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審決分類 審判 査定不服  意48条1項3号非創作者無承継登録意匠 取り消して登録 H1
管理番号 1387553 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-10-05 
確定日 2022-04-19 
意匠に係る物品 電気コネクタ 
事件の表示 意願2020− 25763「電気コネクタ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年(2020年)11月30日の意匠登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年(2021年) 2月 8日付け 拒絶理由の通知
同 年 4月19日 意見書の提出
同 年 6月30日付け 拒絶査定
同 年 10月 5日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠(願書及び添付図面の記載)
本願の意匠は、意匠に係る物品を「電気コネクタ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって(以下「本願意匠」という。)、意匠登録を受けようとする部分を「断面図を含めて、実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分と、その他の部分との境界のみを示す線である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願の日前の他の意匠登録出願であってその出願後に意匠法第20条第3項又は同法第66条第3項の規定により意匠公報に掲載された下記の意匠登録出願の願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似するものであるから、意匠法第3条の2に規定する意匠に該当する、というものである。
拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)は下記のとおりである。

特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1677222号の意匠
(意匠に係る物品、コネクタ用ハウジング)の意匠

(当審注:引用意匠は、令和2年(2020年)7月15日(パリ条約による優先権主張 同年2月25日、大韓民国)の意匠登録出願であって、同年12月9日付けで登録査定がなされ、令和3年(2021年)1月18日に意匠法第20条第3項の規定により意匠公報に掲載されたものである。また、引用意匠の意匠登録出願人は、本願意匠の意匠登録出願人と同一の者ではない。)

第4 当審の判断
1 対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、電子機器等において電気的に接続する電子部品として使用される電気コネクタであり、引用意匠(以下本願意匠とあわせて「両意匠」という)の意匠に係る物品は、端子を備えていない、コネクタの筐体として使用されるコネクタ用ハウジングであり、端子等の有無はあるとしても、電気接続部品を収容する電気コネクタに係るものであるから、共通する。

(2)本願部分と引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能
本願部分と引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分とあわせて「両部分」という。)の用途及び機能を比較すると、本願部分が不要な輻射及びノイズの発生を抑える用途及び機能を備えるのに対し、引用部分は当該用途及び機能を備えるものでない点が相違する。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
両部分の位置、大きさ及び範囲は、平面視で略隅丸長方形の枠状に四角く囲われた部分(以下「枠状部分」という。)の外周面側から内周面側までの上方部分であり、共通する。

(4)両部分の形状等
ア 形状等の共通点
両部分は、枠状部分の平面側が円弧状である点が共通する。

イ 形状等の相違点
(相違点1)枠状部分の平面側頂点付近について、本願部分の平面側は頂点まで円弧状であるのに対し、引用部分は頂点付近に僅かに平らな面がある点が相違する。

(相違点2)本願部分は、枠状部分とハウジングの間に生じる下向きの段差を意匠登録を受けようとする部分に含むのに対し、引用部分はこのような段差を有さない点が相違する。

2 判断
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通するから、類似する。

(2)両部分の用途及び機能
本願部分が不要な輻射及びノイズの発生を抑える用途及び機能を備えるのに対し引用部分は当該用途及び機能を備えるものでないことから、両部分の用途及び機能は、類似しない。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
両部分の位置、大きさ及び範囲は、同一である。

(4)両部分の形状等
本願意匠及び引用意匠の属する分野において、購入者である需要者は、対となるコネクタとの接続のしやすさ、接続後の脱落の防止やノイズや水、粉じん等外的要因からの端子等の保護に関心が高いものと認められる。
よって、両部分の類否判断に際しては、需要者はこれらの用途及び機能に関わる部分の具体的な形状等について強い関心を持って観察するとの前提に基づいて、共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について評価することとする。

ア 形状等の共通点
枠状部分の平面側が円弧状である点は、需要者から見えやすい位置にあることや、需要者の関心の高い、対となるコネクタとの接続のしやすさ、接続後の脱落の防止や外的要因からの端子等の保護に関わる部分であることから、類否判断に一定の影響を及ぼすものと認められる。

イ 形状等の相違点
(相違点1)は、本願部分のように、頂点まで全体が円弧状であるものと、引用部分のように頂点付近に僅かに平らな部分のあるものの違いは、見えやすい位置にあるものであるから、類否判断に及ぼす影響は、大きい。

(相違点2)は、枠状部分とハウジングの間に生じる下向きの段差の有無の違いは、見えにくい位置にあるものの、需要者の関心の高い、接続後の脱落の防止にも関わる部分であることから、類否判断に一定の影響を及ぼすものと認められる。

ウ 形状等の類否判断
したがって、本願部分と引用部分の(共通点)は類否判断に一定の影響を及ぼすものの、(相違点1)は類否判断に大きな影響を及ぼし、これに加え(相違点2)も類否判断に一定の影響を及ぼすものであるから、相違点はあいまって共通点を凌駕し、本願部分は引用部分に類似しないものと認められる。

(5)小括
両意匠は意匠に係る物品が類似するものの、両部分の用途及び機能が類似せず、両部分の位置、大きさ及び範囲は同一であり、両部分は形状等が類似しないことから、本願意匠は、引用意匠の一部に類似しないものである。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、引用意匠の一部に類似するものとは認められず、意匠法第3条の2の規定に該当しないものであるから、原査定における拒絶の理由によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲



審決日 2022-03-30 
出願番号 2020025763 
審決分類 D 1 8・ 16- WY (H1)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 北代 真一
特許庁審判官 大峰 勝士
宮田 莊平
登録日 2022-07-25 
登録番号 1721325 
代理人 野村 幸一 
代理人 鎌田 健司 

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