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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3
管理番号 1387563 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-28 
確定日 2022-07-13 
意匠に係る物品 高床式架台構造物 
事件の表示 意願2020− 17554「高床式架台構造物」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする2020年(令和2年)8月21日に出願された意匠登録出願であり、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「高床式架台構造物」とし、その形状、模様もしくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様もしくは色彩又はこれらの結合」を形状等という。)を、願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下、本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」といい、本願意匠と引用意匠を合わせて「両意匠」という。)は、本願出願前、日本国特許庁発行の公開特許公報(公開日:2017年(平成29年)1月19日)に記載された特開2017−14883(発明の名称、架台構造及び構造体)の第32図において表された架台構造物の意匠のうち、本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と合わせて「両意匠部分」という。)であって、その形状等は、同公報の図面に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 請求人の主な主張
これに対し、請求人は、審判を請求し、要旨以下のとおり主張した。
1 本願意匠が登録されるべき理由
(1)引用意匠について
引用意匠は、本願意匠の創作者による特許出願の公開特許公報(特開2017−14883号)に掲載された図面(図32)に表された意匠であり、本願意匠の対象とする物品(高床式架台構造物)の基本的構造の一つの例を表すものである。
(2)本願意匠と引用意匠の関係について
本願意匠は、当該特許の発明者である本願意匠の創作者が、該特許発明を実施するに当たり、ユーザーにとって魅力的なデザインの商品を提供するため、その基本的構成に意匠的要素を加えて創作したものである。

2 本願意匠と引用意匠の比較
(1)両意匠の共通点
A.両意匠に係る物品が架台構造物である
B.両意匠に表された架台構造物の枠組が、平面視略六角形である
C.枠組の中心部に柱が設けられている
D.上記柱の下端部と枠組の各角部下端間にテンション材が設けられている
E.枠組の各角部上部に支柱、下部に脚柱、支柱側面にテンションレバーがある
F.支柱、脚柱、テンションレバー間に張架されるテンション材が設けられている
G.いずれもが、テントやシート類を懸架して用いられる架台構造物である
H.テントやシート類を懸架して使用する際の床面が、高床である

(2)両意匠の相違点
ア.本願意匠では、枠組を構成するフレーム、脚柱、支柱は細長い円柱であるのに対し、引用意匠では、フレーム、脚柱、支柱は断面が角柱である
イ.本願意匠では、フレーム、脚柱、支柱の各々の太さが異なっているのに対し、引用意匠では、フレーム、脚柱、支柱が同幅で統一されている
ウ.本願意匠では、支柱が脚柱の倍近く長いのに対し、引用意匠では支柱と脚柱が同等の長さである
エ.本願意匠では、テンションレバーの形状が、細長いV字状で、支柱下端を外から挟むように取り付けられているのに対し、引用意匠ではテンションレバーは細い略四角柱であって、幅広の支柱の下端中央に基端を当接させた位置で軸支されている
オ.本願意匠では、中央の柱の下端が六角形の枠組よりも低い位置にあり、中央の柱の下端と枠組の各頂点間に張架されたテンション材が各頂点から柱の下端に向かって斜めに延びているのに対し、引用意匠では柱の下端と枠組とが同じ高さに位置しており、テンション材は床面の下面に沿って水平方向に延びている
カ.本願意匠では、支柱、脚柱、テンションレバー間に張架されるテンション材の張り方が、 〜中略〜 引用意匠のテンション材の張り方と異なっている
キ.本願意匠では、脚柱が伸縮自在にできるのに対し、引用意匠では伸縮自在にできない

3 両意匠の比較
(1)類似点
両意匠に係る物品は、高床式の架台構造であって、平面視においては両意匠の枠組がともに略六角形であり、高床を構成するための脚柱が枠組の各角部下、本物品を用いる際に懸架するテントやシート類を支える柱と支柱が、それぞれ枠組の中心部、枠組の各角部上に設けられ、各角部にはテンションレバーが構成されている点は類似する。そして、中心部の柱の下端部と枠組の各角部下端間、枠組各角の支柱・脚柱・テンションレバー間には、各々テンション材が設けられていることが類似する。

(2)相違点と考察
上記ア・イより、引用意匠においては略六角形の枠組を構成するフレーム、枠組から上下に延びる支柱及び脚柱がいずれも角柱であって、角々しさや頑丈さを感じさせる程の太さで統一されている。
一方、本願意匠では、略六角形の枠組、枠組の各角部(頂点)から上下に延びる支柱及び脚柱のいずれもが細長い円柱で太さはいずれも異なっており、引用意匠から生じる様な統一感はない。
特に、支柱は、枠組の約三分の一、脚柱の半分以下の幅或いは太さで、全体的に細身の本願意匠で最も細い構成部分であり、当該支柱によって本願意匠から生じる線の細さのようなものが強調されている。
上記ウの通り、引用意匠は脚柱と支柱とが同等の長さで構成されており、六角形の枠組の高さは脚柱と支柱のほぼ中間に位置することとなる。
上記エの通り、本願意匠における細長いV字状の略二等辺三角形型のテンションレバーは、最も細い支柱と同等幅のフレームで構成されたものが支柱の下端の両側から挟むように取り付けられているが、引用意匠のテンションレバーは、極めて細い略四角柱であって幅広の支柱の下端中央に基端を当接させた単純なものであり、両者の差異は歴然である。
上記オの通り、本願意匠では中央の柱の下端が六角形の枠組よりも低い位置にあり、中央の柱の下端と枠組の各頂点間に張架されたテンション材が傾斜して、組み立てたテントに覆い隠されることなく外観に表れるのに対し、引用意匠におけるテンション材は、床面の下面に沿って水平方向に延びて、傾斜しておらず、組み立てたテントに覆い隠されて外観に表れないものであり、顕著に相違する。また、本願意匠における柱下端と枠組の各頂点間に張架されるテンション材は傾斜があるのに対し、引用意匠ではそのテンション材に対応する部材(杆体)は傾斜していないことや引用意匠には本願意匠の床下に張架されたテンション材は存在しないため、大きな相違がある。
上記カの通り、本願意匠と引用意匠には、支柱・脚柱・テンションレバー間に張架されたテンション材(線材)が設けられ、二つの異なった方法が組み合わされており、本願意匠は片側には広く空いた入口の空間を確保しているが、引用意匠におけるテンション材の張り方はすべてフレームの中間点に張架される同じ方法である。また、本件の物品にテントやシート類を懸架した状態においては、上記オの通り、本願意匠においてはその外観から柱の下端部やテンション材を確認できるが、引用意匠においては、柱の下端にテンション材は接続されておらず、六角形の枠、組と同じ高さに梁のように6本の床支持用杆体があるだけで、全て覆われて隠れてしまい、使用時に表れる両意匠の外観は明らかに相違する。
上記キの通り、本願意匠は段差のある場所にも設置を可能とすべく、各脚柱の長さを必要に応じて伸縮自在な態様であるが、引用意匠の脚柱の長さは同一である。
これらの相違点は共通点を凌駕し、両意匠はその印象を全く異にするものであり、両意匠は非類似であることが明らかである。

第4 当審の判断
本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するか否か、すなわち、本願意匠が、引用意匠に類似するものであるか否かについて、以下、検討する。

1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「高床式架台構造物」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、構造物、建築物、遊具、家具に適用できる折りたたみ自在の「架台構造物」であるから、いずれも、高床式の架台構造物であって、両意匠の意匠に係る物品は、共通する。

(2)両意匠部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分は、全体を6本の略円柱の棒状のフレーム(以下、「水平フレーム」という。)を水平に連結して平面視正6角形とした枠組の各頂点部から垂直下に略円柱棒状のものをつないだ脚部と、各頂点部から上に枠組よりやや外側に向けて略円柱棒状のものをつないだ上方の支柱(以下、「上方支柱」という。)を設け、平面視で正6角形の枠組の中心に柱材(以下、「中心柱材」という。)を置き、その中心柱材に向けて6本の略円柱棒状のものをつなぐ径方向の支柱(以下、「径支柱」という。)と、枠組の各頂点部から外方棒状材を水平状に設け、各部材に張力をかけるための線材を、水平フレームの中央から上方支柱の先端、上方支柱先端から外方棒状材の端部、外方棒状材の端部から脚部の端部とをつないで上方支柱と脚部の左右をトラス状の構成として、中心柱材の枠組よりやや上から先端までの部分を除く意匠の部分としたものであって、引用部分は本願部分に相当する部分であることから、両意匠部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲は共通する。

(3)両意匠部分の形態
両意匠部分の形態については、主として、以下の通りの共通点及び差異点がある。
ア 共通点
両意匠部分は、基本的構成態様として、架台構造物の床面を構成するための枠組を正6角形状とし、枠組の各頂点部から下に脚部、上方支柱を設け、正6角形の枠組の中央に中心柱材をおいて、線材を水平フレームの中央から上方支柱の先端、上方支柱先端から外方棒状材の端部、外方棒状材の端部から脚部の端部とをつないだ態様としている点において共通する。

イ 差異点
具体的構成態様として、
(ア)本願部分の中心柱材は、その下端の位置が脚部の中間付近になるように配して、その下端から枠組頂点部に向けて径支柱を6本張って、正面視でトラス状にしているのに対し、引用部分の中心柱材は、その下端の位置を枠組の高さと同じにしている点において相違する。

(イ)本願部分の各部材に張力をかける線材は、斜視図2において、左右2か所の枠組頂点部において、上方支柱の先端から隣り合う2か所の枠組頂点部、上方支柱の先端から外方棒状材の端部、外方棒状材の端部から脚部の端部をつないだ構成とし、斜視図2において左右2カ所の枠組頂点の上方支柱の上下に、他よりも大きな三角形状の開口となるように張架されているのに対し、引用部分の各部材に張力をかける線材は、水平フレームの中央から上方支柱の先端、上方支柱先端から外方棒状材の端部、外方棒状材の端部から脚部の端部とを結んだ構成として、同じ三角形状の開口となるように超過されている点において相違する。

(ウ)本願部分の枠組の各頂点に設けられた支柱は、脚部より長くして架台構造物の床面の下の高さよりも床面の上を高くしているが、引用部分の支柱は脚部とほぼ同じ長さであって、架台構造物の床面下と上で高さをほぼ同じとしている点において相違する。

(エ)本願部分の枠組下に設けられた脚部は、断面円形状の円柱棒状の形状とし、伸長可能として長さを変えることができるものであるのに対し、引用部分の枠組下に設けられた脚部は、断面略四角形状の形状とし、伸長することができないものである点において相違する。

(オ)本願部分の外方棒状材は、枠組上に取り付ける支柱を挟み込んで取り付けられるように、2本の棒状材を頂点でつなぎ、平面視で細幅V字形状としているのに対し、引用部分の外方棒状材は、角棒状としている点において相違する。

(カ)本願部分の枠組は、断面円形状とする丸棒状の水平フレームで構成されているのに対し、引用部分の枠組は、断面略四角形状とする角棒状の水平フレームで構成されている点において相違する。

2 両意匠の類否判断
(1)両意匠の意匠に係る物品、部分意匠としての用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲の評価
両意匠は、意匠に係る物品、部分意匠としての用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲が共通する。

(2)両意匠部分の形態についての共通点の評価
共通点については、部分全体としてみた場合には、簡易建築物等を流通、販売、利用する業者などの需要者にとって、架台構造物の床面を構成するための枠組を正6角形状とし、枠組の各頂点部から下に脚部、上方支柱を設け、正6角形の枠組の中央に中心柱材をおいて、線材を、水平フレームの中央から上方支柱の先端、上方支柱先端から外方棒状材の端部、外方棒状材の端部から脚部の端部とをつないで上方支柱と脚部の左右をトラス状とする両意匠部分の基本的構成態様は、この種の架台構造物の物品分野においては、ありふれた態様であり、格別目立つ態様とはいえず、これらの点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。

(3)両意匠部分の形態についての差異点の評価
一方、相違点(ア)の本願部分の架台構造物の下部の形状が異なることについて、架台構造物の構造が異なることは、需要者に与える印象を異ならせるものであり、相違点(ア)は両意匠部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に、相違点(イ)の本願部分の架台構造物の開口が異なることについて、この種の物品の使用時に、架台構造物の出入りにおいて目につくところであり、架台構造物の開口の違いは、需要者が注目する部分であって、相違点(イ)は両意匠部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
また、相違点(ウ)の架台構造物の支柱の違いについても、この種の物品の利用時に内部空間の広さの違いを着目することから、相違点(ウ)は両意匠部分の類否判断に一定程度影響を与えるものといえる。
さらに、架台構造物の脚部の相違点(エ)、架台構造物の部材等を張架するためのレバーの形状の相違点(オ)、架台構造物の枠組の面取りの有無の相違点(カ)について、需要者に与える印象を異ならせるものであり、これらの相違点は、両意匠部分の類否判断に一定程度影響を与えるものといえる。
そうすると、相違点(ア)ないし相違点(カ)が相俟って、両意匠部分の形態について需要者の類否判断に大きな影響を与えるものであるといえる。

(4)小括
以上の通り、両意匠は、意匠に係る物品及び両意匠部分の部分意匠としての用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲が共通するものであるが、両意匠部分の形態において、相違点が共通点を凌駕し、それらが両意匠部分の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものと認められる。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の拒絶の理由によっては、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとはいえないので、本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲




審決日 2022-06-28 
出願番号 2020017554 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 正田 毅
山田 繁和
登録日 2022-08-15 
登録番号 1723006 
代理人 柳田 征史 
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