ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード![]() |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D7 |
---|---|
管理番号 | 1389462 |
総通号数 | 10 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-06-15 |
確定日 | 2022-10-11 |
意匠に係る物品 | マットレス兼座椅子 |
事件の表示 | 意願2021− 1939「マットレス兼座椅子」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 本願は、令和3年(2021年)1月29日に出願された、本意匠を意願2020−25199とする関連意匠の意匠登録出願であって、同年12月28日付けの拒絶理由の通知に対し、令和4年2月18日に意見書及び願書記載の本意匠の表示を削除する手続補正書が提出されたが、同年3月14日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願の意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「マットレス兼座椅子」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形状等」ともいう。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものであり、具体的には以下のとおりである。 「本願の意匠と引用の意匠は、平面視で連続した横長矩形状とし、底面側の長手方向の左右端を複数の短冊型のブロックとし折り返せる態様とした構成態様において共通するのが認められます。一方両意匠は、左右の折り返し部分のブロックの数において差異が認められます。これら共通点と差異点を比較すると、共通する態様は両意匠の最も特徴を表すところで強い類似の印象を惹起するのに対して、差異点は共通する態様の範囲内での構成単位の数の変更にとどまるもので、ブロックの底面側が蒲鉾状に膨らんだ態様も共通する中では、別異の印象を惹起するまでには至らず、類似の範囲を出ないものと認められます。 引用意匠 (別紙第2参照) 著者の氏名:Rakuten.co.jp 媒体のタイプ:ONLINE 掲載場所:RAKUTEN みんなのレビュー 楽天市場トップ > ゴロンと寝れるベッド座椅子 シッピー(sippy )SFB1―ハンナ|座椅子 ざいす 一人用 リクライニング ロング 座椅子ロング リクライニングソファ ソファー ソファ テレワーク お年寄り リクライニングソファー 椅子 高齢者 新生活 在宅ワーク ごろ寝ソファ リクライニングチェア > ゴロンと寝れるベッド座椅子 シッピー(sip...のレビュー・口コミ 掲載年月日(公知日): 2020年10月16日 レビュー投稿の日付より、少なくともこの日までには公知になっていたも のと推認されます。 検索日: 2021年02月05日 情報の情報源:インターネット 情報のアドレス: https://item.rakuten.co.jp/meikou-life-garage/sfb1-hanna/?scid=af_ pc_etc&sc2id=af_106_1_10000236 から、「すべてのレビューを見る」のリンクに移動した https://review.rakuten.co.jp/item/1/303673_10000651/1.1/?l2-id=ite m_review に掲載された「マットレス兼座椅子」の意匠」 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、表記は異なるが、一部を折り返したり、伸ばしてたりして使用でき、マットレスとしても使用もできる座椅子であるから一致する。 (2)両意匠の形状等の対比 両意匠の形状等を対比すると、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。(対比のため、引用意匠の図の向きを本願意匠の図の向きに合わせて認定する。) ア 両意匠の形状等の共通点 (共通点1)全体が、略横長矩形板状で、その底面側の長手方向の左右端に、縦の切り込みにより等間隔に区切られた複数の略縦長直方体のブロックからなるブロック部を形成している点、 (共通点2)正面視において、長手方向の中央付近で右側全体を上方に折り曲げて起こし、ブロック部を上面側に折り曲げて重ねることで、座椅子として使用できる点において共通する。 イ 両意匠の形状等の相違点 (相違点1)平面視における全体の縦、横、厚みの長さの比率について、本願意匠は、約6:21:1であるのに対し、引用意匠は、約5:19:1で、本願意匠の方が横長で厚みがある点、 (相違点2)ブロック部について (相違点2−1)正面視におけるブロックの数が、本願意匠は、左右それぞれ3つずつであるのに対し、引用意匠は、左右それぞれ2つずつである点、 (相違点2−2)正面視におけるブロックの縦横の長さの比率について、本願意匠の右側端のブロックは、約3:3で、左側端のブロックは、約3:5であるのに対し、引用意匠は、右側端のブロックは、約5:10で、左側端のブロックは、約5:13で、引用意匠の方が、本願意匠より横長である点、 (相違点2−3)正面視において、本願意匠は、右側のブロックの底面が円弧状としているのに対し、引用意匠は、略直線状のフラットな面である点、 (相違点3)座椅子として使用する際、本願意匠は、座面と背もたれ面が、それぞれ3つのブロックにより、3段の短いピッチの波状の起伏が形成されているのに対し、引用意匠は、背もたれ面が、2つのブロックにより、2段の長いピッチの波状の起伏が形成され、座面は、起伏のない略直線状のフラットな面である点において相違する。 2 両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価 ア 共通点の評価 (共通点1)について、この種物品分野において、全体を略横長矩形板状とし、その底面側の長手方向の左右端に、縦の切り込みにより、略縦長直方体の複数のブロックからなるブロック部を形成したものは、本願の出願前から、両意匠以外にも見られる態様であり(例えば、意匠登録第1617162号のマットレスの意匠。参考意匠1、別紙第3参照)、両意匠にのみ見られる態様とはいえず、格別、需要者が注意を払うものではないから、(共通点1)は、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 (共通点2)について、両意匠のように、本体を長手方向の中央付近で折り曲げて起こし、長手方向の左右端のブロック部を上面側に折り曲げて重ねることで、座椅子として使用できるものは、本願の出願前から、両意匠以外にも見られるものであり(例えば、昭和63年実用新案出願公開第185652号の第3図ないし第7図に表されたリクライニング式座椅子の意匠。参考意匠2、別紙第4参照)、需要者が特段注目するものではないから、(共通点2)は、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 イ 相違点の評価 (相違点1)について、全体の縦、横、奥行きの長さの比率の相違は、僅かな差であって、略横長矩形板状の全体の基調に影響するものではなく、ごく普通に行われる変更程度の範囲であって、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 (相違点2)ブロック部について (相違点2−1)ブロックの数の相違については、この種物品分野において、常套的になされる改変の範囲内のものであって、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 (相違点2−2)及び(相違点2−3)について、正面視におけるブロックの縦横比が異なる点と、右側ブロックの底面の形状が円弧状であるか、直線状であるかの相違は、本願意匠の方が端部の起伏を強調する意匠的効果をもたらしており、需要者に、引用意匠とは異なる美感を与えるものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (相違点3)について、座椅子として使用する際に、使用者が身体に直接触れる座面と背もたれの起伏の態様の相違は、特に注視される部位であって、この点で視覚的印象が明らかに相違しており、需要者に異なる美感を与えるというべきであるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 ウ 両意匠の形状等の共通点及び相違点の総合評価 両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体を総合的に観察した場合、(共通点1)及び(共通点2)は、両意匠の類否判断に与える影響が小さいのに対し、(相違点1)及び(相違点2)のうち(相違点2−1)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものの、(相違点2)のうち(相違点2−2)及び(相違点3)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 (3)小括 両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、形状等においては、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでに至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点を凌駕しており、意匠全体として見た場合、両意匠は、需要者に異なる美感を与えるというべきであるから、本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないから、原査定の拒絶の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
審決日 | 2022-09-27 |
出願番号 | 2021001939 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D7)
|
最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
上島 靖範 塩治 雅也 |
登録日 | 2022-10-14 |
登録番号 | 1728035 |
代理人 | 弁理士法人Vesta国際特許事務所 |