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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3 |
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管理番号 | 1398339 |
総通号数 | 18 |
発行国 | JP |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2023-06-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-09-22 |
確定日 | 2023-06-01 |
意匠に係る物品 | 天井吊り下げ灯 |
事件の表示 | 意願2021− 11806「天井吊り下げ灯」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 主な手続の経緯 令和3年(2021年) 6月 2日 意匠登録出願 同年 6月21日付け 新規性喪失例外証明書提出書 同年 12月23日付け 拒絶理由通知書 令和4年(2022年) 2月 3日 意見書 同年 8月12日付け 拒絶査定 同年 9月22日 審判請求書 第2 本願意匠 本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和3年(2021年)6月2日の意匠登録出願であって、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「天井吊り下げ灯」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「点線で記載された部分以外が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、 (引用意匠) 著者の氏名 Internet Archive (元のページの著作者は「LITECONTROL」) 表題 Product selection Guide 掲載箇所 添付資料の5/5ページにおいて「引用意匠」と記した箇所 (2/5ページに示した電子カタログの16/134ページ)媒体のタイプ [online] 掲載年月日 2015年7月7日 検索日 2021月12月22日 情報の情報源 インターネット 情報のアドレス https://web.archive.org/web/20150707055525/http://pdf.archiexpo.com:80/pdf/litecontrol/product-selection-guide/94132-239593.html に掲載された天井吊り下げ灯の意匠のうち、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠(別紙第2参照) 第4 当審の判断 1 本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の対比に当たって、本願意匠の図面の向きに引用意匠の向きを合わせて認定する。 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は、「天井吊り下げ灯」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「天井吊り下げ灯」であって、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。 (2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比 本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は、いずれも、天井側を照らす天井吊り下げ灯の照明機構を収納し、天井などに吊るための外殻部であるから、両部分の用途及び機能は、一致する。 (3)本願部分と引用部分の位置、大きさ及び範囲の対比 両部分は、いずれも、天井吊り下げ灯全体の上面及び内部を除いた外周面のすべての部分であるから、おおむね、位置、大きさ及び範囲は共通する。 (4)両部分の形状等の対比 両部分の形状等を対比すると、主として、以下の共通点と差異点が認められる。 (4−1)共通点 基本的構成態様として、 (A)全体は、正面視で左右方向に長い、左右の端が閉じた略丸溝の樋状である点。 具体的態様として、 (B)正面から底面を経て背面に亘る外周面(以下「長手方向外周面」という。)は、底面側が下に向けて湾曲した略浅い弧状面を形成し、左右側面側の外周面(以下「短手方向外周面」という。)は側面視で略鉛直状に形成した略逆かまぼこ形の平坦面である点。 (4−2)相違点 具体的態様として、 (a)本願部分の縦横奥行きの長さ比は、約1:29:3であるのに対し、引用部分は斜め下方からの図(写真)であるから、具体的な縦横奥行きの長さ比は不明である点。 (b)底面視の態様について、本願部分は、左右両端寄りに外周に沿った縦方向の線が表れているに対して、引用部分はそのような線は見受けられない点。 (c)側面視の態様について、本願部分は、長手方向外周面を構成する湾曲材の内側に、短手方向外周面を構成する平坦面材が設けられ、側面視で長手方向外周面寄りに外周面に沿った弧状線が表れているのに対して、引用部分は、湾曲材への平坦面材の設置態様は不明で、側面視で外周面寄りに弧状線も見受けられない点。 2 類否判断 以上の一致点、共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。 (1)意匠に係る物品 前記、1(1)のとおり、両意匠の意匠に係る物品は、「天井吊り下げ灯」であって、一致するから同一である。 (2)用途及び機能 両部分の用途および機能は一致するものであるから、同一である。 (3)位置、大きさ及び範囲の評価 両部分は、位置、大きさ及び範囲が、おおむね共通するから同一であるといえる。 (4)両部分の形状等の評価 (4−1)共通点の評価 基本的構成態様としてあげた共通点(A)は、両部分の形状等を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから、この点が両部分の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできず、共通点(B)も天井吊り下げ灯の物品分野でよく見られる態様であるから、これらの共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さく、両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。 (4−2)相違点の評価 これに対して、両意匠の具体的態様に係る各相違点は、相違点(a)については、全体のプロポーションに関わる相違であって、類否判断に及ぼす影響は大きく、相違点(b)については、主に下側から観察される天井吊り下げ灯において、部分的であるが、看取出来る相違といえ、相違点(c)についても、本願部分の具体的態様を示し、平坦面材の存在を印象づけるものであるから、細部ながら、両部分の類否判断に与える影響は一定程度あるものである。 そして、相違点(a)が類否判断に与える影響は大きく、相違点(b)及び相違点(c)については類否判断に一定程度の影響を与えるものであって、それら相違点(a)ないし相違点(c)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両部分を別異のものと印象づけるものであるから本願部分が引用部分に類似するということはできない。 (5)小括 したがって、両意匠は、意匠に係る物品並びに両部分の用途及び機能は同一であり、両部分の位置、大きさ、範囲も同一であるといえるが、形状等においては、意匠全体として別異のものと印象づけ、両部分は類似しないものであって、これは、両部分の類否判断を決定付けるものであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2023-05-15 |
出願番号 | 2021011806 |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D3)
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最終処分 | 01 成立 |
特許庁審判長 |
内藤 弘樹 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 江塚 尚弘 |
登録日 | 2023-06-12 |
登録番号 | 1746705 |