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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3
管理番号 1399449 
総通号数 19 
発行国 JP 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2023-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-10-05 
確定日 2023-06-20 
意匠に係る物品 天井直付け灯 
事件の表示 意願2021− 11047「天井直付け灯」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 主な手続の経緯
令和3年(2021年) 5月25日 意匠登録出願
令和4年(2022年) 4月 1日付け 拒絶理由通知書
同年 5月13日 意見書
同年 6月29日付け 拒絶査定
同年 10月 5日 審判請求書

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和3年(2021年)5月25日の意匠登録出願であって、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「天井直付け灯」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は、
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2017年 6月16日に受け入れた
新製品のご案内 2017年3月発売 LED非常用照明器具
第1頁所載
非常用照明器具の意匠のうち、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC29007394号)(別紙第2参照)

第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の対比に当たって、本願意匠の図面の向きに引用意匠の向きを合わせて認定する。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「天井直付け灯」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「非常用照明器具」であって、両意匠の意匠に係る物品の表記は、相違するが、共に天井に直に設けて非常時に点灯する照明器具であるからおおむね一致する。
(2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、共に、操作部等を除く天井直付け灯の本体部及び発光部分であって、両部分の用途及び機能は、いずれも、天井に設置して室内を照らすために用いるものであるから、両部分の用途及び機能は、一致する。
(3)本願部分と引用部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分は、いずれも、天井直付け灯全体の底面の操作部を除いた外周面のすべての部分であるから、位置、大きさ及び範囲は一致する。
(4)両部分の形状等の対比
両部分の形状等を対比すると、主として、以下の共通点と差異点が認められる。
(4−1)共通点
基本的構成態様として、
(A)全体は、略逆円錐台状の本体部とその底面に設けられた略ドーム状の突出した発光部から成る点。
具体的態様として、
(B)本体部は、横幅に比肩する程度に突き出た略逆円錐台状でその底面から僅かに段状に盛り上がった円形の基台部の中心に透明なカバーを有する発光部が形成されている点。
(4−2)相違点
具体的態様として、
(a)本願部分の縦横奥行きの長さ比は、正面図視で約1:1.15:1.15であって、その外周面は、水平方向に対し中心に向けて裾すぼまりに約87度傾斜しているのに対し、引用部分は斜め下方からの図(写真)であるから、具体的な縦横奥行きの長さ比及び外周面の傾斜角度は不明である点。
(b)底面の態様について、本願部分の発光部は、底面視で下方向に、奥行き幅(底面視での縦方向長さ)の約1/9ほど中央から偏心した位置に配したものであるのに対し、引用部分は底面視略中央に配したものである点。
(c)平面の態様について、本願部分は、取付部、配線用孔部及び機器上側の態様などが表れているのに対し、引用意匠は設置状態で斜め下からの図(写真)であるから平面の態様は不明である点。

類否判断
以上の一致点、共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
前記、1(1)のとおり、両意匠の意匠に係る物品は、おおむね一致するから同一であるといえる。
(2)用途及び機能
両部分の用途及び機能は一致するものであるから、同一である。
(3)位置、大きさ及び範囲の評価
両部分は、位置、大きさ及び範囲が、一致するものであるから、同一である。
(4)両部分の形状等の評価
(4−1)共通点の評価
まず、基本的構成態様としてあげた共通点(A)は、両部分の形状等を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから、この点が両部分の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできず、次に、共通点(B)も、天井直付け灯の物品分野で既に見られる態様であるから、これらの共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さく、両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
(4−2)相違点の評価
これに対して、両意匠の具体的態様に係る各相違点は、まず、相違点(b)については、主に下側から観察される天井直付け灯において、一見して看取出来る相違といえ、発光部が中央に配置された引用部分と中央から偏心した本願部分では、視覚的印象を大きく異にするものであるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。次に、相違点(a)及び相違点(c)については、縦横奥行きの長さ比及び外周面の傾斜角度は、全体のプロポーションに関わる相違であり、平面側の態様は、設置時には見ることが出来るものであるが、両部分共に本体部が横幅に比肩する程度に突き出た略逆円錐台状であり、平面側は、使用時に見えない取付け側の態様でもあるから、いずれも両部分の類否判断に与える影響は一定程度にとどまるものといえる。
そうすると、相違点(a)及び相違点(c)については両部分の類否判断に与える影響は一定程度にとどまるものであるとしても、相違点(b)が類否判断に与える影響は大きく、それら相違点(a)ないし相違点(c)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両部分を別異のものと印象づけるものであるから、本願部分が引用部分に類似するということはできない。
(5)小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は、同一であるといえ、両部分の用途及び機能は同一であり、両部分の位置、大きさ、範囲も同一であるが、形状等においては、両部分の相違点は、共通点を凌駕し、意匠全体として別異のものと印象づけるから両部分は類似しないものであって、これは、両部分の類否判断を決定付けるものであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲




審決日 2023-06-01 
出願番号 2021011047 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D3)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 江塚 尚弘
渡邉 久美
登録日 2023-06-23 
登録番号 1747809 
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