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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3
管理番号 1390627 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-06-06 
確定日 2022-10-18 
意匠に係る物品 住宅 
事件の表示 意願2021− 25766「住宅」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、意匠法4条2項の規定の適用を受けようとする、令和3年(2021年)11月25日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

令和 4年(2022年) 1月 7日付け 拒絶理由通知書
同年 2月18日 意見書の提出
同年 3月10日付け 拒絶査定
同年 6月 6日 審判請求書の提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る建築物を「住宅」とし、その形状等(形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
表題 内野吉貴/YDS建築研究所による、「熊本の住宅」
媒体のタイプ [online]
掲載日 2016年5月19日
検索日 2022年1月5日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス URL:https://architecturephoto.net/51846/
に掲載された住宅の意匠

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る建築物
本願意匠の意匠に係る建築物は「住宅」であり、引用意匠の意匠に係る建築物も「住宅」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る建築物は、一致する。

(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。

ア 共通点
(ア)全体は、下端に一回り小さな土台(基礎)を有する略横長直方体形の2階屋で、正面の上端中央寄りから2階の床付近まで奥に向かって正面視略縦長長方形に切り欠いてテラスとし、テラスの床を略矩形板状に延出して手すり付きのベランダとし、手すりの下側に透明板を取り付けている点、
(イ)テラスに接する2階の奥面及び左右側面の壁に窓を取り付けている点において、共通する。

イ 相違点
(ア)テラスについて、本願意匠は、中央右寄りに設けているのに対し、引用意匠は、中央左寄りに設けている点、
(イ)上面(屋上)について、本願意匠は、外縁の内側全体を段差状に凹ませているのに対し、引用意匠は、上面の図の開示がないため不明である点、
(ウ)上端周縁について、引用意匠は、周縁に沿って凸条を施しているのに対し、本願意匠は、凸条を施していない点、
(エ)土台について、本願意匠は、土台の高さを全高の約1/42としているのに対し、引用意匠は、全高の約1/17で、引用意匠の方が本願意匠より土台が高い点、
(オ)玄関扉について、本願意匠は、右側面の1階の左寄りに略縦長長方形の玄関扉を設けているのに対し、引用意匠は、正面の1階の中央付近に略縦長長方形の真ん中に略矩形状の模様を縦に等間隔に6つ形成した玄関扉を設けている点、
(カ)窓
a 正面について、本願意匠は、1階の左寄りと中央付近に、縦長の略矩形窓(以下「小窓」という。)を高さを揃えて2つ、2階の右寄りに1つ取り付けているのに対し、引用意匠は、1階の玄関扉の右横に玄関扉大の略矩形窓(以下「大窓」という。)と、右端寄りに大窓の半分程度の大きさの略矩形窓(以下「中窓」という。)を1つずつ取り付け、2階のテラスの両側と右寄りに中窓を高さを揃えて3つ取り付けている点、
b 左側面について、本願意匠は、1階の中央左寄りに小窓を1つ取り付けているのに対し、引用意匠は、左側面が不明確で特定できない点、
c 右側面について、本願意匠は、1階の中央左寄りに中窓を取り付け、2階の中央左寄り、中央右寄り及び右寄りに小窓を高さを揃えて3つ取り付けているのに対し、引用意匠は、右側面の図の開示がないため不明である点、
d 背面について、本願意匠は、1階の左右端及び中央右寄りに小窓を高さを揃えて3つ取り付け、2階の左端寄り及び中央左右寄りに小窓を高さを揃えて3つ取り付けているのに対し、引用意匠は、右側面の図の開示がないため不明である点、
(キ)玄関アプローチについて、引用意匠は、正面の玄関扉の前に3段の玄関アプローチ階段を取り付けているのに対し、本願意匠は、玄関アプローチ階段はない点、
(ク)駐車場屋根の有無について、引用意匠は、正面左側の1階と2階の間に横幅が住宅の1/2程度の長さの略矩形板状の駐車場屋根を住宅からやや左側にずらして設けているのに対し、本願意匠は、駐車場屋根は設けていない点について相違する。

類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る建築物の類否判断
両意匠の意匠に係る建築物は、同一である。

(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
両意匠は、建築物のうち、住宅であるから、需要者は、主に外観に注目する住宅の購入者のほか、住宅の取引業者や住宅の施工を行う施工業者が含まれる。
したがって、まず、需要者が最も注意を払うファサード(正面から見た外観)について評価し、かつそれ以外の形状等も併せて、各部を総合して意匠全体として形状等を評価することとする。

ア 両意匠の形状等の共通点の評価
この種、建築物の分野において、全体を、下端に一回り小さな土台を有する略横長直方体形の2階屋とし、正面の2階の一部を正面視略縦長長方形に切り欠いてテラスとし、テラスに接する2階の壁に窓を取り付けているものは、両意匠の他にも見られる態様であり(2016年度 グッドデザイン賞受賞「手の届く贅沢 ONE‘S CUBO」の住宅、参考意匠、別紙第3参照)、両意匠のみに共通する態様とはいえないことから、これらの共通点が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
また、当該建築物の分野において、住宅の2階外側にベランダを突設したものも、例を挙げるまでもなくごく普通に見受けられるものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。

イ 両意匠の形状等の相違点の評価
相違点(ア)ないし相違点(ウ)について、いずれも、さほど目立たない箇所における部分的な相違であって、これらの相違は、意匠全体の美感に与える影響は一定程度にとどまるか、微弱なものであるから、格別、需要者が注意を払うものとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
相違点(エ)及び相違点(キ)について、本願意匠の土台は、ごく低いものであってさほど目立つものではないのに対し、引用意匠の土台は、正面の中央付近に3段の玄関アプローチ階段を取り付けるほどの高さを有し、玄関アプローチ階段の有無と相まって、需要者に異なる視覚的印象を与えているから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(オ)について、本願意匠は、玄関扉を右側面の左寄りに設け、正面2階のテラスの下側は、扉や窓のない壁面であるのに対し、引用意匠は、玄関扉を正面中央付近に設けているため、正面2階のテラスと相まって、ファサードとしての特徴を強く表しており、需要者に与える美感は大きく異なるものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(カ)について、両意匠は、窓を取り付けている各面において、窓の大きさ、数及び配置が大きく異なっており、需要者に異なる視覚的印象を与えているものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(ク)について、この種、建築物の分野において、住宅の前面に屋根付きの駐車スペースを設けたものは、ごく普通に見受けられるものであるが、略横長直方体形の2階屋の正面左側の1階と2階の間に横幅が住宅の1/2程度の長さの略矩形板状の駐車場屋根を住宅からやや左側にずらして設けた引用意匠と、略横長直方体形の2階屋のみで、駐車場屋根を設けていない本願意匠とは、ファサードとして見たときに、需要者に別異の美感を与えているものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

ウ 両意匠の形状等の評価
以上のとおり、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものであるのに対し、相違点のうち、相違点(ア)ないし相違点(ウ)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものであるが、相違点(エ)ないし相違点(ク)が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。

3 小括
したがって、両意匠は、意匠に係る建築物は同一で、形状等においても、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両意匠は、視覚的印象を異にするというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲





審決日 2022-10-04 
出願番号 2021025766 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 内藤 弘樹
外山 雅暁
登録日 2022-10-21 
登録番号 1728664 
代理人 高石 橘馬 
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