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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1396369 
総通号数 16 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-11-10 
確定日 2023-04-12 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2021−17784「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、令和3年(2021年)8月18日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。

令和 3年 8月20日 :新規性の喪失の例外証明書提出書の提出
令和 4年 3月25日付け :拒絶理由の通知
5月 9日 :意見書の提出
5月10日 :手続補足書の提出
8月 3日付け :拒絶査定
11月10日 :審判請求書の提出
11月11日 :手続補足書の提出
令和 5年 2月16日 :手続補正書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「包装用容器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」ともいう。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって、拒絶の理由で引用された意匠(以下「引用意匠」といい、本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
掲載者: 株式会社 朝日新聞社
表題: PeLuLu×telling、 早めの予防が吉!手軽にそろえられる「風邪対策アイテム」をチェック!
媒体のタイプ: [online]
掲載年月日: 2019年1月4日
検索日: 2022年3月24日検索
情報の情報源: インターネット
情報のアドレスURL:https://telling.asahi.com/article/12037501
に掲載されたノズル及びキャップを除く包装用容器本体の意匠

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は、上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると、以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」である。

(2)本願意匠の形状等
〔A1〕本願意匠は、雄ネジを形成した口部を、上端に設けた本体部から成っている。
〔A2〕本体部は、水滴型の上端と下端を水平面で切ったような形状である。
〔A3〕本体部は、口部の下端に接している上端の肩部と、その下の胴部から成っている。
〔A4〕本体部の縦長さ(高さ)を100とすると、本体部の最大直径は、約73である。
〔A5〕本体部が最大直径になる高さ位置は、下から3分の1弱の位置である。
〔A6〕肩部の角は、やや大きめのR「角丸」となっている。
〔A7〕肩部は、本の僅かに裾広がりである。
〔A8〕肩部の下半分は、へこみRとなっており、それから胴部につながっている。
〔A9〕肩部の縦長さは、本体部の縦長さの約10分の1である。
〔A10〕底面には、ごく僅かな高さの細い円弧状の脚を3か所設けている。
〔A11〕本願意匠は、全体が透明である。

2.引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は、ノズル及びキャップを除く「包装用容器本体」である。

(2)引用意匠の形状等
〔B1〕上記第3に記載の情報のアドレスに掲載された意匠は、本体部の上方にノズル及びキャップを搭載していることから、引用意匠は、雄ネジを形成した口部を、上端に設けた本体部から成っていると推認することができる。
〔B2〕本体部は、水滴型の上端と下端を水平面で切ったような形状である。
〔B3〕本体部は、口部の下端に接している上端の肩部と、その下の胴部から成っている。
〔B4〕本体部の縦長さ(高さ)を100とすると、本体部の最大直径は、約77である。
〔B5〕本体部が最大直径になる高さ位置は、下から3分の1強の位置である。
〔B6〕肩部の角は、とても小さいR「角丸」となっている。
〔B7〕肩部は、垂直である。
〔B8〕肩部は、下端で屈曲(谷折り)して胴部につながっている。
〔B9〕肩部の縦長さは、ごく僅かである。
〔B10〕底面には、脚を設けていない。
〔B11〕引用意匠は、全体が水色半透明である。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「包装用容器」であり、引用意匠に係る物品は、ノズル及びキャップを除く「包装用容器本体」である。

(2)両意匠の形状等の対比
両意匠の形状を対比すると、以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
〔共通点1〕雄ネジを形成した口部を、上端に設けた本体部から成っている。(A1とB1)
〔共通点2〕本体部は、水滴型の上端と下端を水平面で切ったような形状である。(A2とB2)
〔共通点3〕本体部は、口部の下端に接している上端の肩部と、その下の胴部から成っている。(A3とB3)
〔共通点4〕本体部の縦長さ(高さ)を100とすると、本体部の最大直径は、75前後である。(A4とB4)
〔共通点5〕本体部が最大直径になる高さ位置は、下から約3分の1の位置である。(A5とB5)

イ.相違点について
〔相違点1〕本体部の縦長さ(高さ)を100としたときの本体部の最大直径につき、本願意匠は、約73であるのに対して、引用意匠は、約77である。(A4とB4)
〔相違点2〕本体部が最大直径になる高さ位置につき、本願意匠は、下から3分の1弱の位置であるのに対して、引用意匠は、下から3分の1強の位置である。(A5とB5)
〔相違点3〕肩部の角における角丸のRの大きさにつき、本願意匠は、やや大きめのRであるのに対して、引用意匠は、とても小さいRである。(A6とB6)
〔相違点4〕肩部の上方の形状につき、本願意匠は、本の僅かに裾広がりであるのに対して、引用意匠は、垂直である。(A7とB7)
〔相違点5〕肩部の下方の形状(胴部へのつながり形状)につき、本願意匠は、肩部の下半分は、へこみRとなっており、それから胴部につながっているのに対して、引用意匠は、下端で屈曲(谷折り)して胴部につながっている。(A8とB8)
〔相違点6〕本体部の縦長さに対する肩部の縦長さにつき、本願意匠は、約10分の1であるのに対して、引用意匠は、ごく僅かである。(A9とB9)
〔相違点7〕底面の脚につき、本願意匠は、ごく僅かな高さの細い円弧状の脚を3か所設けているのに対して、引用意匠は、脚を設けていない。(A10とB10)
〔相違点8〕全体につき、本願意匠は、透明であるのに対して、引用意匠は、水色半透明である。(A11とB11)

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠に係る物品は「包装用容器」であって、ノズル式ポンプを装着して使用するものであるところ、本願意匠は、そのノズルやキャップを設けていない状態の、被包装物(消毒液などの液体状の商品)を入れておく器部分である。
対して、引用意匠に係る物品は、ノズル及びキャップを除く「包装用容器本体」であって、被包装物を入れておく器部分である。
そうすると、本願意匠と引用意匠は、表記が異なるが、共に被包装物を入れておく器部分であるから、両意匠の意匠に係る物品は共通する(以下、共に「包装用容器」という。)。

(2)両意匠における形状の評価
ア.共通点について
共通点1については、この種物品分野においては、本願意匠の出願前から数多く存在し、両意匠のみの特徴とはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
共通点1ないし5によって、一見大まかには共通感を生み出している。
しかし、共通点4には、詳細には相違点1の相違を内包しており、両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。
そして、共通点5には、詳細には相違点2の相違を内包しており、両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。

イ.相違点について
相違点1の相違は小さいが、相違点2と相まって、引用意匠は、重心位置がやや高く見えることから躍動感(不安定)を感じさせるが、本願意匠は、重心位置がやや低く見えることから安定感を感じさせており、両意匠の類否判断に与える影響は、大きいといえる。
相違点3ないし6については、本願意匠は各部のR半径が大きく、全体的に丸みのある印象を与えるのに対して、引用意匠は、シャープな印象を与えており、両意匠に別異の印象を生じさせているといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は、大きいといえる。
相違点7は、販売陳列時や使用状態において、ほとんど目の触れない部分における相違であるから、両意匠の類否判断に与える影響は小さいといえる。
相違点8については、この種物品分野においては、全体を透明、有色半透明、不透明などとしたり、または無色や各種の色を採用したりして、様々な態様のものが認められるから、両意匠の類否判断に与える影響は小さいといえる。

(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり、共通点は、両意匠の類否判断に与える影響が、小さいまたは限定的なものであり、この共通点によっては、両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して、相違点1ないし6によって、需要者に別異の印象を起こさせるものであるから、両意匠の類否判断を決するものといえる。
そうすると、本願意匠の形状と引用意匠の形状は、類似するとは認められない。

(4)両意匠における類否判断
よって、両意匠は、意匠に係る物品は共通するが、上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから、本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。

5.結び
したがって、本願意匠は、引用意匠に類似せず、原査定の引用意匠をもって、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲






審決日 2023-03-28 
出願番号 2021017784 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
渡邉 久美
登録日 2023-04-19 
登録番号 1743002 
代理人 安部 聡 
代理人 田▲崎▼ 聡 
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