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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3 |
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管理番号 | 1394041 |
総通号数 | 14 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-06-28 |
確定日 | 2023-01-19 |
意匠に係る物品 | 一人用サウナ室の内装 |
事件の表示 | 意願2021− 11582「一人用サウナ室の内装」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和3年(2021年)5月31日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。 令和 4年(2022年) 1月24日付け 拒絶理由通知書 同年 3月 7日 意見書の提出 同年 3月23日付け 拒絶査定 同年 6月28日 審判請求書の提出 第2 本願の意匠 本願は、店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾(以下「店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾」を「内装」という。)を構成する物品及び建築物の意匠(以下「内装意匠」という。)について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の内装意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書の意匠に係る物品の欄の記載を「一人用サウナ室の内装」とし、その形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定の拒絶の理由及び引用した意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において公然知られた以下の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠(別紙第2参照) <動画> 表題 【休日ルーティン】完全個室のフィンランド式サウナで昇天する、27歳一人暮らし男の休日の過ごし方【ソロサウナtune】【vlog】 掲載日 2020年12月9日 掲載者 キイロマッキー【サウナチャンネル】 検索日 2022年1月24日 情報の情報源 インターネット 掲載ページのアドレス https://www.youtube.com/watch?v=4nyNLTP9u08 <ウェブページ> 表題 【体験レポート】完全個室のプライベート空間!ソロサウナtuneを徹底解説!|キイロマッキーの今宵も宴のわけなかれ! 掲載日 2020年12月11日 掲載者 キイロマッキー 検索日 2022年 1月24日 情報の情報源 インターネット 掲載ページのアドレス https://kiiromacky.com/solosauna-tune/ 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る内装 本願意匠の意匠に係る内装は「一人用サウナ室の内装」であり、引用意匠の意匠に係る内装も「一人用サウナ室の内装」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る内装は、一致する。 (2)両意匠の形状等 両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。 ア 共通点 (ア)全体 全体は、壁で囲まれた床面を、休憩スペース、シャワースペース及びサウナスペースに仕切り、それぞれのスペースに各種備品を配置し、天井を取り付けたものである点、 (イ)休憩スペース 壁のコーナーに略横長長方形板状の化粧台を配置し、化粧台と正対する壁のやや上に化粧台の横幅の約6割の長さの略長円形薄板状の鏡を取り付け、2枚の壁が直角に接する床面の隅に、背もたれと座面が略矩形状で、その両脇に肘掛けを一体に形成した略倒「コ」字状の脚を取り付けたイージーチェアを配置している点、 (ウ)シャワースペース 全体は、略縦長直方体で、休憩スペースに接する面に透明な扉(開き戸)を取り付け、その内部にシャワーヘッドとシャワーホースを取り付け、奥の壁にシャワーフックを取り付け、天井にオーバーヘッドシャワーを取り付けている点、 (エ)サウナスペース 全体は、略横長直方体で、休憩スペースに接する面の中央上方寄りに透明な円形窓を取り付けた略縦長長方形板状の扉(開き戸)を設け、その内部の奥の壁の真ん中付近に横木を多数連結してなる略横長長方形板状の背もたれを横幅いっぱいに配置し、その下に同じく横木を多数連結してなる略横長長方形板状を左右の壁に密着して水平に取り付けた腰掛けを配置し、腰掛けの前に同じく横木を多数連結してなる略板状の足置き台を配置し、横壁の手前側の隅に腰掛けよりやや背の高い略矩形板状の囲いを鈎状に設けてストーブを配置している点において共通する。 イ 相違点 (ア)全体 平面視において、本願意匠は、縦横の長さの比率を約1:1.4とする略横長長方形の壁の内側に、休憩スペースとサウナスペースを、壁を挟んで左右に約9:5の割合で配置し、休憩スペースの右上隅に休憩スペースの約2割弱の大きさのシャワースペースを配置しているのに対し、引用意匠は、内装全体を俯瞰した図等の開示がないため、各スペースの配置や大きさは不明である点、 (イ)休憩スペース 平面視において、本願意匠は、左上のコーナーに休憩スペースの約0.5割の大きさの化粧台を配置し、左下隅に約1割の大きさのイージーチェアを配置し、正面視において、イージーチェアの直上の天井に略球形の照明を取り付けているのに対し、引用意匠は、休憩スペース全体を俯瞰した図等の開示がないため、各部の配置や大きさは不明である点、 また、引用意匠は、化粧台横の壁に扉(引き戸)、イージーチェアの横の壁にタオルホルダー、反対側にレース地の間仕切りをそれぞれ取り付けているのに対し、本願意匠は、扉、タオルホルダー及び間仕切りは取り付けていない点、 (ウ)シャワースペース 本願意匠は、シャワーフックを奥の壁の真ん中付近に1つ取り付けているのに対し、引用意匠は、奥の壁の真ん中やや左寄りと右の壁のやや高い位置に1つずつ取り付け、また、引用意匠は、右の壁の下寄りにボトルホルダーを取り付けているのに対し、本願意匠は、ボトルホルダーは取り付けていない点、 (エ)サウナスペース 本願意匠は、扉側から内部を見て、ストーブを左側に配置し、足置き台を右側に配置しているのに対し、引用意匠は、本願意匠とは逆の位置に配置している点において相違する。 2 類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る内装 両意匠の意匠に係る内装は、同一である。 (2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価 両意匠の需要者は、当該サウナ室の利用者のほか、サウナ室の施工業者や内装業者が含まれる。 したがって、まず、サウナ室の全体構成について評価し、かつそれ以外の形状等も併せて、各部を総合して意匠全体として形状等を評価することとする。 ア 両意匠の形状等の共通点の評価 共通点(ア)について、サウナ室の構成態様として、休憩スペース、シャワースペース及びサウナスペースは、利用者にとって必要不可欠なスペースであるから、これらの各スペースを備えるサウナ室の内装は、格別、需要者の注意を引くものではないが、一人用サウナ室として見たとき、壁で囲んだコンパクトな室内を、上述の各スペースに仕切り、共通点(イ)ないし共通点(エ)のとおり、各スペースに応じて備品を配置したものは、両意匠に共通する特徴といえるから、需要者が注意を払うものといえ、これらの共通点は、両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものといえる。 イ 両意匠の形状等の相違点の評価 相違点(ア)について、本願意匠は、天井を省略して俯瞰した図により、全体における各スペースの配置態様及び各部の長さ等の比率を具体的に表しているのに対し、引用意匠は、内装全体を俯瞰した図等の開示がないため、いずれも不明であり、需要者が最も注意を払うサウナ室の全体構成において、本願意匠と対比、検討することができないから、相違点(ア)が、両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。 相違点(イ)について、両意匠のイージーチェアは、前記共通点(イ)のとおり、その形状は共通するものの、引用意匠は、イージーチェアの配置において、不明であり、また、化粧台及び鏡についても、形状は、概ね一致するものの、その配置については不明であり、さらに、天井の開示がないため、照明の形状や配置も不明であることから、いずれも、本願意匠と対比、検討することができず、相違点(イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 一方、化粧台横の扉、タオルホルダー及び間仕切りの有無については、扉と間仕切りは、一部のみが現れているのみで全体が不明であり、また、タオルホルダーは、イージーチェアの脇で格別目立たないものであるから、いずれも、微弱な相違にとどまるものであって、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 相違点(ウ)及び相違点(エ)について、スペース内部における備品の僅かな変更であるから、いずれも、特段、需要者の注意を引くものとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 ウ 両意匠の形状等の評価 以上のとおり、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は、一定程度にとどまるものであるのに対し、相違点(イ)のうち、扉、タオルホルダー及び間仕切りの有無、相違点(ウ)及び相違点(エ)は、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものであるが、相違点(ア)及び相違点(イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きく、とりわけ相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きいことから、相違点全体が相まって両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。 3 小括 したがって、両意匠は、意匠に係る内装は同一で、形状等においても、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両意匠は、視覚的印象を異にするというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-01-05 |
出願番号 | 2021011582 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L3)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
内藤 弘樹 石坂 陽子 |
登録日 | 2023-01-24 |
登録番号 | 1735885 |
代理人 | 原田 雅章 |