該部分に設けた各模様それぞれの用途及び機能を有するものである。

(3)両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると、以下に示す共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
〔共通点1〕溶着部の内側の上半分及び下半分においては、各種の略四角形模様を配置している点。(形態A1とB1)
〔共通点2〕下半分の中央やや上に、中明色の縦長長方形枠に両手を重ねた模様を設けている点。(形態A2とB2)
〔共通点3〕下半分の左端に、縦長目盛り模様を設けている点。(形態A3とB3)
〔共通点4〕上記各略四角形模様(共通点1)を設けた部分、縦長長方形枠に両手を重ねた模様(共通点2)を設けた部分、及び縦長目盛り模様(共通点3)を設けた部分は途切れるようにして、多数の左上がりの斜線が、平行に表れている点。

イ.相違点について
〔相違点1〕溶着部の内側の上半分及び下半分において配置している各種の略四角形模様につき、本願部分は、上半分に、明るい灰色のほぼ横幅いっぱいの扁平L字形模様、略正方形模様及び横長長方形模様を上から順に配置し、前記略正方形模様の右側に灰色の横長長方形模様を配置し、下半分に、明るい灰色の横長帯状模様及び灰色の横長長方形模様を上から順に配置しているのに対して、引用部分は、上半分に、左右両端が白色で、中央が暗い色のほぼ横幅いっぱいの横長帯状模様、白色の大きな横長長方形模様を上から順に配置し、下半分に、白色の短い横帯状模様、長い横帯状模様、及び中明色の横長長方形模様を上から順に配置し、右寄りに白色の縦長長方形模様を配置している点。(形態A1とB1)
〔相違点2〕下半分の中央やや上に設けた縦長長方形枠に両手を重ねた模様の色彩につき、本願部分は、灰色であるのに対して、引用部分は、中明色である点。(形態A2とB2)
〔相違点3〕下半分の左端に設けた縦長目盛り模様の色彩につき、本願部分は、灰色であるのに対して、引用部分は、暗い色である点。(形態A3とB3)
〔相違点4〕斜めストライプ模様が、本願部分は、上半分の左上部分と右下角部分、及び下半分の右端部分には設けられていないのに対して、引用部分は、それらの部分にも設けられている点。(形態A4とB4)

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の、意匠に係る物品は、いずれも「液体収容バッグ」であるから、一致している。

(2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の評価
両部分共に、液体収容バッグの正面における、斜めストライプ模様、各四角形模様、縦長長方形枠に両手を重ねた模様及び目盛り模様部分であり、略縦長長方形の正面ほぼ全面という位置、大きさ及び範囲であって、当該部分に設けた各模様それぞれの用途及び機能を有するものであるから、両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能は一致している。

(3)両部分における形態の評価
ア.共通点について
共通点1については、両部分を大まかに捉えたものであり、大まかに捉えた程度においては、この物品分野においてありふれた形状であるから、これらの共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
共通点2については、模様の配置及び形が共通するものであるから、一定程度の共通感を生み出すものであるが、部分の全体観察における両部分の類否判断に及ぼす影響は限定的である。
共通点3については、模様の配置及び形が共通するものであるから、一定程度の共通感を生み出すものであるが、この種物品分野においてはよく見受けられる模様であるから、両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
共通点4については、設けた面積の広いものであって、共に両意匠の特徴を表し、共通感を生み出しているが、具体的には、相違点4の相違が含まれているものであるから、両部分の類否判断に及ぼす影響は限定的である。
イ.相違点について
相違点1の、引用部分に有る上半分の白色の大きな横長長方形模様が本願部分には無いという相違は、相違点4の、斜めストライプ模様が、本願部分は、上半分の左上部分と右下角部分には設けられていないのに対して、引用部分は、それらの部分にも設けられているという相違と相まって、本願部分は、上半分においては、斜めストライプ模様が中央寄りに設けられているように受け取れるところ、対して引用部分は、上半分において、斜めストライプ模様が額縁状に設けられているように受け取れ、この相違によって両部分に別異な感じを生じさせているから、両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点2及び相違点3については、色彩の相違であるが、その差異は僅かなものであるから、両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。

(4)小括
そうすると、両部分の形態については、その共通点及び相違点の評価に基づくと、上記のとおり、共通点は、類否判断に及ぼす影響が小さいまたは限定的なものであるのに対して、相違点1及び相違点4によって類否判断に及ぼす影響は大きいものといえるものであり、両部分の形態は、類似するとは認められないものである。

(5)両意匠における類否判断
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能は一致している。
しかし、上記のとおり、両部分の形態は、類似するとは認められないものである。
よって、本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。

5.結び
以上のとおりであって、本願意匠は、引用意匠に類似するとはいえず、原査定の引用意匠をもって、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲


審決日 2022-06-21 
出願番号 2021007386 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2022-07-08 
登録番号 1720024 
代理人 松井 宏記 
代理人 宗助 智左子 
代理人 鈴木 行大 
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