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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1387557 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-18 
確定日 2022-07-19 
意匠に係る物品 Device for nasal spray 
事件の表示 意願2021−500033「Device for nasal spray」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要

1 手続の経緯
本願は、2020年8月5日の欧州連合知的財産庁への出願に基づく優先権の主張を伴う、令和3年(2021年)1月14日の国際意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
令和3年(2021年) 7月12日付け:拒絶の通報
同 年 10月15日付け:意見書の提出
同 年 11月15日付け:拒絶査定
令和4年(2022年) 2月18日 :審判請求書の提出

2 本願の意匠の願書及び添付図面の記載
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「Device for nasal spray(参考訳:「鼻スプレー器」、以下日本語訳で示す。)とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の通報に記載された拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当する、というものである。
拒絶の通報において引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は、以下のとおりである(別紙第2参照)。
「Cited Design
Design of nasal unidose device represented in the following web site
Name of Author: Webpackaging
Title: Aptar Pharma's nasal unidose device approved for Tosyma sumatriptan spray
Type of Media: [online]
Date of Publication(yyyy/mm/dd): 2019/10/02
Retrieving Date(yyyy/mm/dd): 2021/06/04
Source of Information: Retrieved from the internet
Address of Information(URL): https://www.webpackaging.com/en/portals/aptarpharma/assets/12794238/aptar-pharmas-nasal-unidose-device-approved-for-tosymra-sumatriptan-spray/」

(当審合議体による参考訳)
「引用意匠
以下のウェブサイトに表された「鼻用の単回投与用器具」の意匠
著者の氏名/名称:Webpackaging
表題:偏頭痛薬スマトリプタンスプレーに承認されたアプター薬品の鼻用の単回投与用器具
媒体のタイプ:[online]
掲載年月日:2019年10月02日
検索日:[2021年06月04日検索]
情報の情報源:インターネット
情報のアドレス:https://www.webpackaging.com/en/portals/aptarpharma/assets/12794238/aptar-pharmas-nasal-unidose-device-approved-for-tosymra-sumatriptan-spray/」

第2 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、その記載は異なるものの、いずれも鼻腔内に液体を霧状にして注入するための器具に係る「鼻スプレー器」と認められるものであるから、その用途及び機能が共通するものである。

(2)形状等の対比
両意匠の形状等を対比すると、その形状等には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。
以下、引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとし、引用意匠の中央下方部分に装着された略円筒状の液体用カートリッジ容器の部分は除いて、両意匠を対比することとする。

ア 形状等の共通点
(共通点1)両意匠は、全体を、上面のみ閉じている正面視の横幅が大きく、側面視の横幅が小さい略中空柱状体の基台部分(以下「基台部」という。)の上面部中央部分に、上方に向かってテーパー状に形成した略円筒状の突出部分(以下「突出部」という。)を1つ立設した構成からなる点が共通する。
(共通点2)両意匠は、基台部の具体的な形状等を、側面部中央縦断面視を略倒コの字状とする全体を薄い板状体で構成し、その上面部分には、線状の凸状部分(以下「突条部」という。)を、突出部を挟んで左右に4条ずつ平行に形成した、平面視略横長楕円形状の上面板の部分(以下「フランジ部」という。)を配し、その正面部及び背面部の中央部分には、同じ形状の略逆U字状の切り欠き部分(以下「基台切り欠き部」という。)を1つずつ形成した点が共通する。
(共通点3)両意匠は、基台切り欠き部の具体的な形状等を、基台部の下辺部分から略四分円弧状の角部をもって、やや内側に傾斜して立ち上がった左右辺部分、及びその左右上部に扁平な略円弧状の上辺部分からなる略逆U字状にした点が共通する。

イ 形状等の相違点
(相違点1)本願意匠の突出部の先端部中央部分には、その上端部から下方に向かって略小ドーム状の先端部分、先端部分の下端部と同径の略小径円柱部分、略小円柱部分と一体的につながる略切頭円錐台部分、略切頭円錐台部分の下端部と同径の略大径円柱部分、及び平坦な略円環状部分を一体的に形成した構成からなるノズルの部分(以下「ノズル部」という。)を1つ立設しているのに対し、引用意匠には、そのようなノズル部分を設けていない点で、両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠のノズル部を除く突出部の具体的な形状等が、その上端部から下方に向かって、略ドーム状の先端部分、下方に向かって僅かに拡径するテーパー部分、及びテーパー部分の下端部に形成されたと同径の略短円筒状の根元部分からなる形状等であって、この根元部分の外周側面部分には、略円環状の突条部を水平に1条形成したものであるのに対し、引用意匠の突出部の具体的な形状等は、その上端部から下方に向かって、略ドーム状の先端部分、下方に向かって僅かに拡径するテーパー部分、及びテーパー部分の下端部に形成した略円環状の根元部分からなる形状等である点で、両意匠は相違する。
(相違点3)本願意匠の突出部の左右に4条ずつ平行に形成した突条部の配置態様が、全ての突条部を、平面視において左上から右下に同様の傾斜角度で配設しているのに対し、引用意匠の同突条部の配置態様は、右側の4条の突条部と左側の4条の突条部を、平面視において別々の傾斜角度で配設していると認められる点で、両意匠は相違する。

2 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品についての判断
両意匠の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通するものであるから類似する。

(2)形状等についての判断
両意匠の意匠に係る物品は、まず、突出部の下端部方に液体の入ったカートリッジ容器を装着し、この物品の使用者の鼻孔に突出部先端部分を挿入しながら、カートリッジ容器下端部を上方に押し込むことで、突出部の先端に形成された吐出口から鼻腔内に、カートリッジ容器内部の液体を霧状にして注入するための器具に係る「鼻スプレー器」であるから、この物品の使用者である需要者は、この物品の突出部先端部分を自らの鼻孔に挿入する際に、痛みなどを感じるか否かといった点や、液体を効率よく注入可能かどうかといった点を考慮しつつ、当該物品を注視して観察することとなる。
そうすると、突出部先端部分を鼻孔に挿入する際のストレスや、液体をスプレーする際の効率性といった観点から当該物品を観察する需要者は、鼻スプレー器の突出部先端部分の形状等を特に注視して観察することとなるから、両意匠の類否判断にあたっては、需要者が特に注視する突出部先端部分の具体的な形状等が、需要者の注意を惹く部分であるとの前提に基づいて、両意匠の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について、以下評価することとする。

ア 共通点の評価
(共通点1)は、全体の形状等に係るものであるが、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるから、この(共通点1)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)の基台部の具体的な形状等については、側面部中央縦断面視を略倒コの字状とし、基台部全体を薄い板状体で構成した上面のみ閉じている略中空柱状体のものは、本願意匠の出願前にごく普通に見られるもの(例えば、特表2002−541921におけるスプレイ塗布器、及び特開2006−81917におけるディスペンサ)であり、フランジ部を本願意匠と同様な平面視略横長楕円形状としたもの(例えば、意匠登録第1613224号における鼻腔内薬物送達器)や、フランジ部の上面部分に突出部を挟んで突条部を左右に4条ずつ形成したもの(例えば、特開2006−81917におけるディスペンサ)も、本願意匠の出願前に既に見られるものであるから、これらの形状から構成される基台部の具体的な形状等が、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず、この(共通点2)が意匠全体の美感に与える影響は小さいといえる。
(共通点3)の基台切り欠き部の具体的な形状等については、この鼻スプレー器の分野において、本願意匠の出願前に既に見られるもの(例えば、特開2006−81917におけるディスペンサ)にすぎず、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえないものであるから、この(共通点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。

イ 相違点の評価
(相違点1)のノズル部の有無の相違については、この種物品の突出部先端部分を鼻孔に挿入して使用する際、本願意匠のものは、ノズル部が存在することにより、太い突出部先端部分を使用者の鼻孔内に深く挿入することなしに液体を鼻腔内にスプレー可能なものであるとの印象を与えるのに対し、引用意匠のものは、太い突出部先端部分を鼻孔内に深く挿入して使用する必要があるものとの印象を与えるから、鼻スプレー器の分野において需要者が特に注視する突出部先端部分の具体的な形状等の相違に係る(相違点1)が意匠全体の美感に与える影響は大きい。
(相違点2)のノズル部を除く突出部の具体的な形状等の相違については、この物品の使用時には、突出部内部には液体の入ったカートリッジ容器が入り込む必要性から、突出部の直径を一定以上の大きさとしなければならないところ、本願意匠のものは、突出部のテーパー部分をできるだけ細くなるように形成したものとの印象を与えるのに対し、引用意匠のものは、突出部にテーパーを施してはいるものの、全体としてあまり細くない形状に形成したものとの印象を与えるから、鼻孔に挿入する部分である突出部の具体的な形状等の相違に係る(相違点2)が意匠全体の美感に与える影響は大きい。
(相違点3)の突出部の左右に4条ずつ平行に形成された突条部の配置態様の相違については、左右の突条部の平面視における傾斜角度が異なるとしても、このような細部についての相違は、フランジ部の突出部の左右に平行な突条部を4条ずつ等間隔に配設したという両意匠の共通点に埋没する程度のものであるから、この(相違点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さいものである。

ウ 形状等の類否判断
両意匠の形状等における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき、全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合、両意匠は、需要者が強い関心を持って観察するノズル部の有無の相違や突出部の具体的な形状等の相違が意匠全体の美感に与える影響が大きいものであるのに対し、両意匠の全体の形状等や、基台部及び基台切り欠き部の具体的な形状等の共通性が両意匠の類否判断に与える影響は小さく、上記の相違点によって両意匠は需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両意匠を全体として観察した場合には、両意匠の形状等は類似しないものである。

(3) 小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が類似するものであるが、その形状等において類似しないから、本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。

第3 むすび

上記のとおりであって、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲




審決日 2022-07-01 
出願番号 2021500033 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 上島 靖範
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2022-08-03 
登録番号 1722381 
代理人 特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所 
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