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審決分類 審判 査定不服  工業上利用 取り消して登録 J7
審判 査定不服  意7条一意匠一出願 取り消して登録 J7
管理番号 1392114 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-12 
確定日 2022-11-15 
意匠に係る物品 医療用インジェクターカートリッジ 
事件の表示 意願2019−17357「医療用インジェクターカートリッジ」(出願当初は「インジェクターカートリッジ」としていたところを、令和4年9月26日の手続補正書により補正した。)の拒絶査定不服審判事件についてした令和3年1月6日付けの審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(令和3年(行ケ)第10067号、令和4年1月12日判決言渡)があったので、さらに審理し、その結果、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本件に係るこれまでの手続の主な経緯は次のとおりである。

令和1年 8月 2日 :意匠登録出願
29日 :優先権証明書提出書の提出
10月24日付け:拒絶理由の通知
令和2年 3月 2日 :意見書の提出
4月20日付け:拒絶査定
8月12日 :審判請求書の提出
21日付け:手続補正指令
31日 :手続補正書及び手続補足書の提出
令和3年 1月 6日付け:審決
5月25日 :審決の取消しの訴え提起(審決取消訴訟事件
令和3年(行ケ)第10067号)
令和4年 1月12日 :判決言渡
5月17日付け:拒絶理由の通知
9月26日 :手続補正書及び意見書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠は、願書及び願書に添付した図面によれば、出願当初の意匠に係る物品を「インジェクターカートリッジ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙参照)。

第3 判決の理由の要旨
令和3年1月6日付けの審決では、本願意匠に係る物品について、「医療用注射器の外筒」と認定した上で、「注射器用シリンジ」に係る引用意匠と類似し、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するから、意匠登録を受けることができない旨、審決したところ、上記判決により、同審決は取り消された。
そして、同判決の理由の要旨は、以下のとおりである。

原告は、本件審決が、本願意匠に係る物品について「医療用注射器の外筒」と認定したことが誤りであり、本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品が異なると主張していることを前提として、本願意匠に係る物品について検討すると、本件願書等には【意匠に係る物品の説明】の欄はなく、その余の欄にも意匠に係る物品の説明は記載されていない。本件願書等における物品を示唆する記載は「インジェクターカートリッジ」との文言及び図面のみである。
「インジェクター」についてみると、注射器を意味すると推察され、「カートリッジ」についてみると、交換用の液体・ガスなどを充填した小容器を意味するものと推測されるから、「インジェクターカートリッジ」は、「注射器用の交換可能な液体・ガスなどを充填した小容器」を意味すると認めるのが相当である。
そうすると、本願意匠の意匠に係る物品を「医療用注射器の外筒の用途及び機能を有するもの」とした本件審決の認定には誤りがあり、本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は共通しない。

第4 当審の拒絶の理由
上記判決は、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、同判決の主文及び理由について当審の判断を拘束するものであるが、同判決には、意匠法第3条第1項柱書及び同法第7条についての理由は示していないから、当審は、さらに同法第3条第1項柱書及び同法第7条について審理し、大要以下の理由を通知した。

1.願書の記載中「意匠に係る物品」の欄の記載について
本願の出願当初における「意匠に係る物品」の欄には、「インジェクターカートリッジ」と記載されているが、「インジェクターカートリッジ」との記載からは、どの分野におけるどのようなインジェクターカートリッジなのか不明であり、この意匠登録出願は、経済産業省令で定める物品の区分又はそれと同程度の区分により意匠ごとにされているものとは認められないので、意匠法第7条に規定する要件を満たしていない。

2.願書の記載中「意匠に係る物品の説明」の欄の記載について
本願の願書及び願書に添付した図面の記載内容によると、願書の「意匠に係る物品」の欄には、意匠法施行規則別表第一の下欄に掲げる物品の区分のいずれにも属さない物品が記載されているが、「意匠に係る物品の説明」の欄には、物品の理解を助けることができるような説明が記載されていないため、本願意匠の、意匠に係る物品が何であるのか不明であり、本願意匠は、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない。

第5 請求人がした補正の内容
審判請求人は、令和4年9月26日に、願書の「意匠に係る物品」の欄の記載を変更し、合わせて、「意匠に係る物品の説明」の欄の記載を追加する補正をした。

第6 当審の判断
審判請求人がした、上記第5の補正の内容を検討すると、これらの補正は、本願の願書の記載について要旨を変更するものではなく、補正後の本願意匠は、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するものであり、なおかつ、意匠法第7条に規定する要件を満たしているから、上記第4の当審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審がさらに審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2022-11-01 
出願番号 2019017357 
審決分類 D 1 8・ 14- WY (J7)
D 1 8・ 52- WY (J7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 渡邉 久美
橘 崇生
登録日 2022-12-02 
登録番号 1731935 
代理人 玉井 悦 
代理人 水野 祐啓 

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