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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 A1
管理番号 1397261 
総通号数 17 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-12-09 
確定日 2023-04-04 
意匠に係る物品 錠菓 
事件の表示 意願2022− 4115「錠菓」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
第1 主な手続の経緯

令和4年(2022年) 3月 1日 意匠登録出願
同年 6月28日付け 拒絶理由通知書
同年 8月10日 意見書
同年 9月28日付け 拒絶査定
同年 12月 9日 審判請求書提出

第2 本願の意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「錠菓」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、意匠登録を受けることができないとしたものであって、当該拒絶の理由に引用された意匠は、下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1232208号
(意匠に係る物品、錠菓)の意匠

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は「錠菓」であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。

(2)両意匠の形状等
両意匠の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、引用意匠の認定に際しては、本願意匠と同じ向きとして認定して記載する。

ア 共通点
全体の外形は、略円形厚板の中心に孔を形成して、その径に沿って右側全体を水平に切欠き(以下「切欠部」という。)、その上下の腕(以下「腕部」という。)の先端を弧状に形成したものである点において共通する。

イ 相違点
(ア)切欠部の長さについて、
正面視において、本願意匠は、直径に対する切欠部の長さ(奥行き)の比率が、約1:0.43であるのに対して、引用意匠は、約1:0.54で、本願意匠の方が、引用意匠より奥行きが短い点、

(イ)腕部の形状について、
本願意匠の腕部は、略等幅であるのに対して、引用意匠の腕部は、先窄まり状である点において、相違する。

類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響の評価に基づき、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両意匠の形状等の共通点及び相違点の評価
ア 共通点の評価
共通点は、意匠全体の形状を、概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

イ 相違点の評価
相違点(ア)は、本願意匠が、小さくまとまった寸足らずな印象を与えるのに対して、引用意匠は腕部を長くしたものであって、両意匠は、一見して異なる視覚的印象となって、需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

また、相違点(イ)は、相違点(ア)の特徴を補強して、本願意匠の小さくまとまった寸足らずの印象を強調するのに対して、引用意匠は、より円板に近く、相違点(ア)と相まって、略円形厚板の印象を想起させるものであって、両意匠は、一見して異なる視覚的印象となって、需要者に異なる美感を起こさせるものといえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

ウ 形状等の類否判断
両意匠の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し判断した場合、共通点は、両意匠の類否判断に与える影響は小さいのに対し、相違点は、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
したがって、両意匠の形状等を全体として総合的に観察した場合、両意匠の形状等は、共通点に比べて、相違点が両意匠の類否判断に与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形状等は類似しない。

(3)小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が同一であるが、形状等においては、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両意匠は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲


審決日 2023-03-22 
出願番号 2022004115 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (A1)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 渡邉 久美
石坂 陽子
登録日 2023-05-01 
登録番号 1743941 
代理人 弁理士法人矢野内外国特許事務所 

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