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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 C1 |
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管理番号 | 1396371 |
総通号数 | 16 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-11-25 |
確定日 | 2023-04-10 |
意匠に係る物品 | クッション材 |
事件の表示 | 意願2022−3003「クッション材」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の主な経緯 本願は、令和4年(2022年)2月17日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。 令和 4年 5月26日付け :拒絶理由の通知 7月 8日 :手続補正書及び意見書の提出 8月25日付け :拒絶査定 11月25日 :審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「クッション材」とし、その形状は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原審の拒絶の理由 原審における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等(形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合)又は画像に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。 「この意匠登録出願は、意匠に係る物品を「クッション材」とし、中央部分を意匠登録を受けようとする部分として出願されたものですが、クッション材の分野においては、本願出願前より、表面に複数条の凹凸形状を配置した略板状体であって、凹凸形状を配置する方向を平面側と底面側とで異ならせたものが存在しており、普通に知られた手法によるものと認められます(例えば意匠1、意匠2)。 そうすると、本願意匠は、周知形状である長方形板状体に形成したクッション材に、本願出願前より公然知られているクッションの波形の凹凸形状部分(意匠3)を複数条、平面側は短手方向、底面側は長手方向となるようにそれぞれの面で平行に配置し、中央部分を意匠登録を受けようとする部分としたに過ぎませんので、当業者であれば容易に創作できたものです。 意匠1 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1511594号の意匠 (意匠に係る物品、マットレス) 意匠2 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1568699号の意匠 (意匠に係る物品、マットレス) 意匠3 特許庁発行の公開特許公報記載 特開2000−106984 (寝具用クッション材及びその製造方法)図1のクッション材 特に波形の凹凸形状部分」 第4 当審の判断 以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、つまり、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて、検討し、判断する。 なお、「日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等」を、以下「公知形状」ということもある。 1.本願意匠の認定 (1)意匠に係る物品 本願意匠の、意匠に係る物品は「クッション材」である。 (2)本願部分の位置、大きさ及び範囲、並びに用途及び機能 本願意匠に係る物品のうち、意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は、クッション材の長手方向において中央に位置する、全体に対して約6分の1の大きさ及び範囲の部分である。 本願部分は、クッション材の長手方向の中央約6分の1部分の用途及び機能を有するものである。 (3)本願部分の形状 〔形状A〕本願部分の上面は、クッション材の短手方向に、平行に延びる正弦波状の凹凸形状を等間隔に複数条形成している。 〔形状B〕本願部分の下面は、クッション材の長手方向に、平行に延びる正弦波状の凹凸形状を等間隔に複数条形成している。 〔形状C〕上面に形成している正弦波状の凹凸形状と下面に形成している正弦波状の凹凸形状は、同一形状(波長と振幅が同じ)である。 〔形状D〕クッション材の長手方向の、側面部は平坦面であって、上面側にのみ凹凸形状が表れている。 〔形状E〕形状A及び形状Bによって、上面の凸部と下面の凸部が重なる箇所がクッション材の最厚部と成り、上面の凹部と下面の凹部が重なる箇所がクッション材の最薄部と成る。 〔形状F〕形状Cによって、形状Aの凹凸形状の間隔(波長)と形状Bの凹凸形状の間隔(波長)が同一であることとなり、それによって、平面視において、最厚部の斜め45度の方向に最薄部が位置し、平面視において最厚部の上下左右に中間の厚み部が位置し、最厚部が等間隔の格子状に位置し、最薄部が等間隔の格子状に位置する。 〔形状G〕最薄部の厚さを1とした場合、最厚部の厚さは約2である。 2.本願意匠の創作の容易性について (1)出願前の公知形状 本願意匠の出願前に日本国内又は外国において公然知られ、頒布された刊行物に記載され、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった形状等は、以下のとおりである。 ア.意匠1より 〔形状1a〕上面に、クッション材の短手方向に、平行に延びる凹凸形状を複数条形成していること。 〔形状1b〕下面に、クッション材の長手方向に、平行に延びる凹凸形状を複数条形成していること。 〔形状1e〕形状1a及び形状1bによって、上面の凸部と下面の凸部が重なる箇所がクッション材の最厚部と成り、上面の凹部と下面の凹部が重なる箇所がクッション材の最薄部と成ること。 イ.意匠2より 〔形状2a〕上面に、クッション材の短手方向に、平行に延びる凹凸形状を複数条形成している。 ウ.意匠3より 〔形状3a、b〕片面に、平行に延びる正弦波状の凹凸形状を等間隔に複数条形成していること。 〔形状3d〕クッション材の長手方向の、側面部は平坦面であって、片面側にのみ凹凸形状が表れていること。 (2)本願意匠の創作の容易性について ア.意匠1及び意匠3により「上面に、クッション材の短手方向に、平行に延びる凹凸形状を複数条形成していること」(形状1a)と「片面に、平行に延びる正弦波状の凹凸形状を等間隔に複数条形成していること」(形状3a、b)が、本願の出願前に公知形状として存在することから、本願部分の、上面に、クッション材の短手方向に、平行に延びる正弦波状の凹凸形状を等間隔に複数条形成している形状(形状A)は、容易に創作をすることができたものと認められる。 イ.意匠1及び意匠3により「下面に、クッション材の長手方向に、平行に延びる凹凸形状を複数条形成していること」(形状1b)と「片面に、平行に延びる正弦波状の凹凸形状を等間隔に複数条形成していること」(形状3a、b)が、本願の出願前に公知形状として存在することから、本願部分の、下面に、クッション材の長手方向に、平行に延びる正弦波状の凹凸形状を等間隔に複数条形成している形状(形状B)は、容易に創作をすることができたものと認められる。 ウ.意匠3により「クッション材の長手方向の、側面部は平坦面であって、片面側にのみ凹凸形状が表れていること」(形状3d)が、本願の出願前に公知形状として存在することから、本願部分の、クッション材の長手方向の、側面部は平坦面であって、上面側にのみ凹凸形状が表れている形状(形状D)は、容易に創作をすることができたものと認められる。 エ.意匠1により「上面の凸部と下面の凸部が重なる箇所がクッション材の最厚部と成り、上面の凹部と下面の凹部が重なる箇所がクッション材の最薄部と成ること」(形状1e)が、本願の出願前に公知形状として存在することから、本願部分の、上面の凸部と下面の凸部が重なる箇所がクッション材の最厚部と成り、上面の凹部と下面の凹部が重なる箇所がクッション材の最薄部と成る形状(形状E)は、容易に創作をすることができたものと認められる。 オ.よって、本願部分における形状A、B、D及びEは、意匠1ないし3によって、容易に創作をすることができたものと認められる。 カ.しかし、本願部分の形状である、上面に形成している正弦波状の凹凸形状と下面に形成している正弦波状の凹凸形状を同一形状としている点(形状C)、そして、この形状Cによって、平面視において、最厚部の斜め45度の方向に最薄部が位置し、平面視において最厚部の上下左右に中間の厚み部が位置し、最厚部が等間隔の格子状に位置し、最薄部が等間隔の格子状に位置する点(形状F)、加えて、最薄部の厚さを1とした場合に最厚部の厚さが約2となる点(形状G)は、本願の出願前の公知形状には認められないことから、本願部分は、本願の出願前の公知形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたとまではいえない。 3.結び したがって、本願意匠は、原審で示した意匠1ないし3を基にしては、意匠法第3条第2項の規定に該当しないので、原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-03-29 |
出願番号 | 2022003003 |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(C1)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 渡邉 久美 |
登録日 | 2023-04-17 |
登録番号 | 1742772 |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 野村 信三郎 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |