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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K8 |
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管理番号 | 1394049 |
総通号数 | 14 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-02-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-08-29 |
確定日 | 2023-02-06 |
意匠に係る物品 | 送風機のガード |
事件の表示 | 意願2021− 5710「送風機のガード」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 令和3年(2021年) 3月19日 意匠登録出願 同年 12月27日付け 拒絶理由通知書 令和4年(2022年) 2月17日 意見書提出 同年 6月24日付け 拒絶査定 同年 8月29日 審判請求書提出 同年 11月16日付け 審尋 同年 12月 1日 回答書提出 第2 本願の意匠 本願は、令和3年3月19日の意匠登録出願(意願2021−5710)であって、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「送風機のガード」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠 原審における令和3年12月27日付けの拒絶の理由は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。 引用意匠(別紙第2参照) 電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2019年11月21日 受入日 特許庁意匠課受入2019年12月13日 掲載者 株式会社ジャロック 表題 ベントクール | 製品情報|株式会社ジャロック|取扱商品一覧。お探しの製品を簡単絞込み機能搭載! 掲載ページのアドレス https://www.jaroc.com/products/vento_cool/ に掲載された「冷風機」の意匠に表された「ファンガード」の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ31047396号) 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は「送風機のガード」であるのに対し、引用意匠は「ファンガード」であって、表記は異なるが、工場などで、風を送る目的で用いられる業務用の送風機において、身体や衣服の巻き込み防止や、駆動部と異物が接触することを防止することを主な目的として、正面側に取り付けられる「送風機のガード」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。 (2)両意匠の形状等 両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。なお、引用意匠の認定に際しては、本願意匠と同じ向きとして、認定する。 ア 共通点 両意匠は、正面視において、径の異なる細い略円環状の骨材を、同心円状に等間隔に複数本配置して略円盤状とし(以下「円環状骨材」という。)、その中心に略円形の小さな空隙を形成し、円環状骨材の外縁まで、細い直線状の骨材(以下「直線状骨材」という。)を、垂直方向からやや右に傾けた位置を基点に等角放射状に12本配置したものである点において、共通する。 イ 相違点 (ア)円環状骨材 a 本願意匠は、38本の骨材からなるものであるのに対し、引用意匠の骨材の本数は不明である点、 b 本願意匠は、円環状骨材の上下左右の略おうぎ形のエリアに、凹凸加工を施すことによりできた、多数の放物線を細かく重ねたような模様を施しているのに対し、引用意匠は、そのような模様は、施していない点、 c 引用意匠は、中心の空隙に略円板状のプレートを取り付けているのに対し、本願意匠は取り付けていない点、 (イ)直線状骨材 a 本願意匠は、円環状骨材の背面に直線状骨材を取り付け、そのうち、時計回りに2本目と5本目の骨材は、中心の空隙を通って、対称位置の骨材と繋がっており、残余の8本の骨材の内端は、円環状骨材の中心の骨材に連結しているのに対し、引用意匠は、直線状骨材を円環状骨材の正背どちらに取り付けているか不明であり、また、中心の空隙を通っている骨材の有無も不明である点、 b 本願意匠は、上記aの8本の骨材の外端のみ背面側に直角状に屈曲しているのに対して、引用意匠は、全ての骨材が屈曲している点において、相違する。 2 類否判断 以上の共通点及び相違点が、両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 そして、以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、同一である。 (2)両意匠の形状との共通点及び相違点の評価 ア 共通点の評価 共通点は、正面の大部分を占めて配置されており、両意匠の特徴を最も示し、需要者が注目する人体や異物が機器に接触することを妨げることに関わる全体の形状の基本的構成態様に係り、その基調を構成するものであるから、他に格別の特徴がない場合においては、これらの共通点が、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 イ 相違点の評価 相違点(ア)a及び相違点(イ)aは、詳細に観察することで違いに気がつく程度の相違であるうえ、一部の直線状骨材のみを、中央で直交させることは、当該物品分野において一般に見られる態様であるから(例えば、意匠登録第1665367号の工場・イベント会場用気化熱式の冷風機の意匠。参考意匠1、別紙第3参照。)、微弱な相違であり、相違点(ア)cも、部分的な微細な相違であることから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 一方で、相違点(ア)bは、他に見られない特徴であるうえに、正面及び背面の全体にわたって施しているため、目立つものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は、極めて大きい。 また、相違点(イ)bは、正面側に比して需要者の注意を引かない背面側の、全体においてわずかな部分における相違であるうえ、当該物品分野において、全ての直線状骨材に折れ曲がり部を設けることも(例えば、平成5年特許出願公開第296495号の図2に表されたファンガードの意匠。参考意匠2、別紙第4参照。)、全ての直線状骨材に折れ曲がり部を設けることも(例えば、昭和62年実用新案出願公開第179528号の第4図に表されたファンガードの意匠。参考意匠3、別紙第5参照。)、一般に見られる態様であることから、微弱な相違であり、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。 ウ 形状等の類否判断 両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点は、両意匠の類否判断に与える影響が相当程度あるものの、相違点は、それを凌駕する程に、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。 したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。 (3)小括 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が同一であるが、形状等においては、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両意匠は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-01-25 |
出願番号 | 2021005710 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K8)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
石坂 陽子 渡邉 久美 |
登録日 | 2023-02-08 |
登録番号 | 1737008 |
代理人 | 竹中 一宣 |
代理人 | 木村 満 |
代理人 | 榊原 靖 |