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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B4 |
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管理番号 | 1390633 |
総通号数 | 11 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2022-11-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-07-19 |
確定日 | 2022-10-11 |
意匠に係る物品 | 自動車用タイヤ搬送兼保管袋 |
事件の表示 | 意願2021−17271「自動車用タイヤ搬送兼保管袋」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の主な経緯 本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、令和3年(2021年)8月10日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和 3年 9月 9日 :新規性の喪失の例外証明書提出書の提出 11月26日付け :拒絶理由の通知 12月27日 :意見書及び手続補正書の提出 令和 4年 5月16日付け :拒絶査定 7月19日 :審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「自動車用タイヤ搬送兼保管袋」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 2020年7月30日に電気通信回線を通じて利用可能となった自動車用タイヤ搬送兼保管袋の意匠 (書誌的事項) 表題 2020年9月1日よりタイヤ袋有料化のお知らせ 媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2020年7月30日 検索日 [2021年11月11日検索] 情報源 インターネット 情報のアドレス URL:https://www.fukushima−daihatsu.jp/information/11799/ 第4 当審の判断 1.本願意匠 本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「自動車用タイヤ搬送兼保管袋」であって、自動車用タイヤを出し入れ可能とするための開口部を有する袋部材と、該袋部材を把持するための取っ手部材を形成したものである。 本物品は「使用状態を示す参考図」に示すように、取っ手部材を手で持つことができる。 (2)本願部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能 本願意匠に係る物品のうち、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は、袋部材を除く、持ち手部位と取っ手部位を含む帯状の紐部分(ひもぶぶん)である。 本願部分の位置、大きさ及び範囲は、正面視及び背面視で、袋部材の中央に位置する横幅が袋部材の3分の1強の範囲に取り付けた、縦長さが袋部材の直径より長く袋部材よりも上方に突出した、細い帯状部分であって、搬送する際に本物品を手で持つという用途及び機能を有している。 (3)本願部分の形状 〔形状A1〕本願部分は、正面側と背面側の2か所の持ち手部位を含む1本の長い紐部分(以下「本体部」といい、正面側に現れる部分を「正面側本体部」、背面側に現れる部分を「背面側本体部」という。)と、取っ手部位と成る1本の短い紐部分(以下「取っ手部」という。)とから成るものである。 〔形状A2〕本体部は、全体では、細長い帯状の紐を環状(O字状)にしたものであって、正面側では、細長い帯状の紐を倒立U字状にした状態が現れているものであり、それは、正面側上端を袋部材より上方にて輪(U字状)にし、袋部材の左右中央にて、袋部材の幅の3分の1強の幅になるようにして垂直方向に平行に,袋部材正面に取り付け、袋部材の底面を介して背面側へと回り込み、正面側と同様に、袋部材の左右中央にて、袋部材の幅の3分の1強の幅になるようにして垂直方向に平行に,袋部材背面に取り付け、背面側上端を袋部材より上方にて輪にしたものである。 〔形状A3〕取っ手部は、正面図において、本体部の全高の約8分の1下から上がった位置に水平に、本体部に取り付けている。 2.引用意匠 引用意匠は、上記「第3」の、インターネットの内容によると、以下のとおりである。 (1)意匠に係る物品 引用意匠の意匠に係る物品は「自動車用タイヤ搬送兼保管袋」である。 (2)引用部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能 引用意匠中、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と併せて「両部分」という。)は、袋部材を除く、持ち手部位と取っ手部位を含む帯状の紐部分である。 引用部分の位置、大きさ及び範囲は、正面視で、袋部材の中央に位置する横幅が袋部材の3分の1強の範囲に取り付けた、縦長さが袋部材の直径より長く袋部材よりも上方に突出した、細い帯状部分であり、背面視においては不明であって、搬送する際に本物品を手で持つという用途及び機能を有している。 (3)引用部分の形状 〔形状B1〕引用部分は、正面側の持ち手部位を含む長い紐部分(以下「正面側本体部」という。)、背面側の持ち手部位を含む紐部分(以下「背面側本体部」という。)、及び取っ手部位と成る1本の短い紐部分(以下「取っ手部」という。)とから成るものである。 〔形状B2〕正面側本体部は、細長い帯状の紐を倒立U字状にした状態が現れているものであって、それは、正面側上端を袋部材より上方にて輪(U字状)にし、袋部材の左右中央に、袋部材の幅の3分の1強の幅になるようにして垂直方向に平行に,袋部材正面に取り付けたものである。 背面側本体部は、背面側上端を袋部材より上方にて輪にした、細い帯状の紐を倒立U字状にした状態が袋部より上方に現れているものであって、それ以外の部分は不明である。 〔形状B3〕取っ手部は、正面側において、袋部下端の位置に水平に、正面側本体部に取り付けている。 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品の対比 本願意匠も引用意匠も、意匠に係る物品は、共に「自動車用タイヤ搬送兼保管袋」である。 (2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の対比 両部分共に、袋部材を除く、持ち手部位と取っ手部位を含む帯状の紐部分である。 本願部分の位置、大きさ及び範囲は、正面視及び背面視で、袋部材の中央に位置する横幅が袋部材の3分の1強の範囲に取り付けた、縦長さが袋部材の直径より長く袋部材よりも上方に突出した、細い帯状であるのに対して、引用部分の位置、大きさ及び範囲は、正面視で、袋部材の中央に位置する横幅が袋部材の3分の1強の範囲に取り付けた、縦長さが袋部材の直径より長く袋部材よりも上方に突出した、細い帯状であり、背面視においては不明である。 両部分共に、搬送する際に本物品を手で持つという用途及び機能を有している。 (3)両部分の形状の対比 両部分の形状を対比すると、以下に示す共通点と相違点が認められる。 ア.共通点について (ア)両部分は共に、正面側の持ち手部位を含む長い紐部分、背面側の持ち手部位を含む紐部分、及び取っ手部位と成る1本の短い紐部分とから成るものである。(形状A1とB1) (イ)正面側本体部は、細長い帯状の紐を倒立U字状にした状態が現れているものであって、それは、正面側上端を袋部材より上方にて輪にし、袋部材の左右中央に、袋部材の幅の3分の1強の幅になるようにして垂直方向に平行に,袋部材正面に取り付けたものであり、背面側本体部は、背面側上端を袋部材より上方にて輪にした、細い帯状の紐を倒立U字状にした状態が袋部より上方に現れているものである。(形状A2とB2) (ウ)取っ手部は、正面側において、水平に正面側本体部に取り付けている。(形状A3とB3) イ.相違点について (ア)背面側本体部のうち、袋部より上方に現れている部分以外の部分の形状につき、本願部分は、袋部材の底面を介して背面側へと回り込み、正面側と同様に、袋部材の左右中央に、袋部材の幅の3分の1強の幅になるようにして垂直方向に平行に,袋部材背面に取り付けているものであるのに対して、引用部分は、不明である。(形状A2とB2) (イ)取っ手部の取付け位置につき、本願部分は、正面図において、本体部の全高の約8分の1下から上がった位置であるのに対して、引用部分は、正面側において、袋部下端の位置である。(形状A3とB3) 4.判断 (1)意匠に係る物品の類否判断 両意匠の、意匠に係る物品は、いずれも「自動車用タイヤ搬送兼保管袋」であるから、一致している。 (2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の評価 両部分共に、袋部材を除く、持ち手部位と取っ手部位を含む帯状の紐部分であるが、上記3.(2)のとおりであるから、その位置、大きさ及び範囲については、正面側においては両部分共に一致していても、背面側は一致しているまたはありふれた範囲内とは評価ができない。 両部分共に、搬送する際に本物品を手で持つという用途及び機能を有しているから、両部分の用途及び機能は一致している。 (3)両部分における形状の評価 ア.共通点について 共通点(ア)は、共通点(イ)及び(ウ)と相まって、正面視のみの観察においては一定程度の共通感を生み出してはいるが、全体観察をした上での両意匠の類否判断においては、及ぼす影響は一定程度にとどまるといえる。 イ.相違点について 相違点(ア)につき、本願部分は、本体部が正面側から袋部材の底面を介して背面側へと回り込んでいるから、荷重のかかる袋部材の補強をしているものと推認されるが、引用部分には、そのような態様が明らかにされず、この点につき両部分の類否判断に及ぼす影響は、大きい。 また、本願部分は、背面側が正面側と同様に、袋部材の左右中央に、袋部材の幅の3分の1強の幅になるようにして垂直方向に平行に,袋部材背面に取り付けている点で、正面と背面がおおむね前後対称形という創作要素がみられるのに対して、引用部分にはそのような態様がみられないため、この点につき両部分の類否判断に及ぼす影響は、大きい。 相違点(イ)につき、本願部分は、提出されている正面図においては、本体部の全高の約8分の1下から上がった位置に取り付けられているように現れているが、本願意匠について、引用意匠のようにタイヤを保管袋に収納した場合はタイヤの幅分保管袋の厚み(前後幅)が増し、その分正面側と背面側の生地がマチの方に使われることとなり、この場合、取っ手部の位置は、正面側において、袋部下端寄りにずれて位置するものと推認される。 よって、相違点(イ)は、両部分の類否判断に及ぼす影響は、小さい。 (4)小括 そうすると、両部分の形状については、その共通点及び相違点の評価に基づくと、上記のとおり、共通点は、類否判断に及ぼす影響が一定程度にとどまるものであるのに対して、相違点(ア)によって類否判断に及ぼす影響は大きいものといえるものであり、両部分の形状は、類似するとは認められないものである。 (5)両意匠における類否判断 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、両部分の用途及び機能は一致している。 しかし、両部分の位置、大きさ及び範囲が、一致しているまたはありふれた範囲内とはいえない。 そして、上記のとおり、両部分の形状は、類似するとは認められないものである。 よって、本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。 5.結び 以上のとおりであって、本願意匠は、引用意匠に類似するとはいえず、原査定の引用意匠をもって、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず、本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2022-09-28 |
出願番号 | 2021017271 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B4)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2022-11-08 |
登録番号 | 1729979 |
代理人 | 弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所 |