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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D5
管理番号 1398334 
総通号数 18 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-05-31 
確定日 2023-06-06 
意匠に係る物品 取付用便器 
事件の表示 意願2021− 15276「取付用便器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
令和 3年(2021年) 7月14日 意匠登録出願
令和 3年(2021年)10月28日付け 拒絶理由通知書
令和 3年(2021年)12月10日 意見書提出
令和 4年(2022年) 2月22日付け 拒絶査定
令和 4年(2022年) 5月31日 審判請求書提出

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和3年(2021年)7月14日の意匠登録出願(意願2021−15276)であって、その意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「取付用便器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)は、願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであって、「各図面の表面部全面に表された濃淡は、いずれも立体表面の形状を特定するためのものである。赤色で着色を施した部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下、本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」といい、本願意匠と合わせて「両意匠」という。)は、
「中華人民共和国意匠公報 2012年 1月11日12−02号
便器(公開番号CN301796020S)の意匠の本願意匠に相当する部分
(特許庁意匠課公知資料番号第HH24000429号)」(以下、引用意匠の本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分を「引用部分」という。)(別紙第2参照)。

第4 対比
両意匠の対比に当たって、本願意匠の図面の向きに引用意匠の図面の向きを合わせて認定する。
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、「取付用便器」であるのに対し、引用意匠の意匠に係る物品は、「便器」であって、表記は異なるが、共に、便所に取り付けて使用する便器であるから、意匠に係る物品は、一致する。

2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分は、取付用便器の後方に設けられた水洗用タンクの上方に取り付けられた手洗いボウル部の背面寄り中央の縁部のうち、吐水部の基部を含むその左右に亘る上端面を長手方向にごく細幅に区画した部分であって、引用部分は、水洗用タンクの上方に取り付けられた手洗いボウル部の背面寄り中央の縁部の上端面を長手方向にごく細幅に区画した部分であるが、その用途及び機能は、いずれも、手を洗う際の水を受けるための手洗いボウル部の縁部の背面寄り中央の上端面であるから、本願部分と引用部分(以下「両部分」という)の用途及び機能は、おおむね共通する。

3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分の位置は、取付用便器の後方に設けられた水洗用タンクの上面に設けられた手洗いボウル部の背面寄りの中央上端面周辺という点でおおむね一致し、大きさ及び範囲も、両部分は取付用便器の後方に設けられた水洗用タンクの横幅に対し、長手方向が約1/4長さのごく細幅の紐状の上端面であるから、おおむね一致する。

4 両部分の形状等の対比
両部分の形状等を対比すると、主として、以下の共通点と差異点が認められる。
(1)共通点
基本的構成態様として、
(A)平面視、手洗いボウル部の背面寄りの中央上端面周辺のごく細幅の紐状面である点が共通し、
具体的態様として、
(B)手洗いボウル部の縁部は側面視で僅かに丸みを帯びている点が共通する。
(2)相違点
具体的態様として、
(a)本願部分は、平図視及び「平面図の吐水部を拡大した図」において、後方に向けて、略直線状のごく細幅の紐状面であるのに対し、引用部分は、後方に向けて緩やかに湾曲しているごく細幅の紐状面である点、
(b)本願部分は、背面視及び吐水部の「上面を斜め後方より拡大した図」において、水洗用タンク背面孔部嵌合線の直上に区画した、正背面視で、略直線状の紐状面であるのに対し、引用部分は、背面視で、なめらかに形成された水洗用タンク上面の手洗いボウル部の縁部であって、正背面視で、上方に向けて緩やかに湾曲した紐状面である点が相違する。

第5 類否判断
以上の一致点、共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

1 意匠に係る物品の評価
前記、第4の1のとおり、両意匠の意匠に係る物品は、一致するから同一である。

2 用途及び機能の評価
両部分は、いずれも、手を洗う際の水を受けるための手洗いボウル部の縁部の背面寄り中央の上端面であるから、用途及び機能は、おおむね共通する。

3 位置、大きさ及び範囲の評価
両部分は、位置、大きさ及び範囲がおおむね一致するから同一であるといえる。

4 両部分の形状等の評価
(1)形状等の共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(A)は、概括的共通点にとどまり、共通点(B)は、「取付用便器」の物品分野において、手洗いボウル部の縁部が側面視で僅かに丸みを帯びている点も格段珍しいものではなく、この点が両部分の類否判断に与える影響は小さいものである。
したがって、共通点(A)及び(B)の両部分の類否判断に及ぼす影響は、総じて小さく、共通点全体であいまっても、両部分の類否判断を決定付けるとはいえないものである。
(2)形状等の相違点の評価
これに対して、取付用便器の後方に設けられた水洗用タンクの上面に設けられた手洗いボウル部は、手洗い時には需要者の目につくところであるが、手洗いボウル部の背面寄りの中央上端面周辺の相違点(a)は、本願部分が、平図視で、略直線状の紐状面であるのに対し、引用部分は緩やかに湾曲している紐状面である点であって、相違点(b)は、本願部分が、水洗用タンク背面孔部嵌合線の直上に区画した略直線状のものであるのに対し、引用部分は、背面視で、なめらかに形成された水洗用タンク上面の手洗いボウル部の縁部であって、上方に向けて緩やかに湾曲したものである点であるが、これらの相違点は、一見して看取出来る相違であり、両部分の視覚的印象を異にし、両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
(3)形状等の総合評価
そうすると、相違点(a)及び相違点(b)は、両部分の類否判断に与える影響が大きく、相違点の両部分の類否判断に及ぼす影響は、総じて大きいものであるのに対して、形状等の共通点(A)及び共通点(B)は、共通点の両部分の類否判断に与える影響は総じても小さいものであって、相違点が共通点を凌駕し、両部分の形状等の類否判断を決定付けるものであるから、両部分は類似しない。

5 小括
したがって、両意匠の意匠に係る物品は同一であり、両部分は、その位置、大きさ及び範囲が同一といえるものであって、用途及び機能も共通するものの、形状等においては、両部分は類似せず、両部分の類否判断を決定付けるものであるから、本願意匠は引用意匠に類似しない。

第6 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。


別掲




審決日 2023-05-15 
出願番号 2021015276 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D5)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2023-06-08 
登録番号 1746468 
代理人 瓜本 忠夫 
代理人 星野 寛明 
代理人 正林 真之 
代理人 芝 哲央 
代理人 岩池 満 
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