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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4
管理番号 1387550 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-08 
確定日 2022-07-11 
意匠に係る物品 マスク 
事件の表示 意願2020− 14565「マスク」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする令和2年(2020年)7月15日の意匠登録出願であって、令和3年(2021年)1月28日付けの拒絶理由の通知に対し、同年3月10日に意見書が提出されたが、同年4月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願の意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「マスク」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」ともいう。)を、願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「マスクの背面側は、意匠登録を受けようとする部分が表れないため省略する。写真中に表れる頭部模型は、意匠登録を受けようとする意匠以外の物品である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものであって、拒絶の理由及び拒絶の理由に記載の「引例の意匠」(以下、「引用意匠」といい、引用意匠の本願部分に対応する部分を「引用部分」という。)は、以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠と下記の引例の意匠を比較すると、引例の意匠は本願意匠の実施物を表すものと推認され、形態が顕著に共通することから、両意匠は類似するものと認められます。
なお、新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書を提出されていますが、この拒絶理由通知書に記載した引例の意匠は、上記証明書において公開の事実として記載のなかった意匠です。新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるためには、原則として全ての公開の事実について証明する必要があります。
〈引例の意匠〉 (当審注:別紙第2参照)
2020年7月10日に、Twitterにアップロードされた下記のツイートにおいて公開された、マスクの意匠

(書誌的事項)
・著者の氏名
ストライブマーケット@高品質フェイスカバー&衣類のオンラインショップ(@StriveMarket)
・表題

・掲載箇所
掲載画像のうち向かって右側の画像
・媒体のタイプ
[online]
・掲載年月日
2020年7月10日
・検索日
2021年1月27日
・情報の情報源
インターネット
・情報のアドレス
https://twitter.com/StriveMarket/status/1281383393825939456」

第4 審判請求人の主張
審判請求人は、令和3年7月8日に審判請求書を提出し、おおむね以下のとおり主張した。
引用意匠は、新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書(以下「証明書」という。)において公開の事実として記載された意匠にほかならず、引用意匠は公知意匠に該当するに至らなかったものとされるべきものであり、引用適格がないから、上記の審査官の認定には誤りがあり、本願意匠は、当意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠ではないと考える。以下その理由を説明する。

1 引用意匠が証明書に記載された意匠であること
(1)意匠法4条2項について
意匠法4条2項は、意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して同法3条1項1号又は2号に該当するに至った意匠に関し、その該当するに至った日から6か月以内(当審注:平成30年の意匠法第4条改正に伴い1年に延長)にその者がした意匠登録出願に係る意匠についての同条1項及び2項の規定の適用については、同条1項1号又は2号に該当するに至らなかったものとみなすとして、新規性喪失の例外を認めており、かかる新規性喪失の例外の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を意匠登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、同法3条1項1号又は2号に該当するに至った意匠が同法4条2項の適用を受けることができる意匠であることを証明する書面を意匠登録出願の日から30日以内に特許庁に提出しなければならない(同条3項)。
したがって、出願人が、引用意匠について同項の適用を受けるためには、引用意匠について意匠法4条3項所定の証明書を提出していることがその前提となる。この点、特許法30条2項の適用場面においては、「権利者の行為に起因して公開された発明が複数存在するような場合には,本来,それぞれにつき同項の適用を受ける手続を行う必要があるが,手続を行った発明の公開行為と実質的に同一とみることができるような密接に関連する公開行為によって公開された場合については,別個の手続を要することなく同項の適用を受けることができるものと解するのが相当である」とされており(平成29年4月20日大阪地裁判決「ドラム式洗濯機用使い捨てフィルタ」事件、平成28年(ワ)第298号)、この解釈は意匠法においても同様に考え得るから、手続を行った意匠の公開行為と実質的に同一とみることができるような密接に関連する公開行為によって公開された場合については、別個の手続を要することなく同項の適用を受けることができるものと解する。
(2)本件へのあてはめ
この点、すでに意見書でも述べたとおり、まず、引用意匠の画像の著者は、審査官が「ストライブマーケット@高品質フェイスカバー&衣類のオンラインショップ(@StriveMarket)」として記載しているとおり、本願出願人であるストライブ株式会社が運営するTwitterのサイトであり、公開者は証明書において公開の事実として記載した公開者と同一である。
また、証明書に掲載された画像に掲載された意匠ないしは証明書の添付資料である第1号証に掲載された意匠とは、下記に示すとおり、同じ画像であり、それゆえに、掲載された意匠も同一であることは明らかである。
そして、証明書に掲載した画像の掲載開始日は、証明書にて記載のとおり、2020年7月10日であるところ、引用意匠の掲載日は、審査官認定のとおり、2020年7月10日であり、同日である。
さらに、引用意匠のインターネット掲載ページには、リンクが貼られているところ、このリンクは、以下のURLであり、証明書の公開の事実に掲載されたウェブページと同じ、本願出願人が運営するショッピングサイトである「ストライブマーケット」であることがわかる。
「https://strive−market.com/facecover−fashionable」
そして、引用意匠のインターネット掲載ページは、その名称を「ストライブマーケット@高品質フェイスカバー&衣類のオンラインショップ」とするものであるところ、証明書掲載のウェブページは「ストライブマーケット」であって、実際の商品の販売は引用意匠のインターネット掲載ページではなされておらず、証明書掲載のウェブページにおいてなされている。
以上の事実から明らかなとおり、引用意匠のインターネット掲載ページは、意匠登録を受ける権利を有する者が、証明書に公開の事実として記載された公開意匠に基づいて、すなわち、公開意匠と全く同じ画像を用いて、事後的に公開したものであって、その実は、証明書に記載の公開の事実を示すウェブページと同様のウェブページのURLが記事中に掲載されているとおり、証明書に掲載されたウェブページへ誘導するための宣伝ページに過ぎず、引用意匠は、同一の主体により同一の意匠について、証明書に記載の公開の事実を主として従属的に公開されたものであって、手続を行った意匠の公開行為と実質的に同一とみることができるような密接に関連する公開行為によってされたものに該当することは明らかである。
したがって、引用意匠は、証明書において公開の事実として記載された意匠にほかならず、引用意匠は公知意匠に該当するに至らなかったものとされるべきものであり、引用適格がないから、本願意匠は、当意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠ではないことは明らかである。

2 結論
以上示したとおり、本願意匠は、意匠法3条1項3号に規定する意匠に該当するものではないので、請求の趣旨のとおり、原査定を取り消す。本願の意匠は登録をすべきものとする、との審決を求める。

第5 当審の判断
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、「マスク」であるから、一致する。

2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも布状体による立体タイプのマスクのマスク本体部の背面を除いた部分であって、顔面下半部を覆い、会話や呼吸などに伴う飛沫の拡散及び吸い込みを防ぐための用途及び機能を備え、また、耳かけ部後ろのリボン飾り(以下「飾りリボン部」という。)は、主に装飾用途のために設けたと認められ、これらの点で両部分の用途及び機能は一致するが、本願部分はマスクを外した際に、首かけとして機能する細紐状の首かけ部を設けたものであるのに対し、引用意匠は首かけ部の有無は不明であるからこの点について両部分の用途及び機能は一部相違する。

3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分は、首かけ部の有無について位置、大きさ及び範囲が相違するものの、首かけ部を除く、マスク本体部の背面を除いたマスクの表面部分、耳かけ部及び飾りリボン部から成る点は双方共に共通し、首かけ部は、付属物として、設けるものも設けないものもマスクの物品分野において存在し、ありふれた範囲内の相違であるから、両部分の、位置、大きさ及び範囲は、ほぼ共通する。

4 両部分の形状等の対比
引用意匠は、Twitterのツイートとしてインターネット上にその画像が掲載されたものであって、模型に着用させた斜め右上方向からの画像のみのものであるが、「マスク」の物品分野の当業者知識に照らせば、左右対称のものであると推認でき、耳かけ部から垂れ下がるリボンは左右2本ずつであって、着用した模型の置かれた台上前方まで至り、画像から見切れているものの相応に長いものであると認められる。

両部分の形状等を対比すると、両部分の形状等には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。
なお、引用部分の向きは本願部分の向きと合わせて認定する。
(1)両部分の形状等の共通点
基本的構成態様
(共通点A)両部分は、マスク本体部の背面を除いた、マスク本体部、耳かけ部及び飾りリボン部から成る立体タイプのマスクであって、正面視で略横長六角形状のマスク本体部の左右縁側の耳かけ部の中程(使用時耳後方)に飾りリボン部を長く設けたものである点、
具体的態様
(共通点B)両部分のマスク本体部は、正面側を前方として、前方に緩やかな弧状に突出するように、正面視略縦方向中央で接合されたものであって、略濃淡模様のある赤い布地の上に多数の略楕円形孔を設けた黒色のメッシュ布を表側に重ねて形成されている点、
(共通点C)耳かけ部及び飾りリボン部は、黒色で、耳かけ部は細幅の紐状体の端部をマスク本体部の左右縁側の上下端に設けて形成され、それぞれの耳かけ部中程に2本ずつ延出したスカラップレース状の飾りリボン部を結びつけたように設けた点で共通する。
(2)両部分の形状等の相違点
具体的態様
(相違点a)首かけ部について、本願部分は左右の耳かけ部に亘ってその中程(使用時で耳後方)に細く長い紐状の首かけ部を設けているのに対して、引用部分は、首かけ部の有無は、不明である点、
(相違点b)飾りリボン部について、本願部分は正面視でマスク本体部の約2倍以上に長く、右側の飾りリボン部に比して左側の飾りリボン部はやや短く形成されているのに対し、引用部分は、斜め右上方向からの画像であって、画面から見切れており、飾りリボン部全体が看取できない点で相違する。

類否判断
マスクの需要者は、主にマスクを実際に使用する購入者(及び仲介者が存在する場合は、購入者に向けて販売をする仲介業者など)と認められる。需要者が観察するに当たっては、そのマスクに求める機能が備わっているか否かはもちろん、その素材や、装着時の付け心地に関わる部分に注目し、また、顔の略半分を覆うものであるから、その装飾性にも注意を払うものと認められる。
したがって、マスクの意匠の類否判断においては、前記を踏まえ、総合して意匠全体として形状等を評価する。
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから同一である。
(2)両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、一部相違するものの、その他の用途及び機能ついては一致するからほぼ共通する。
(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置、大きさ及び範囲については、ほぼ共通する。
(4)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価
(4−1)両部分の形状等の共通点
まず、(共通点A)は、立体マスクタイプのマスク本体部、耳かけ部及び長い飾りリボン部から成る態様が両部分の共通する特徴であって、概括的態様ではあるものの両部分の共通する特徴となり、意匠の基調を形成するから、両部分の共通点が両部分の類否判断に与える影響は大きい。
次に(共通点B)及び(共通点C)は、両部分の具体的態様に関わり、両部分が属するマスクの物品分野において、マスク本体部が略濃淡模様のある赤い布地の上に多数の略楕円形孔を設けた黒色のメッシュ布を表側に重ねて形成され、それぞれの耳かけ部中程に結びつけ長く延出したスカラップレース状の飾りリボン部を2本ずつ設けた点は、独自の装飾性を持ったマスクであるとの需要者の印象を強くし、これらの点は両部分に共通する特徴であって、これらの共通点が両部分の類否判断に与える影響は大きい。
(4−2)両部分の形状等の相違点
まず、(相違点a)は首かけ部の有無についであるが、首かけ部のないマスクも、食事の際などのマスク脱着の利便性のために首にかけておける首かけ部を設けたマスクも、「マスク」の物品分野において、通常見られるものであって、一定の装飾的な効果はあるとしても、視覚的にも細く、目立つものではないから、この点が、両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度に止まる。
次に(相違点b)は飾りリボン部について全体が表されているか、末端側が不明であるか相違であって、共に相応に長いものであるから、この点が、両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
そうすると、形状等における共通点の(共通点A)ないし(共通点C)は、類否判断に及ぼす影響はいずれも大きいものであるから、両部分の類否判断に及ぼす影響は、総じて大きいものであって、両部分の形状等の類否判断を決定付けるものであるのに対して、形状等における相違点の(相違点a)の両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度あるものの、(相違点b)の両部分の類否判断に及ぼす影響は小さく、両部分の類否判断に及ぼす影響は、総じても小さいものであるから、共通点が相違点を凌駕し、両部分は類似する。

5 両意匠の類否判断
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が同一で、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲もほぼ共通し、形状等においても両部分は類似するから、これらは、両部分の類否判断を決定付け、本願意匠は引用意匠に類似する。

新規性喪失の例外規定の適用について
前記5のとおり、両意匠は類似するものであるところ、審判請求人は前記第4のとおり、引用意匠は、証明書において公開の事実として記載された意匠にほかならず、引用意匠は公知意匠に該当するに至らなかったものとされるべきものである旨主張するから、当審は、本願意匠について意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるため、本願出願人(審判請求人)が提出した「意匠の新規性喪失の例外規定の適用を受けるための証明書」(以下「証明書」という。)及び審判請求書に基づいて、引用意匠が、意匠の新規性の喪失の例外の規定の適用の対象となり、本願意匠の新規性の判断資料から除外されるべきであるか否かを以下のように検討し、判断する。
(1)証明書に記載された意匠
本願について提出された、証明書に記載された意匠は2つあり、(以下画像の右側のレースリボン付きのものを「証明書記載意匠」といい、左側のレースリボンなしのものを「証明書記載意匠(左)」という。)は、ストライブ株式会社によって、令和2年(2020年)7月10日に公開されたと認められる、販売サイトである「ストライブマーケット」(https://strive−market.com/facecover−fashionable)において、「フェイスカバー冷却シート挿入型20060R赤黒メッシュ」(証明書記載意匠(左))及び「フェイスカバー冷却シート挿入型20060S赤黒メッシュリボン」(証明書記載意匠)として掲載された「マスク」(掲載の商品名は「フェイスカバー」であるが、本願出願人(審判請求人)が証明書において「マスク」としているから前記のとおりとする。)の意匠(別紙第3参照)であって、引用意匠には、「証明書記載意匠」が対応しているから、「証明書記載意匠」の形状等について認定すると、マスク本体部、耳かけ部及び飾りリボン部から成り、マスク本体部は前方に緩やかな弧状に突出するように、略縦方向中央で接合されたものであって、略濃淡模様のある赤い布地の上に多数の略楕円形孔を設けた黒色のメッシュ布を表側に重ねて形成され、その左右端側に細幅紐状で環状とした黒色の耳かけ部を設け、耳かけ部中程(使用時耳後方)に2本ずつ延出した黒色のスカラップレース状の飾りリボン部を結びつけたように長く設けたものである(別紙第3参照)。
(2)証明書記載意匠と引用意匠との関係
引用意匠が、意匠の新規性の喪失の例外の規定の適用の対象となり、本願意匠の新規性の判断資料から除外されるべきであるか否かの判断にあたっては、証明書記載の意匠の公開行為と引用意匠の公開行為について、密接な関連性をもって公開されたものかを踏まえて検討すべきところ、主に要件として「公開主体の同一性」、「証明書記載の意匠と引用意匠の同一性」及び「公開目的及び公開対象の同一性」などが当てはまるか否かを検討する。
(A)公開主体の同一性について
証明書記載意匠は、証明書の記載から「ストライブ株式会社が管理及び運営するウェブページ」の「ストライブマーケット」に掲載されたものであって、引用意匠は、前記第3に記載のとおり、Twitterにアップロードされたツイートに掲載された意匠であり、その掲載内容から「ストライブマーケット@高品質フェイスカバー&衣類のオンラインショップ(@StriveMarket)」がアカウント名として掲載されていたと認められるから、フェイスカバー&衣類のオンラインショップである「ストライブマーケット」が公開したものと認められ、「ストライブマーケット」の運営及び管理は、前記のとおり「ストライブ株式会社」であると認められるから、公開主体は「ストライブ株式会社」であって、両公開行為の主体は、同一である。
(B)証明書記載意匠と引用意匠の同一性について
証明書記載意匠と引用意匠とを比較すると、意匠に係る物品はいずれも「マスク」であるから、意匠に係る物品は同一である。
また、その形状等については、引用意匠は製品のタイトルが掲載されていない点に相違があるものの、マスクそれ自体は、着用時のマスク本体部の前方への突出程度、下側布地及びメッシュ布の態様、耳かけ部の態様、飾りリボン部の態様及びそれらの色彩は、ほぼ同一であり、実質的に同一のものである。
また、証明書記載意匠と引用意匠は、さらに、その撮影角度、着用させた模型も一致するから、証明書記載意匠と引用意匠とは共通する画像であると推認され、証明書記載意匠と引用意匠は、同一の製品であると推認できるものである。
(C)公開目的及び公開対象の同一性について
証明書記載意匠は、販売サイトである「ストライブマーケット」に掲載されたものであるから、インターネット上の当該販売サイトでの製品の販売を目的としており、主な公開対象はマスクなどを購入する購入者(顧客)であると認められる。一方、引用意匠は、引用意匠のツイート内容「【オシャレなフェイスカバー新商品】」、「・・・レースリボンが可愛いフェイスカバーをWEBサイトにアップしました・・・」から引用意匠の製品(マスク)を紹介し、宣伝するものと認められ、併記された、「strive−market.com/facecover−fash・・・」は審判請求人の主張によると証明書の公開事実に掲載されたウェブページと同じ本願出願人が運営する「ストライブマーケット」のウェブサイトであって、(ツイートに表されたURLは末尾方向が省略されているものの、証明書記載の販売サイトのURLと冒頭から省略されるまで(32文字)一致し、掲載内容も当該製品を宣伝し、「WEBサイトにアップ」との記載から当該製品をアップしたWEBサイト(販売サイト)へ案内する内容と推認でき、同一のURLである蓋然性は高いと認められる。)最終的にはインターネット上で当該販売サイトでの製品の販売を目的として、マスクなどを購入する購入者(顧客)を募るものといえるから、公開目的及び公開対象もおおむね同一であるといえる。
(3)引用意匠と証明書記載意匠との密接な関連性の判断
審判請求人の主張及びその他の事実を総合して検討すると、前記のとおり、証明書記載意匠と引用意匠とは、同一の公開主体である「ストライブ株式会社」(審判請求人)の同一製品に係るものと推認でき、かつ証明書に記載されたウェブサイトの掲載(令和2年7月10日)と同日に、twitterのツイートとして、引用意匠がインターネット上に掲載されたものあって、その時刻については不明であるものの、その記載内容(「リボンが可愛いフェイスカバーをWEBサイトにアップしました」)は、証明書記載意匠をウェブサイトへ掲載したことを前提とした内容であると認められるから、引用意匠が、証明書記載意匠のウェブサイトの掲載より前に掲載されたとまではいうことはできず、早くとも同時以降であると認められる。また、引用意匠掲載のtwitterのツイートは、証明書記載意匠の製品と実質同一の製品を宣伝し、証明書記載意匠の製品の販売サイトへ顧客を案内するものであって、引用意匠の公開行為は、証明書記載意匠の公開行為と同様に、最終的には、インターネット上で当該販売サイトでの当該製品の販売を目的として、マスクなどを購入する購入者に公開したものといえる。
そうすると、証明書記載意匠の公開行為と引用意匠の公開行為は前記(A)ないし(C)の要件をみたし、両行為には密接な関連性が認め得ると判断できるから、引用意匠は、証明書に記載された意匠の公開行為に基づいた公開行為に該当すると解釈できるものである。

7 小括
したがって、引用意匠は、本願意匠の新規性の判断において、意匠法第4条第2項に規定する新規性喪失の例外規定の適用を受けることができる意匠であるから、引用意匠をもって、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとすることはできない。

第6 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の引用意匠をもって、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、原審の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲














審決日 2022-06-29 
出願番号 2020014565 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C4)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2022-07-21 
登録番号 1721092 
代理人 林 美和 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 土屋 徹雄 
代理人 茜ヶ久保 公二 
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