• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H7
管理番号 1388454 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-04-22 
確定日 2022-08-19 
意匠に係る物品 テレビスタンド 
事件の表示 意願2020− 15465「テレビスタンド」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、令和2年(2020年)7月27日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

令和 2年(2020年)12月17日付け 拒絶理由通知
令和 3年(2021年) 1月27日 意見書の提出
令和 4年(2022年) 1月20日付け 拒絶査定
同年 4月22日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「テレビスタンド」とし、その形状等(形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線はは(当審注:「一点鎖線は」の誤りと認められる。)部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用した意匠

原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下、「その意匠の属する分野における通常の知識を有する者」を「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法3条2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「本願出願前から、本願物品の属する分野において、テレビジョン受像機や表示機を支持するスタンドの支柱の形状について種々のものが公然知られているところ(例えば、引用意匠1ないし3)、本願意匠は、引用意匠1の支柱を周知形状である八角柱に変更し、その高さ中央付近から下方にかけての部分について意匠登録を受けようとしたものに過ぎないため、当業者が容易に創作することができたものと認められます。

<引用意匠>

・引用意匠1
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1385722号の意匠

・引用意匠2
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1201424号の意匠

・引用意匠3
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1323612号の意匠」

第4 当審の判断

以下、本願意匠の意匠法3条2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠

(1)意匠に係る物品
本願の意匠に係る物品は、テレビジョン受像器やディスプレイ表示器等の設置及び支持に用いられる「テレビスタンド」である。

(2)本願部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分は、テレビスタンドの支柱であり、テレビジョン受像器やディスプレイ表示器等を支え、その支柱の上部の孔(以下「配線孔」という。)においてはテレビジョン受像器の電源コード等を挿通するための用途及び機能を有し、支柱の上下中央やや上側から下端寄りの範囲を、意匠登録を受けようとする部分としたものである。

(3)本願部分の形状等
本願部分は、全体を、略正八角柱とし、正面中央上端寄りに配線孔を配し、縦横の長さの比率を、略52:8.3としている。

2 引用意匠の認定

(1)引用意匠1(別紙第2参照)
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、テレビジョン受像器等の設置及び支持に用いられる「テレビジョン受像器用スタンド」である。

イ 形状等
本願部分の創作容易の判断の基礎となる形状等は、支柱部であり、正背に扁平な略縦長柱状の正面及び両側面に、略「コ」字状に折り曲げた略縦長矩形板状の蓋体を被せて支柱としたものである。

(2)意匠2(別紙第3参照)
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、モニター等の設置及び支持に用いられる「モニタースタンド」である。

イ 形状等
本願部分の創作容易の判断の基礎となる形状等は、支柱部であり、略縦長円柱形の支柱である。

(3)意匠3(別紙第4参照)
ア 意匠に係る物品
意匠に係る物品は、薄型ディスプレイ等の機器を設置するための構成部品として用いられる「機器取付用支持具」である。

イ 形状等
本願部分の創作容易の判断の基礎となる形状等は、支柱部であり、平面視略下弦月状とする縦長の柱状で、背面中央に縦溝を形成している。

3 本願意匠の創作性の検討

意匠法3条2項の規定の適用についての判断は、「意匠登録を受けようとする部分」の全体の形状等が、当該意匠登録出願前に公然知られた形状等に基づいて当業者であれば容易に創作することができたものであるか否かを判断すると共に、当該部分の用途及び機能を考慮し、「意匠登録を受けようとする部分」を当該物品分野において採用することが当業者にとってありふれた手法であるか否かを判断することにより行うものである。

そこで、本願部分の形状等の創作について考察すると、当業者は、テレビスタンドという物品の通常の使用の状態において、目につく支柱の美感や安全性・安定性に配慮すると共に、テレビジョン受像器の電源コード等をどのように支柱で隠すかという観点からも創作を行うものといえる。
本願部分の形状等は前記第4の1(3)に示すとおりであって、正八角柱自体は本願出願前より周知の形状ではあるが、この物品の属する分野において、正八角柱を支柱としたものは本願部分以外には見られないことから、当業者がありふれた手法に基づき創作できたとはいうことはできない。また支柱の正面中央上端寄りに配線孔を配した態様も引用意匠にはみられず、当業者が公然知られた形状等に基づいて創作できたものとはいえない。

そうすると、本願部分の形状等は、周知の形状を選択して採用したに過ぎないとはいえず、この種物品分野においてありふれた手法により容易に想到できたという証拠もないことから、当業者が公然知られた形状等に基づいて容易に本願部分の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、原査定が示した理由によっては意匠法3条2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲







審決日 2022-07-27 
出願番号 2020015465 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 江塚 尚弘
藤澤 崇彦
登録日 2022-09-14 
登録番号 1725583 
代理人 渡辺 容子 
代理人 鈴江 正二 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ