• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 補正却下不服  図面(意匠の説明を含む) 取り消す H7
管理番号 1396373 
総通号数 16 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-04-28 
種別 補正却下不服の審決 
審判請求日 2022-11-10 
確定日 2023-02-14 
意匠に係る物品 電子通信機器用ケース 
事件の表示 意願2022− 2296「電子通信機器用ケース」において、令和4年8月29日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原決定を取り消す。
理由 第1 本願の手続の経緯

本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし、2021年8月6日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、令和4年(2022年)2月7日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。

原審は、令和4年5月27日付けの拒絶理由通知において、本願は、第一国出願の意匠と同一ではないから、第一国出願を基礎とした優先権の主張の効果は認められないとした上で、我が国への出願日より前に公然知られたものである引用の意匠に類似するから、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとした。この拒絶理由に対し、出願人(審判請求人)は、同年8月29日に、意見書とともに、手続補正書を提出し、願書に添付した図面中、参考斜視図を削除し、新たに斜視図3を追加する手続補正を行ったが、この手続補正に対し、同年9月6日付けで、補正の却下の決定がなされたため、同年11月10日に、補正却下決定不服審判請求をしたものである。

第2 本願の意匠

本願意匠は、意匠に係る物品を「電子通信機器用ケース)とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「図において実線で示す部分が、意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙参照)

第3 請求人の主張

審判請求人は、審判請求書において、本願意匠が要旨変更には該当しない理由について、要旨以下の通り主張した。

出願時の【参考斜視図】は必要図としての【斜視図3】の誤記であり、出願時から「背面側のカバーを開いた状態」を含む意匠の登録を受けようとしていたことは以下のとおり明らかである。
まず、出願時の【参考斜視図】と補正後の【斜視図3】とは、表された図面自体は同一である。したがって、参考図であるか必要図であるかという点は置くとしても、出願時から「背面側のカバーを開いた状態」を示す図面は本願に含まれていた。
ここで仮に、出願時に「背面側のカバーを開いた状態」を含まない意匠の登録を受けようとしていたのであれば、当該状態を示す図面を【参考斜視図】として添付しても意匠の認定においてなんら影響を与えることはなく、したがって、当該分野における通常の知識に基づけば、そのような図面を参考図として添付することはしないと考えるのが妥当である。
さらに、本願はパリ条約に基づく優先権を主張しているので、優先権の基礎となる意匠との間で優先権の主張が認められる範囲で同一な意匠を日本で出願しようとしていたことは客観的に明らかである。ここで、上記拒絶理由通知が示すように「背面側のカバーを開いた状態」を【参考斜視図】とすると優先権の基礎となる意匠と同一でなくなってしまうのであるから、当該分野における通常の知識に基づけば、優先権を主張しつつ、その主張が認められないような【参考斜視図】という名称をわざわざ使って当該図面を添付することはしないと考えるのが妥当である。したがって、当該分野における通常の知識に基づけば、当該名称は、同一性を保つことができる必要図としての名称(例えば【斜視図3】)を使うべきところの誤記であったことは明らかである。なお、当該説明は、優先権の基礎となる出願に「背面側のカバーを開いた状態」が記載されているからそれをもって直ちに要旨の変更にあたらないと主張しているのではなく、日本の本願で当該状態の図面を参考図として添付することは客観的に考えにくいことを主張するものである。
以上のとおり、本願は出願時から「背面側のカバーを開いた状態」を含む意匠の登録を受けようとしていたことが認められ、すなわち、出願時の【参考斜視図】という記載は必要図としての名称で記載すべきものの誤記であったと認められるから、【参考斜視図】を【斜視図3】に変更する補正は要旨の変更には当たらない。

第4 当審の判断

本願について、令和4年8月29日の手続補正書による補正(以下「本補正」という。)により、願書の記載及び願書に添付した図面についてした補正が、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨を変更するものであるか否かについて、以下検討する。

1 本願部分の形状等について
本願部分は、正面視略縦長隅丸長方形で、正面側の外縁に沿って細幅帯状の枠を形成し、正面中央で左右に折り畳むことができるものである。また、出願当初において、平面図、底面図、右側面図及び斜視図2から、本願部分は、背面側の左側の面が、正背に重なった2枚のプレートからなり、外側のプレートが、本願部分の背面中央を縦軸に外側に開閉可能に取り付けたものであることが推認できる。

2 本補正について
本補正は、願書に添付した図面のうち、参考斜視図を削除し、新たに、斜視図3として、本願部分の背面側に開閉可能に重ねて取り付けたプレートが開いた状態を表した図を追加したものである。

3 本補正が出願当初の要旨を変更するものであるか否か
本補正により追加された斜視図3は、前記2のとおり、本願部分の背面側に開閉可能に重ねて取り付けたプレートが開いた状態を表した図であるところ、前記1のとおり、斜視図3は、この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲を超えるものではなく、また、本補正の内容は、本願意匠の要旨の認定に大きく影響を与えるものでもないから、本補正は、意匠の要旨を変更しないというべきである。

第5 むすび

以上のとおり、本補正の内容は、本願意匠の要旨の認定に大きく影響を与えるものではないことから、本補正は、意匠の要旨を変更しないというべきものであり、意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものとすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲


審決日 2023-01-31 
出願番号 2022002296 
審決分類 D 1 7・ 1- W (H7)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 内藤 弘樹
石坂 陽子
登録日 2023-03-14 
登録番号 1739684 
代理人 弁理士法人RYUKA国際特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ