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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 C6 |
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管理番号 | 1389448 |
総通号数 | 10 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-12-27 |
確定日 | 2022-08-23 |
意匠に係る物品 | 冷蔵庫 |
事件の表示 | 意願2020− 18703「冷蔵庫」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 本願は、意願2020−14804(意匠登録第1703539号)を本意匠とする令和2年(2020年)9月3日の意匠登録出願であって、主な手続きの経緯は以下のとおりである。 令和3年(2021年) 6月23日付け 拒絶理由通知 同年 8月 6日 意見書の提出 同年 11月18日付け 拒絶査定 同年 12月27日 拒絶査定不服審判の請求 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「冷蔵庫」とし、その形状等(形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び願書に記載した本意匠 1 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠は願書に記載した本意匠に類似する意匠とは認められず、意匠法第10条第1項の規定に該当しないとの理由であって、具体的には以下のとおりである。 「本願意匠と願書記載の本意匠を比較すると、正面二つの扉手掛け部が、上部に横方向に設けられているか、側部に縦方向に設けられているか、という意匠の要部における差異が認められ、その差異は微弱なものとはいえないことから、両意匠は類似しないものと認められます。 なお、願書の【本意匠の表示】を削除する補正を行った場合には、この拒絶理由は解消します。」 2 願書に記載した本意匠 (1)手続きの経緯 願書に記載した本意匠は、本願の出願前、令和2年(2020年)7月17日の意匠登録出願(意願2020−14804)であって、令和3年(2021年)12月14日に意匠登録の設定(意匠登録第1703539号)がなされ、令和4年(2022年)1月4日に意匠公報が発行されたものである。 (2)願書及び添付図面の記載 本意匠は、意匠に係る物品を「冷蔵庫」とし、その形状等は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。 第4 当審の判断 以下、本願意匠及び本意匠(以下「両意匠」という。)が類似し、本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当するものか否かについて検討する。 1 意匠に係る物品の対比 両意匠の意匠に係る物品は、いずれも「冷蔵庫」であるから、一致する。 2 形状等の対比 両意匠の形状等を対比すると、主として以下の共通点及び相違点が認められる。 (1)共通点 (共通点A)全体形状 両意匠は、本体を略横長直方体とし、その上面に略横長長方形板状の天板を本体と縦横の幅をそろえて取り付け、底面の四隅にそれぞれ略縦長逆円錐台形の脚を設けたものであって、正面の左端に余地を残して右側全体に略正方形板状の扉を両開きに2枚取り付け(以下「扉部」という。)、左端の余地に略横長隅丸長方形の温度表示部と多数の冷却用スリットを形成した正面視略縦長長方形のパネル(以下「パネル部」という。)を扉部と若干隙間を空けて設けている点、 (共通点B)扉部 両意匠は、左右の扉は同形で、正面側の一方の縁を端面視略直角台形に切り欠き、その縁の側面に、正面側に略L字状に屈曲した略細長矩形薄板状の金具を一体に取り付けて手掛け部としている点、 (共通点C)スリット 両意匠は、本体のうち、パネル部の上下端、背面右寄り、側面左寄り及び左側面上端と左下隅に、略横長細帯状のスリットを多数形成している点において共通する。 (2)相違点 扉部の手掛け部について、本願意匠は、両開きの左右の扉の上端に取り付けているのに対し、本意匠は内側に向かい合わせに取り付けている点において相違する。 3 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)形状等の共通点及び相違点の評価 需要者は、冷蔵庫を購入する者の他、取引業者等が含まれる。 したがって、冷蔵庫を使用する際に視認する、正面の態様について評価し、かつそれ以外の形状等も併せて、各部を総合して意匠全体として形状等を評価することとする。 ア 共通点の評価 (共通点A)は、両意匠の他にもごく普通に見られる態様であり、また、縦横及び高さの比率においても、一般に見られる態様であることから、これらの点は、需要者が特段注目するものではなく、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 (共通点B)は、庫内の品物を出し入れする作業に関わる扉部の態様であるから、需要者の最も関心の高い部位であり、とりわけ、手掛け部は、直接手に触れる箇所で、需要者の注意を強く引く箇所であるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (共通点C)は、両意匠の他にもごく普通に見られる態様であることから、格別、需要者の注意を引くものとは言えず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 扉部の手掛け部の位置の相違は、前記のとおり、共に使用時に手に触れる部位であって、需要者の注意を引くものであるが、この種物品分野においては、手掛け部を両開きの左右の扉の上端に取り付けることも、扉の内側に向かい合わせに取り付けることも、本願の出願前より公然知られていることから、格別需要者の注意を引く特徴とはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 ウ 形状等の類否判断 両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、(共通点A)及び(共通点C)は、両意匠の類否判断に与える影響は小さいが、(共通点B)は、両意匠の類否判断に与える影響は大きく、総じて、需要者に与える共通の印象を一層強固にするものであるのに対して、相違点は、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、相違点に比べて、共通点が与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似する。 (3)小括 そうすると、両意匠は、意匠に係る物品が同一であって、その形状等において類似するから、本願意匠は本意匠に類似する。 4 本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当するか否かについて 本意匠は、本願の意匠登録出願人の意匠登録出願に係る意匠であるから、意匠法第10条第1項に規定する本意匠の要件を満たしている。 また、本願意匠の意匠登録出願の日は、本意匠の意匠登録出願の日(なお、本意匠は意匠法第15条第1項において準用する特許法第43条第1項等の規定による優先権を主張していない)以後であって本意匠の意匠登録出願の日から10年を経過する日前であるから、意匠法第10条第1項に規定されている関連意匠の意匠登録出願の日の要件を満たしている。 一方、前記3(3)のとおり、本願意匠は、本意匠に類似するから、意匠法第10条第1項に規定されている関連意匠の要件を満たしている。 よって、本願意匠は、意願2020−14804(意匠登録第1703539号)の意匠を本意匠とする関連意匠として意匠登録を受けることができるものである。 第5 むすび 以上のとおり、本願意匠は、本意匠に類似し、意匠法第10条第1項の規定に該当するものであるから、原審の拒絶の理由によっては拒絶することはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-08-09 |
出願番号 | 2020018703 |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(C6)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 外山 雅暁 |
登録日 | 2022-09-21 |
登録番号 | 1726250 |