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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1390636 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-07-26 
確定日 2022-10-25 
意匠に係る物品 コンピュータ用入力機 
事件の表示 意願2020−21161「コンピュータ用入力機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は、2020年5月6日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、令和2年(2020年)10月2日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和 2年11月 5日付け :拒絶理由の通知
令和 3年 2月22日 :意見書及び手続補正書の提出
3月24日付け :拒絶理由の通知
6月28日 :意見書の提出
令和 4年 4月19日付け :拒絶査定
7月26日 :審判請求書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「コンピュータ用入力機」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由(令和3年3月24日付け)は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1548521号
(意匠に係る物品、コンピュータ用マウス)の意匠のうち、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、以下のとおりである。
なお、本願意匠(本願部分)における形状の認定においては、使用状態を鑑み、(a)正面図の上側を「上」、正面図の下側を「下」、正面図の右側を「左(右手の親指側)」、正面図の左側を「右(右手の小指側)」、(b)背面図の右側を「右」、背面図の左側を「左」、(c)右側面図の右側を「前(指先側)」、右側面図の左側を「後(手首側)」、(d)左側面図の右側を「後」、左側面図の左側を「前」(e)平面図の上側を「後」、平面図の下側を「前」、平面図の右側を「左」、平面図の左側を「右」とする。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「コンピュータ用入力機」である。

(2)本願部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は、手のひらに収まる程の大きさの、コンピュータ用入力機から、本体左側面のスイッチ群部分、トラックボール右側の僅かなへこみ曲面の平面視で湾曲縦長部分、リング状ホイール部分、及び底面部分を除いた部分であって、コンピュータ用入力機における当該部分の用途及び機能を有するものである。

(3)本願部分の形状
〔形状A1〕本体の概略の形状は、上方から観察した場合は、前後に長い略長円形であって、側面から観察した場合は、中央やや後に丸い頂角のある扁平な略三角形である。
〔形状A2〕本体の前側上面にトラックボールを備えたものである。
〔形状A3〕本体の前後長と本体の高さの比率は、約100:42である。
〔形状A4〕トラックボール周辺の本体形状は、前下がりで、大きく右下がりの面を基盤として(リング状ホイール部分下端に向かって)すり鉢状面としている(以下「トラックボール周辺本体上面」という。)。
〔形状A5〕トラックボール周辺本体上面から、リング状ホイール部分を介して設けたトラックボールの上端高さは、本体の前後長を100としたとき約44で、本体よりも僅かに高いものである。
〔形状A6〕トラックボールは、本体の前から約1/9の位置に設けてある。
〔形状A7〕前方から観察した場合、本体左側面(向かって右側)は、前端から約1/4辺りにおいて、トラックボール周辺本体上面から、約60度の傾斜面(面取り部)を介して垂直面とし、下端でフレアー状に広がって僅かな幅の水平状になっている。
〔形状A8〕後方から観察した場合、本体左側面(向かって左側)は、後端から約1/3辺りにおいて、ごく僅かにへこんだ略垂直面で、フレアー状に大きく広がって、本体の前後長を100としたとき約16の高さで水平状になっている。
〔形状A9〕前方から観察した場合、本体右側面(向かって左側)は、前端から約1/3辺りまでが、トラックボール周辺本体上面の形状が右端まで続き、前下がりで、大きく右下がりである。
〔形状A10〕後方から観察した場合、本体右側面(向かって右側)は、前後略中央において、下端まで大きな凸曲線状である。
〔形状A11〕上方から観察した場合、本体は、後端から約1/3辺りにおいて、左に大きくせり出し、その部分の厚さ(高さ)は、〔形状A7〕で述べたとおり、本体の前後長を100としたとき約16の厚さである。
〔形状A12〕除かれる部分である本体左側面のスイッチ群部分は、前後長が本体前後長の約半分であって、略ひし形である。

2.引用意匠
引用意匠(引用部分)における形状の認定においては、本願意匠に合わせて認定する。

(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「コンピュータ用マウス」である。

(2)引用部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能
引用意匠中、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は、手のひらに収まる程の大きさの、コンピュータ用マウスから、本体左側面のスイッチ群部分、トラックボール右側の僅かなへこみ曲面の平面視で湾曲縦長部分、及び底面部分を除いた部分であって、コンピュータ用マウスにおける当該部分の用途及び機能を有するものである。

(3)引用部分の形状
〔形状B1〕本体の概略の形状は、上方から観察した場合は、前後に長い略長円形であって、側面から観察した場合は、略中央が頂となる扁平なアーチ状である。
〔形状B2〕本体の前側上面にトラックボールを備えたものである。
〔形状B3〕本体の前後長と本体の高さの比率は、約100:36である。
〔形状B4〕トラックボール周辺の本体形状は、前下がりの凸曲面(「形状B1」で述べた扁平なアーチ状の一部)で、僅かに右下がりの面であり、トラックボールが収まる穴の周辺は、僅かに下る細幅の傾斜面としている。(以下「トラックボール周辺本体上面」という。)。
〔形状B5〕トラックボール周辺本体上面の穴に設けたトラックボールの上端高さは、本体の前後長を100としたとき約33で、本体の頂よりも低い位置である。
〔形状B6〕トラックボールは、本体の前から約1/10の位置に設けてある。
〔形状B7〕前方から観察した場合、本体左側面は、前端から約1/4辺りにおいて、トラックボール周辺本体上面から、直角角部の前後三連のスイッチを介して垂直面とし、下端でフレアー状に広がってごく僅かな幅の水平状になっている。
〔形状B8〕後方から観察した場合、本体左側面は、後端から約1/3辺りにおいて、ごく僅かにへこんだ急斜面で、本体の前後長を100としたとき約11の高さで左にとがっている。
〔形状B9〕前方から観察した場合、本体右側面は、前端から約1/3辺りまでが、トラックボール周辺本体上面から折れ曲がって下り面となっており、折れ曲がりの角部に前後に細長いスイッチ(スイッチと思われる別部材。以下「スイッチ」という。)を設けている。
〔形状B10〕後方から観察した場合、本体右側面は、前後略中央において、下端まで大きな凸曲線状である。
〔形状B11〕上方から観察した場合、本体は、後端から約1/3辺りにおいて、左に僅かにせり出し、その部分の厚さ(高さ)は、〔形状B7〕で述べたとおり、本体の前後長を100としたとき約11の厚さである。
〔形状B12〕除かれる部分である本体左側面のスイッチ群部分は、前後長が本体前後長の約5/7であって、弓形の左1/4を斜めに切ったような形である。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「コンピュータ用入力機」であり、引用意匠に係る物品は「コンピュータ用マウス」である。

(2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の対比
本願部分は、手のひらに収まる程の大きさの、リング状ホイールを備えたコンピュータ用入力機から、本体左側面のスイッチ群部分、トラックボール右側の僅かなへこみ曲面の平面視で湾曲縦長部分、リング状ホイール部分、及び底面部分を除いた部分であって、コンピュータ用入力機における当該部分の用途及び機能を有するものであるのに対して、引用部分は、手のひらに収まる程の大きさの、リング状ホイールを備えないコンピュータ用マウスから、本体左側面のスイッチ群部分、トラックボール右側の僅かなへこみ曲面の平面視で湾曲縦長部分、及び底面部分を除いた部分であって、コンピュータ用マウスにおける当該部分の用途及び機能を有するものである。

(3)両部分の形状の対比
両部分の形状を対比すると、以下に示す共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
〔共通点1〕本体の概略の形状は、上方から観察した場合は、前後に長い略長円形であって、側面から観察した場合は、おおむね山型である。(形状A1とB1)
〔共通点2〕本体の前側上面にトラックボールを備えたものである。(形状A2とB2)
〔共通点3〕前方から観察した際、本体左側面は、前端から約1/4辺りにおいて垂直面とし、下端でフレアー状に広がって僅かな幅の水平状になっている。(形状A7とB7)
〔共通点4〕後方から観察した際、本体右側面は、前後略中央において、下端まで大きな凸曲線状である。(形状A10とB10)
〔共通点5〕上方から観察した場合において、本体は、後端から約1/3辺りにおいて、左にせり出している。(形状A11とB11)

イ.相違点について
〔相違点1〕本体のおおむね山型とした側面から観察した場合の詳細な形状につき、本願部分は、中央やや後に丸い頂角のある扁平な略三角形であるのに対して、引用部分は、略中央が頂となる扁平なアーチ状である。(形状A1とB1)
〔相違点2〕本体の前後長と本体の高さの比率につき、本願部分は、約100:42であるのに対して、引用部分は、約100:36である。(形状A3とB3)
〔相違点3〕トラックボール周辺の本体形状につき、本願部分は、前下がりで、大きく右下がりの面を基盤として、すり鉢状面としているのに対して、引用部分は、前下がりの凸曲面で、僅かに右下がりの面であり、トラックボールが収まる穴の周辺は、僅かに下る細幅の傾斜面としている。(形状A4とB4)
〔相違点4〕本体の前後長を100としたときの、トラックボールの上端高さにつき、本願部分は、約44で、本体よりも僅かに高いものであるのに対して、引用部分は、約33で、本体の頂よりも低い位置である。(形状A5とB5)
〔相違点5〕トラックボールの位置につき、本願部分は、本体の前から約1/9の位置に設けてあるのに対して、引用部分は、本体の前から約1/10の位置に設けてある。(形状A6とB6)
〔相違点6〕前端から約1/4辺りにおける本体左側面の、前方から観察した際の形状につき、本願部分は、トラックボール周辺本体上面から、約60度の傾斜面(面取り部)を介して垂直面としているものであるのに対して、引用部分は、直角角部の前後三連のスイッチを介して垂直面としている。(形状A7とB7)
〔相違点7〕前端から約1/4辺りにおける本体左側面の下端におけるフレアー状に広がった先の水平状の幅につき、本願部分は、僅かであるのに対して、引用部分は、ごく僅かである。(形状A7とB7)
〔相違点8〕後端から約1/3辺りにおける本体左側面の、後方から観察した際の形状につき、本願部分は、ごく僅かにへこんだ略垂直面で、フレアー状に大きく広がって、本体の前後長を100としたとき約16の高さで水平状になっているのに対して、引用部分は、ごく僅かにへこんだ急斜面で、本体の前後長を100としたとき約11の高さで左にとがっている。(形状A8とB8)
〔相違点9〕前端から約1/3辺りにおける本体右側面の、前方から観察した際の形状につき、本願部分は、トラックボール周辺本体上面の形状が右端まで続き、前下がりで、大きく右下がりであるのに対して、引用部分は、トラックボール周辺本体上面から折れ曲がって下り面となっており、折れ曲がりの角部に前後に細長いスイッチを設けている。(形状A9とB9)
〔相違点10〕除かれる部分である本体左側面のスイッチ群部分につき、本願部分は、前後長が本体前後長の約半分であって、略ひし形であるのに対して、引用部分は、前後長が本体前後長の約5/7であって、弓形の左1/4を斜めに切ったような形である。(形状A12とB12)

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠の意匠に係る物品は「コンピュータ用入力機」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「コンピュータ用マウス」であり、表記は異なるが、共にボールを指で転がすことでカーソル操作を行うトラックボール式のコンピュータ用マウスであるから、両意匠の意匠に係る物品は共通する(以下、共に「コンピュータ用マウス」という。)。

(2)両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能の評価
本願部分は、手のひらに収まる程の大きさの、リング状ホイールを備えたコンピュータ用マウスから、本体左側面のスイッチ群部分、トラックボール右側の僅かなへこみ曲面の平面視で湾曲縦長部分、リング状ホイール部分、及び底面部分を除いた部分であって、コンピュータ用マウスにおける当該部分の用途及び機能を有するものであるのに対して、引用部分は、手のひらに収まる程の大きさの、リング状ホイールを備えないコンピュータ用マウスから、本体左側面のスイッチ群部分、トラックボール右側の僅かなへこみ曲面の平面視で湾曲縦長部分、及び底面部分を除いた部分であって、コンピュータ用マウスにおける当該部分の用途及び機能を有するものであるから、両部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能は共通する。

(3)両部分における形状の評価
ア.共通点について
共通点1、2、4及び5は、この種物品分野においては、ありふれた形状であるから、この共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は、小さい。
共通点3については、親指で操作するスイッチを本体左側面に設けたものにおいては、本願の出願前からある形状であって、両部分のみの共通点とはいえないから、この共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は、小さい。

イ.相違点について
相違点1、2、5、7、8及び10によって、相対的に本願部分の方が前後に短く、上面が盛り上がり、左右幅が広い、全体に塊感が生じているのに対して、引用部分は、相対的に、前後に細長く背の低いのっぺりとした(または、前後に流れるような)感じを醸し出していることから、僅かながらも別異の印象といえ、両部分の類否判断に与える影響は認められる。
相違点3及び6については、主な操作を行うと考えられるトラックボールの周辺の形状であるから、最も需要者の目に付きやすい部分における相違と認められ、形状の変化が少なく、シンプルですっきりとした印象の引用部分に対して、本願部分は、立体的な形状であり、なおかつ、その形状によりリング状ホイールの操作性を向上させていることが伝わる形状であって、両部分に別異の印象を生じさせているといえ、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
相違点4については、主な操作を行うと考えられるトラックボールの高さ位置の相違であり、操作性に関わる点であるから、需要者の関心がある点における相違といえ、相違点1及び2の形状の相違と相まって、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
相違点9については、本願部分は、トラックボール周辺本体上面の形状が本体前側右端まで一体とした形状であるのに対して、引用部分は、トラックボール周辺本体上面と下り面の境で折れ曲がり、かつ、その部分にスイッチを設けて、トラックボール周辺本体上面をスイッチの位置までと思わせる形状であって、両部分に別異の印象を生じさせているといえ、両部分の類否判断に与える影響は大きい。

(4)小括
そうすると、両部分の形状については、その共通点及び相違点の評価に基づくと、上記のとおり、共通点は、類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して、相違点3,4,6及び9によって類否判断に及ぼす影響は大きいものといえるものであり、両部分の形状は、類似するとは認められないものである。

(5)両意匠における類否判断
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、両部分の位置、大きさ及び範囲,並びに用途及び機能は共通していると認められる。
しかし、上記のとおり、両部分の形状は、類似するとは認められないものである。
よって、本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。

5.結び
以上のとおりであって、本願意匠は、引用意匠に類似するとはいえず、原査定の引用意匠をもって、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲




審決日 2022-10-11 
出願番号 2020021161 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2022-11-14 
登録番号 1730399 
代理人 伊東 忠重 
代理人 宮崎 修 
代理人 伊東 忠彦 
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