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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1392122 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-14 
確定日 2022-11-15 
意匠に係る物品 自動二輪車 
事件の表示 意願2021− 1928「自動二輪車」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 主な手続の経緯

本願は、令和3年(2021年)1月29日の意匠登録出願であって、主な手続きの経緯は以下のとおりである。

令和3年(2021年) 5月20日付け 拒絶理由通知
同年 6月25日 意見書の提出
同年 11月30日付け 拒絶査定
令和4年(2022年) 2月14日 拒絶査定不服審判の請求

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した写真の記載によれば、意匠に係る物品を「自動二輪車」とし、その形状等(形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用の意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2017年 9月11日
受入日 特許庁意匠課受入2017年 9月29日
掲載者 ヤマハ発動機株式会社
表題 ビッグロゴの採用などカラーリング&グラフィックを変更 ”エンデューロ”向けモデル4機種の2018年モデルを発売 − 広報発表資料 | ヤマハ
掲載ページのアドレス https://global.yamaha−motor.com/jp/news/2017/0613/yz−ed.html
に掲載された「自動二輪車」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ29029641号)

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品

本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、「自動二輪車」であるから、一致する。

(2)両意匠の形状等

両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、対比のため、引用意匠の図の向きを本願意匠の図の向きに合わせるものとする。

ア 共通点

(共通点1)全体を、ストロークの長いフロントサスペンションを持ち、アップタイプのロングフロントフェンダーを取り付け、オフロードタイヤを装着したオフロード又はエンデューロタイプの自動二輪車としたものである点で共通する。

(共通点2)フレームを、エンジンの前方側に突設した排気管を挟み、エンジン及びエンジン補機類を車体左右から抱えるようにしてフレームを配したものである点で共通する。

(共通点3)車体前方部分を、フレームの前方側に、左右一対の倒立式フロントフォークを取り付け、その上端に略一文字のハンドルを取り付け、下端にスポークホイールを装着したオフロードタイヤ及びディスクブレーキを取り付け、フロントフォークの真ん中よりやや上にフロントフェンダーをタイヤから離して取り付け、ハンドルとフロントフェンダーの間に前方に向けて略矩形状のゼッケン取り付け板を配した点で共通する。

(共通点4)背面視において、車体上方部分を、上端に燃料キャップを設け、薄いシートをその後方に配し、シートの後方から略薄楔状のリアフェンダーを略水平に突設し、シートの前方からフロントフォークに向かって車体外側に拡がるカバー(以下「前カバー」という。)を設け、シート後方部分に、略横長三角形状で排気管の上半分を覆い、後方が跳ね上がるようにして斜めに配設した略矩形状のカバー(以下「後カバー」という。)を設けた点で共通する。

(共通点5)背面視において、車体後方部分を、フレームの後方側に、斜め下方に向かって、リアアームを取り付け、リアアーム後端部にスポークホイールを装着したオフロードタイヤ、ディスクブレーキ及びスプロケットを取り付け、スプロケットにチェーン駆動によって動力を伝達する構成としている点で共通する。

(共通点6)エンジン周囲を、エンジン後方にエンジン補機類を配し、エンジン前方から左右のフレームの間を抜けて排気管を突設し、背面視フレームの外側に大きく屈曲しつつ膨らんだチャンバーを設け、チャンバーから後方斜め上方に向かって略円筒形の排気管を設けている点で共通する。

イ 相違点

(相違点1)前カバーについて、背面視において、本願意匠は、右に傾斜した略横長平行四辺形状で、略中央上寄りに略横長三角形状の孔を形成し、下辺左寄りから略中央右寄りにかけて略横長三角形状のスリットを形成しているのに対し、引用意匠は右に傾斜した略変形台形状で、中央付近に略縦長矩形状の孔を形成している点で相違する。

(相違点2)後カバーについて、背面視において、本願意匠は、全体が排気管に沿って緩やかに膨出しているのに対し、引用意匠は上部中央付近から右の斜辺まで略鉛直面とし、上辺中央付近から左の斜辺まで排気管に沿って緩やかに膨出し、鉛直面との境界に斜めに境界線を形成している点において相違する。

(相違点3)シートについて、本願意匠は、背面視略横長逆台形状に形成し、下辺を水平としているのに対し、引用意匠は、略横長逆三角形状に形成し、下辺の中央付近を頂角としている点において相違する。

(相違点4)前カバーと後カバーの配置について、本願意匠は、背面視前カバーと後カバーが斜めの辺によって接し、一体的に形成しているのに対し、引用意匠は、前カバーと後カバーの角部が接するのみで、それぞれを別体で形成している点において相違する。

(相違点5)模様及び色彩について、本願意匠は、全体が明暗調子のみのものであるのに対し、引用意匠は、フロントフェンダー、燃料タンク、前カバー、リアフェンダー及びホイールリムを青色に配色し、前カバーには複数の白色の略筋状模様を施し、シートの上面を青色、側面を黒色に塗り分け、後カバーの前方側を黒色、後方側を白色に塗り分けている点において相違する。

類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品

両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価

両意匠の意匠に係る物品は、前照灯のないところから競技用のオフロード又はエンデューロタイプの自動二輪車であるといえるから、需要者は主に使用者であるドライバー及び販売業者等の取引者と認められ、したがって、その走行性能に係る、エンジン、フレーム、サスペンション等の部分、スタイリングに係るシート、前カバー及び後カバー等を特に注意して観察するということができる。

ア 共通点の評価

(共通点1)は、両意匠を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点2)ないし(共通点6)における各部の態様は、この種競技用のオフロード又はエンデューロタイプの自動二輪車において既に見られる態様であるから、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず、(共通点2)ないし(共通点6)が両意匠の類否判断に与える影響はいずれも小さいといえる。

イ 相違点の評価

(相違点1)は、前カバーについての相違点であるが、背面視において、本願意匠は、略平行四辺形状で、略中央上寄りの略横長三角形状の孔と、下辺左寄りから略中央右寄りにかけて略横長三角形状のスリットを形成することにより、前後に長い矢印を想起させる態様であるのに対し、引用意匠は、右に傾斜した略変形台形状で、中央付近に略縦長矩形状の孔を形成し、コンパクトにまとめたものであり、一見して異なる視覚的印象となって、需要者に異なる美感を起こさせるものといえ、また、前カバーは、使用時、大変目立つ部分であって、需要者の注意を強く引くものであるから、この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

(相違点2)は、後カバーについての相違点であるが、背面視において、本願意匠は、全体が排気管に沿って緩やかに膨出し、左の斜辺寄りに斜辺に沿って斜めに稜線を形成しているのに対し、引用意匠は、上部中央付近から右の斜辺まで略鉛直面とし、上辺中央付近から左の斜辺まで排気管に沿って緩やかに膨出し、鉛直面との境界線に斜めに境界線を形成しているものであり、一見して異なる視覚的印象となって、需要者に異なる美感を起こさせるものといえ、また、後ろカバーも、使用時、大変目立つ部分であり、需要者の注意を強く引くものであるから、この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

(相違点3)は、シート等についての相違点であるが、本願意匠は、背面視シートの下辺が水平にカットされ、シート全体を略逆台形状に形成しているのに対し、引用意匠は、シート全体が逆三角形で底部を尖らせて形成しているものであって、この種物品において最も観察されやすい部位であるところ、視覚的印象が明らかに相違しており、需要者に強く異なる美感をもたらしているといえ、この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

(相違点4)は前カバーと後カバーの配置についての相違点であるが、本願意匠は、前カバーと後カバーが斜めの辺によって接し、一体的であるのに対し、引用意匠は、前カバーと後カバーが角部で接し、それぞれを個別で形成しており、一見して需要者に異なる印象を与えるものであるから、この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

(相違点5)は模様及び色彩についての相違点であるが、本願意匠は、全体が明暗調子で配色され、落ち着いた印象を与えているのに対し、引用意匠は、白色、青色、黒色の複数の模様や色彩及びそのコントラストにより、スポーティな印象を与えるものであって、需要者に異なる美感をもたらしているといえ、この相違点が両意匠の類否判断に一定程度影響を与えるものといえる。

3 形状等の類否判断

両意匠における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点(共通点1)ないし(共通点6)が両意匠の類否判断に与える影響はいずれも小さいのに対して、(相違点1)ないし(相違点4)が両意匠の類否判断に与える影響は大きく、(相違点5)が両意匠の類否判断に一定程度影響を与えるものである。

したがって、両意匠の形状等を総合的に観察した場合、共通点に比べて、相違点がもたらす影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。

4 小括

上記のとおり、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、形状等において、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として観察した場合、両意匠は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲




審決日 2022-11-01 
出願番号 2021001928 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 渡邉 久美
外山 雅暁
登録日 2022-11-24 
登録番号 1731200 
代理人 梅澤 修 
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