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審決分類 |
審判 補正却下不服 取り消す G2 |
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管理番号 | 1387555 |
総通号数 | 8 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-08-26 |
種別 | 補正却下不服の審決 |
審判請求日 | 2021-11-08 |
確定日 | 2022-02-28 |
意匠に係る物品 | 車両用照明器具 |
事件の表示 | 意願2020− 22033「車両用照明器具」において、令和3年6月10日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原決定を取り消す。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、2020年10月1日のドイツ連邦共和国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う令和2年(2020年)10月14日の意匠登録出願に係り、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、出願当初の願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「車両用照明器具」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 原審は、令和3年(2021年)3月8日付けの拒絶理由通知により、意匠に係る物品「車両用照明器具」について、「当該表現が示す範疇は広範であり、その他願書の記載及び願書に添付した図面によって、本願意匠の具体的な使用の状態等を導き出すことができず、不明である」から、同意匠が意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないとした。 請求人は、同年6月10日の手続補正書にて願書に【意匠に係る物品の説明】の欄を追加し、同欄に「本意匠の物品は、自動二輪などの車両のウィンカーライト、ブレーキライト、ポジショニングライト、リアライト、デイライト、ドライビングライトのいずれか、または、それらの組み合わせとして使用される車両用照明器具であり、正面図及び左側面図において、薄いグレーで表されている部分が発光して照明器具として機能する」と記載し(別紙第2参照)、意見書にて、同物品がどのように使用されるか明確になり拒絶理由は解消された旨主張した。 原審は、「何ら記載のなかった願書の【意匠に係る物品の説明】」の補正について「本願意匠が例示される様々な用途に用いられる旨の補正内容は、当該分野における通常の知識に基づいて出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面から総合的に判断しても導き出すことができるものでもないため、当該部分は、本願意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼす」とし、当該補正は「出願当初の願書及び願書に添付した図面の要旨を変更する」と認定し、同年7月27日付けで手続補正書を却下すべきものと決定した。 請求人は、同年11月8日、審判請求書を提出し、同決定を取り消すとの審決を求めた。 2 請求人の主張 請求人は、請求の内容として、おおむね、以下のように主張した。 LEDの普及に伴い、自動二輪、車等の車両用照明器具の発光体としてLEDが用いられるようになっている。実際に、車両の純正部品でも、ウィンカー、ポジショニングランプ、デイライト等を1つのライトで兼用され、市販の後付け用の車両用照明器具については、同じ形状であっても、内蔵されるLEDの違いによって、ウィンカーライトとブレーキライト、ウィンカーライトとポジショニングライトといったように、異なる用途の組み合わせとなっている製品は多数販売されている。 車両用照明器具の物品である本願意匠は、発光部が分かるように色分けしており、このような発光部が、どのようなライトとして使用されるのかは、内蔵される発光体及び車両に取り付けられる位置に等によって決定でき、既に類似の製品が多数販売されていることから、当業者であれば、用途が限定されていなかった本願意匠に係る物品の「車両用照明器具」が、その形状等から判断すると、車両のウィンカーライト、ブレーキランプ、ポジショニングライト、リアライト、デイライト、ドライビングライトのいずれか、または、それらの組み合わせとして使用されることは当然理解できる。 3 当審の判断 本補正が、この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲を超えて変更されたものかどうかについて検討する。 (1)本願意匠について 本願意匠は、意匠に係る物品及び形状等から、主に自動二輪車の両側に取り付けて左右一対で使用されるランプであって、正面中央の薄灰色で表した部位が発光するものであることが推認できる。 (2)本補正が出願当初の要旨を変更するものであるか否か 本補正により、追加された意匠に係る物品の説明は、前記1のとおりであるから、この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲を超えるものではなく、また、本補正の内容は、本願意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼすものでもないから、本補正は、意匠の要旨を変更しないというべきである。 4 結び 以上のとおり、本補正の内容は、本願意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼすものではないことから、本補正は、意匠の要旨を変更しないというべきものであり、意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものとした原審の決定は違法である。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-02-08 |
出願番号 | 2020022033 |
審決分類 |
D
1
7・
7-
W
(G2)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
正田 毅 宮田 莊平 |
登録日 | 2022-05-27 |
登録番号 | 1716681 |
代理人 | ▲吉▼川 俊雄 |